平成27年度歴史に親しむ講座「雪野山古墳の時代」
[2017年12月18日]
ID:8035
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平成27年度の講座では、雪野山古墳、城の山古墳(新潟県胎内市)、会津大塚山古墳(福島県会津若松市)、東之宮古墳(愛知県犬山市)という考古学史上、大変有名で調査がされている素晴らしい古墳について、専門の先生方にご講義いただきました。各90分という短い時間ではありますが、さまざまな視点からの研究成果や現在理解されていることをわかりやすくご説明くださいました。
講師 豊島 直博 先生 (奈良大学)
古墳時代の鉄刀、鉄ヤリ、鉄剣のご研究について発表していただきました。鉄製品はさびやすく、もろいものですが、雪野山古墳出土品など残りのよい資料が発掘調査によって見つかっています。それらを考古学的な観察手法によって、特にヤリや剣の把の構造を解明されたお話で、研究とは何かを感じ入りました。また文化庁の美術工芸品の指定方法についても説明していただきました。参加者のみなさんは刀剣類について関心が高く、質問も多数あり、大変盛り上がりました。
講師 水澤 幸一 先生 (胎内市教育委員会)
現在発掘調査中で、最北の地点で見つかった靫が話題の「城の山古墳」と、靫の研究についてお話くださいました。靫は古墳時代に特徴的な弓矢を入れる筒で、文様や漆塗りを施した宝物です。城の山古墳では国内で最も残りのよい3つの靫がまとまって出土しています。この発見により、雪野山古墳の靫では、蓋や背負い板と呼ばれる付属品や木製靫の存在が証明できるのではないかとご説明いただきました。
講師 横須賀 倫達 先生(文化庁)
会津若松市にある前期古墳である会津大塚山古墳を中心に、東北の古墳時代についてお話くださいました。会津大塚山古墳は、東北唯一の三角縁神獣鏡を持ち、それまでヤマト中枢部で出土するような副葬品をもたないと考えられていた東北の古墳時代史を塗り替える遺跡であったこと、またその後の調査研究によって数多くの古墳が見いだされ、前期に古墳が隆盛することを紹介されました。また単に、南から北へと広がっていったのではなく、時期によって波のように分布が変化するなど、興味深いお話をいただきました。
ご紹介のあった古墳はほとんどが整備されており、歴史の保護継承に努めておられる地域であることが感じられます。講演ではこのような歴史文化豊かな地から、現在震災により避難されている人がたくさんおられることを忘れないでほしいと締めくくられました。
講師 赤塚 次郎 先生 (特定非営利活動法人古代邇波の里・文化遺産ネットワーク)
一昨年に報告書が刊行され、陽光鏡(魔鏡)が復元されたことで話題となった東之宮古墳(犬山市)、および雪野山古墳との比較研究を中心にご講義いただきました。雪野山古墳出土壺形土器の北伊勢からの影響、土器の時期的な問題(現時点では口頭でのみの見解とのこと!)、「地相」・「冬至の王」などのキーワードは、聴講のみなさんの強い関心を引きました。また、古墳が何のためにできたか、地域にとってどういう位置づけをされているかという点を、伝承や信仰など、考古学からだけでない視点からも検討しなければならないことなど、多岐にわたる講座で、大変好評をいただきました。
会場:東近江市能登川博物館 集会ホール (山路町2225)
時間:13:30~15:00
定員:100人 事前申込み制、応募多数の場合は抽選
氏名、住所、電話番号、希望日、申込み人数を記入し、往復はがきで開催日10日前必着。
問合せ・申込み先: 〒521-1225 東近江市山路町2225 東近江市埋蔵文化財センター
期間:平成27年11月5日(木)から15日(日) 休館日:9日(月)、10日(火)
場所:能登川博物館
展示品:重要文化財雪野山古墳出土品のうち
銅鏡5面、玉類5点、鉄鏃33点、鉄剣・刀・ヤリ9点、壺形土器1点
体験講座:銅鏡作り11月8日(日)
銅鏡作り体験で鋳造を行っているところです。
・能登川図書館ミニ展示 「三角縁神獣鏡のひみつ」
平成27年6月10日(水)から6月28日(日)
・能登川博物館ギャラリー展示 「文化財保存科学からの保存と継承―雪野山古墳出土品保存修理事業―」
平成27年9月2日(水)から9月13日(日)
三角縁神獣鏡のレプリカなどを展示しました。
雪野山古墳出土品の保存修理を紹介する展示を行いました。
平成27年度歴史に親しむ講座「雪野山古墳の時代」チラシ
平成27年度歴史に親しむ講座チラシ(終了しました。)
平成27年度歴史に親しむ講座第4回講座チラシ(終了しました。)