2016第12回(平成28年度) 12th |
東近江市美術展覧会 An art exhibition |
入賞作品集 A work of selected arts |
彫刻彫塑部門 審査員 :森 佳三
<総評>
非常に高い技術力を示す作品がいくつか見られたが、そうした技術的な側面よりも、むしろ生き生きとした感じ、すなわち豊かな詩情が表現されていると感じられる作品を高く評価した。
個別の講評では、かなり厳しい意見も述べたが、それは表現を新たに展開していただきたいという思いからである。ご理解いだきたい。
市展賞
【命 題】アフリカーナ
【住 所】東近江市
【氏 名】森下 幹夫
【特別賞】滋賀県芸術文化祭奨励賞
【講 評】頭部と首のバランスが独創的であるのみならず、まるで語りかけてくるようなおかしみのある表情が表現されている。また、大胆な色の配置から、着色を楽しんでされたのが伝わってくる。まことに生き生きとした印象を与える作品である。
特選
【命 題】白雲館
【住 所】東近江市
【氏 名】津田 英明
【特別賞】NHK大津放送局賞
【講 評】威圧感ともいえる迫力を感じる作品である。ただし、この作品からは、作品をシリーズ化することの難しさを感じる。構成要素の共通する作品をつくり続けると、初めの作品に存在した生気が、後の作品になるほど失われていく場合がある。次回は、もう一度、原点に立ち戻って、「何を表現したいのか」という自問から再出発していただきたい。
佳作
【命 題】触覚
【住 所】東近江市
【氏 名】山田 龍二
【特別賞】―
【講 評】繊細な彫りの表現であると同時に、その表現を取り巻く空間が美しい。ただし、かたつむり、むかで、つぼみのすべてがそれぞれ強く主張しているので、これらのうち、どれかふたつの形態を単純化するか、思い切ってなくした方が、さらに空間全体をすっきりと表現できたのではないか。さらに付言すれば、台座との接合部分にもう少し気を配ってほしい。台座も作品の一部なのである。
佳作
【命 題】傷ついた土の牛
【住 所】東近江市
【氏 名】一円 敏彦
【特別賞】―
【講 評】牛という動物の持つ荒々しさが表現されている。それは勢いを感じさせるタッチ、大胆なデフォルメによるところが大きいが、牛の首のフォルムをそれに続く肩の部分を意識してつくられていたら、さらに全体が空間的にもまとまったのではないかと思う。