特集 健診・検診に行こう! めざせ!健康生活 「いつまでも健康でありたい」これはだれもが願うことです。元気で長生きをするためには、願うだけでなく健康な生活への実践が大切になります。今回、市が実施している健診・検診の結果から、健康生活への取り組みについて、みなさんとともに考えてみたいと思います。(特定健診データは、平成20年度に東近江市国民健康保険が実施した特定健康診査受診者データを使っています) ◆1 特定健診でわかること  特定健診の主な検査項目は、身長・体重・腹囲測定、尿検査、血圧測定、血液検査、内科診察、心電図・眼底検査(必要な人のみ)です。 ・下記の検査項目からメタボリックシンドロームの進行度を見ていきます  BMI(肥満指数)・腹囲・中性脂肪  →  内臓脂肪の蓄積  血圧・血糖・LDLコレステロール(※)  →  動脈硬化への影響  心電図・眼底検査  →  心臓や脳血管への影響  (※ 悪玉コレステロール) ◇平成20年度に市が実施した特定健診の結果から見えてくること  40歳から74歳の受診者数は、6484人で、受診率は38・1%です。男女とも60歳から69歳の受診者が最も多く、40歳代の受診者は少なくなっています。 ■平成20年度特定健康診査受診者数(単位:人)         男性   女性    計  --------------------------------  40〜49歳  219 230  449  50〜59歳  365  639  1,004  60〜69歳  1,389  1,968  3,357  70〜75歳   763  911  1,674   計    2,736  3,748  6,484  各検査項目の市の結果を県平均と比較してみると、男女・各年代ともに血圧の高い人(収縮期血圧130以上または拡張期血圧85以上の人)の割合が大きいことがわかりました(グラフ<1>)。特に、40歳代の女性を除いては、正常値を超える人が県平均を大きく上回っています。  脳の血管は血圧が高いと傷みやすい構造になっており、市の死亡統計でも脳血管疾患の割合が高くなっています。 ◇高血圧の要因は?  健診受診者で血圧が高い人の特徴を調べてみると、グラフ<2><3>のとおり、肥満や飲酒に関係があると言えます。肥満については、特に40代の男性にその特徴が強く表れています。グラフにはありませんが、血圧が高い人ほど「20歳時より10kg以上体重が増えている」人の割合が高くなっていました。血圧が高い人は、摂取エネルギーの過剰から内臓脂肪が蓄積され、メタボリックシンドロームの危険性が高くなることが予想されます。  飲酒については、毎日飲む人に血圧が高くなる傾向がよく表れています。 ■グラフ<1> 年齢別高血圧者の割合 【男性】      40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70〜74歳  ----------------------------------------------  県平均  30.3% 47.7%  56.2%  61.1%  市平均  37.6%  55.2%  64.2%  70.1% 【女性】      40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70〜74歳  ----------------------------------------------  県平均  16.3%  37.0%  50.3%  60.2%  市平均  16.8%  41.4%  58.3%  68.0% ■グラフ<2> 血圧と肥満の関係 【年齢別 血圧と腹囲の関係】                        40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70〜74歳  ----------------------------------------------------------------------------------  正常血圧者のうち、腹囲が高値だった人の割合  11.7%  11.6%  17.2%  16.3%  高血圧者のうち、腹囲が高値だった人の割合  28.3%  22.3%  25.4%  25.2%    ※腹囲高値:男性85cm以上、女性90cm以上 【年齢別 血圧とBMIの関係】                         40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70〜74歳  ----------------------------------------------------------------------------------  正常血圧者のうち、BMIが高値だった人の割合  17.3%  15.0%  14.9%  15.6%  高血圧者のうち、BMIが高値だった人の割合   35.9%  28.0%  28.4% 23.9%    ※BMI高値:25以上 ■グラフ<3> 血圧と飲酒頻度の関係 【血圧値ごとの「毎日飲酒する人」の割合】  血圧値    毎日飲酒する人  ----------------------------  正常血圧    16.81%  正常高値血圧  21.78%  T度高血圧   26.76%  U度高血圧   30.54%  V度高血圧   36.49% ■成人のおける血圧値の分類(単位:mmHg)   分類     収縮期血     圧拡張期血圧   備考    ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  至適血圧   120未満     かつ  80未満  正常血圧   120以上130未満  かつ  80以上85未満  正常高値血圧 130以上140未満 または  85以上90未満   正常血圧ですが高めです。生活習慣を改善しましょう。  T度高血圧  140以上160未満 または  90以上100未満  生活習慣の改善が必要です。1〜3か月以内に再測定し、高ければ医師の指示を受けてください。  U度高血圧  160以上180未満 または 100以上110未満  生活習慣の改善が必要です。1〜3か月以内に再測定し、高ければ医師の指示を受けてください。  