平成28年度歴史に親しむ講座「雪野山古墳の時代」
[2017年12月18日]
ID:8036
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講師:大阪大学埋蔵文化財調査室助教 中久保辰夫先生
雪野山古墳は、副葬品が盗掘されることなく残されていました。完全な形で副葬品の構成、組合せがあきらかになることは、それら副葬品の編年もより理解できる資料となり、大変貴重です。また雪野山古墳の副葬品には大陸由来の文物を含むことから、古墳時代の政治体制を国際情勢と関連付けることができるとされています。
講座では、雪野山古墳が考古学研究の進展を促した重要な古墳であることを、詳しく話されました。さらに、フィールドとして研究されておられる播磨地域の古墳築造動向や朝鮮半島の倭系土器についても、興味深いお話を伺うことでき、参加者の皆さんは聞き入っていました。
講師:明治大学文学部教授 佐々木憲一先生
佐々木憲一先生は、雪野山古墳の発掘調査に参加されている先生です。発掘調査時の貴重な写真や、現場の生のお話を伺うことができました。竪穴式石室の構築復元やさまざまな貴重な副葬品が出土したことなど、稀有な存在である雪野山古墳の意義を熱くお話しくださいました。
雪野山古墳の被葬者像については、墳丘規模からヤマト王権内では第2ランク、畿内周縁部ではトップクラスであり、前方後円墳であることが重要とされました。また、雪野山古墳と後出する安土瓢箪山古墳との副葬品の比較検討から、ヤマト王権が大陸から半島の勢力との関係を深めた、当時の国際情勢を反映する貴重な事例として高く評価されました。
講師:滋賀県立大学人間文化学部教授 田中俊明先生
雪野山古墳は、古墳時代前期の中葉にあたり、その年代観が4世紀前半の古墳とされますが、3世紀に入るという研究もある古墳です。今回は、東アジア古代史の視点から雪野山古墳の時代について、話していただきました。
『魏志』東夷伝に登場する東北アジアの国々、倭国乱と同時期の公孫氏の動向や卑弥呼の魏への遣使、百済と高句麗の抗争など、雪野山古墳の時代の国際情勢について、先生が歩かれた貴重な遺跡の写真とともに説明くださり、古代東アジアを旅したような気持ちになりました。
講師:東松山市埋蔵文化財センター副所長 佐藤幸恵先生
東松山市は、埼玉県のほぼ中央に位置します。川に挟まれた台地上に特に遺跡が分布し、弥生時代後期の五領式土器の標識遺跡である五領遺跡がとても有名です。また初期古墳である前方後方墳が県内でも密集して見つかる地域です。
東松山市の南部、高坂台地縁辺部から中央部は、高坂遺跡が分布します。平成23年、高坂8号墳に隣接する高坂神社境内地から三角縁神獣鏡が出土しました。埼玉県では初めて見つかったことで、大変話題となりました。
今回の講座では、調査担当者である講師からお話しを伺うことができました。また関東の前方後円墳と前方後方墳の在り方やその動向、背景にある市と津を起点とした当時の人々の暮らしや、東松山市の歴史の奥深さや特殊性が理解できました。
会場:東近江市能登川博物館 集会ホール (山路町2225)
時間:13:30~15:00
定員:100人 事前申込み制、応募多数の場合は抽選
氏名、住所、電話番号、希望日、申込み人数を記入し、往復はがきで開催日10日前必着。
問合せ・申込み先: 〒521-1225 東近江市山路町2225 東近江市埋蔵文化財センター
期間:平成28年10月26日(水)から11月20日(日)まで 休館日:月曜日、火曜日、祝日、第4金曜日
場所:能登川博物館
展示品:重要文化財雪野山古墳出土品のうち
銅鏡5面、銅鏃30点、玉類5点、小札革綴冑1頭、鉄鎌2点、ヤリガンナ2点、鉄鑿1点、刀子5点、針状品3点、棺外ユキ1点(2ケース)、竪櫛26点・合子1点(3ケース)、壺形土器1点を展示しました。
また、雪野山古墳の竪穴式石室を現地で型取りしてつくられた、原寸大レプリカを展示しました。
平成28年度歴史に親しむ講座「雪野山古墳の時代」チラシ
平成28年度歴史に親しむ講座チラシです。(終了しました。)
平成28年度歴史に親しむ講座第4回講座チラシです。(終了しました。)