V度高血圧  180以上     または 110以上      直ちに生活習慣改善、医師の指示による服薬治療が必要です。 ◆2 がん検診 〜愛する家族への贈りもの〜  市では4種類のがん検診を実施しています。  胃がん検診と大腸がん検診は、40歳以上で1年に1回、乳がん検診は40歳以上の女性で2年に1回、子宮がん検診は20歳以上の女性で2年に1回受診していただけます。  平成20年度の市の死亡統計における死因の第1位は「がん」で、全体の28%を占めています。これは、年々増加傾向にあり、国でもがん検診の受診率50%を目標にして取り組みを進めています。がんを克服する最大のポイントは、なんといっても「早期発見・早期治療」です。市では、一度もがん検診を受けたことがない人に受診してもらえるよう、未受診者訪問や受診の啓発活動などの取り組みを進めています。 ◇平成20年度に市が実施したがん検診結果から見えること  各がん検診の受診状況は左下の表のとおりです。また、県のがん発症の特徴は次のようになっています。 ・胃がん検診  40代から年齢が上がるにつれ、胃がんになる人が増加しています。女性に比べ、男性に胃がんになる人が多くなっています。 ・大腸がん検診  40代から年齢が上がるにつれ、大腸がんになる人が増加しています。 ・乳がん検診  30代後半から乳がんになる人が増え始め、40代から50代で最も多くなります。その後、年齢が上がるにつれ、減っていきます。 ・子宮がん検診  年齢が上がるにつれ、子宮がんになる人が増えています。30代から急に増え始めます。 ■東近江市の各がん検診の受診状況(平成20年度)  検診     受診率  受診者数(うち初受診者数) 要精密検査者数  がん発見者数  ----------------------------------------------------------------------------------  胃がん検診  15.9%  4,497人 (247人)      221人       5人  大腸がん検診 18.3%  5,196人 (542人)      413人       4人  乳がん検診  28.3%  2,666人 (216人)      319人       7人  子宮がん検診 26.8%  3,217人 (405人)       23人 1人 ●市のがん検診を受けて初期段階の乳がんを発見された経験を持つ青西直美さん(中一色町)にお話をうかがいました。(青西さんの写真あり) ◎がん検診を受けられたきっかけは?  長年受けていなかったのですが、ある時、保健センターから職員さんが受診を勧めに来られて、「来年は必ず受けてくださいね」とおっしゃられたのですが、その時はそんなに気にしていませんでした。でも、翌年検診の通知が来たときに、その言葉を思い出し、軽い気持ちで受けに行きました。 ◎その後、「要精密検査」の通知が届けられたわけですが、そのときはどんなお気持ちでしたか?  封筒をあけたら「要精密検査」と書かれていて、それを見た瞬間にものすごいショックを受けました。ただ精密検査を受けなさいってことだけなんですが、自分の中ではそんなこと考えてもいませんでしたので。  その後、精密検査を受けて、結果を聞きに行ったのですが、「悪性腫瘍(しゅよう)です。乳がんです」と言われたときは頭が真っ白になりました。手は震えてくるし、先生の言葉は頭に入ってこないし。かろうじて聞きとどめられたのは、「明日、ご主人と一緒にもう一度いらしてください」という言葉くらいでした。あの時のショックは、今まで生きてきた中で一番のものでした。泣いて診察室から出るわけにはいかないので、「泣いたらあかん。泣いたらあかん」と言い聞かせていましたが、病院を出て、車に乗った瞬間に涙が出てきて、ひとしきり泣いていました。  でも、私の場合は初期段階の乳がんだったので、手術を受け、その一週間後には退院することができました。 ◎乳がん検診を受けられていない人へのメッセージをお願いします。  自分の体を守るのは自分のためだけではありません。ご主人や子どもさんがいらっしゃる人も多いと思います。自分を守ることは周りの人を守ることでもあります。自分のためでなく、人のためになるんだと思って受けてください。 ◆3 家族みんなで健康生活を!  特定健診からは、肥満や飲酒などの生活習慣と血圧の関係が見えてきました。やはり、メタボリックシンドロームの予防には「食事」と「運動」で適正な体重を維持すること、休肝日を設けることが重要です。食事についても運動についても、自分の日常の生活に合った工夫が必要です。今一度、毎日の生活を振り返り「無茶していると思うこと」とか「わかっているけどしていないこと」があれば、まずできることから実行に移しましょう。  また、健診で「血圧が高い」所見があれば、「健診のときだけ上がる」と決めつけず、家庭で血圧を測り確認しましょう。  なお保健センターでは、メタボリックシンドロームの危険性がある人などに日常生活の改善点などについて一緒に考える取り組みを行なっていますので、ご活用ください。  がん検診では、とにかく検診を受けることが早期発見の第一歩と言えます。検診受診対象年齢でまだ受けたことがない人は、ぜひ一歩踏み出してみましょう。 (「家庭血圧記録ノート」、「健康マップ」、「食事バランスガイド」などを活用してください) ◇さあ、あなたも健康チェック!  来年度の特定健診(集団)や各種がん検診などは、4月13日(火)から始まります。詳しくは自治会を通じて各戸に配布します「平成22年度東近江市健康カレンダー」をご覧ください。(健康カレンダーは、本庁市民課・各支所・保健センターにも設置します)  また、受診券(票)などは4月上旬にご自宅に郵送の予定です。  定期的に健診・検診を受け、自分の身体の声に耳を傾けましょう! これらを活用して健康生活を!  <1>家庭血圧記録ノート(写真あり)  <2>健康マップ(写真あり)  <3>食事バランスガイド(写真あり) <1>は各保健センターに、<2><3>は各保健センターおよび各支所にあります。 保健センターやそのほかの各施設でも運動のできる教室や講座を行っています。健康マップなどを参考にして参加してみてください。 写真:健康教室で体を動かす参加者(やわらぎホール) 写真:「有酸素運動とヨガで健康に」(あかね文化ホール) 問=健康推進課  電話=0748−24−5646  IP=050−5801−5646