心豊かな明日のために 人権文化の花を咲かそう 写真:100畳敷八日市大凧 写真解説:人権をテーマにした判じもん「一人ひとりが輝くとき」を詠んだ八日市大凧。下部に大きく朱色の文字で「輝」、上部に尾長鶏(おながどり)が左右対称にひとつひとつ描かれています。併せて、「一人(ひとつの鳥)ひとり(ひとつの鳥)が輝くとき」となります。(平成14年〜16年飛揚) ●同和問題の現状  「まだ部落差別ってあるの?」「同和問題は、もう終わっているでしょう」という声を聞きますが、本当でしょうか。  本市が平成18年に実施した市民意識調査によると、約30%の人が「5年以内に同和問題と関連した差別発言を聞いた」と回答されています。また、県が行なったアンケート結果(下のグラフ)にも表れているように、設問に対して、「いちがいにはいえない」が47%近くにものぼっており、同和問題が自分の問題となったときに、どのような態度をとるのか迷い≠ェある人が多いことがうかがえます。 ◆グラフ アンケート結果からうかがえる、差別意識  ◇平成18年 滋賀県「人権に関する県民意識調査」より 「自分が購入しようとした土地や家が、同和地区に隣接していたため購入を見合わせたことについてどう思うか」との問いに対しての回答  当然だと思う      6.7%  間違っていると思う  31.7%  いちがいにはいえない 46.6%  わからない      11.4%  不明          3.5% ●本市で起こった差別事件  平成19年8月、本市の市民が、愛荘町役場へ電話で「○○(地名)は同和地区か」と尋ねるという、同和地区問い合わせ差別事件が発生しました。愛荘町職員が市民に対して氏名を尋ね、電話の内容が問題であることを話したところ、「私も同和地区や。どうかが聞きたいだけや」と答え、「あかんことはわかっている」と言って電話が切られました。その後、電話で答えた住所、氏名、また同和地区住人であることもウソであることがわかりました。  同和地区を問い合わせる行為については、同和問題を正しく知るための研修や学習のように部落差別を解決するという明確な目的のために行われるものもあり、すべてが差別につながるものではありませんが、その場合には、問い合わせる「目的」と「方法」が正しいかどうかを確認する必要があります。  今回の場合、問い合わせた本人が「同和地区かどうかが気になったため」「あかんことはわかっている」と言っていることからも、同和地区を問い合わせる目的には正当性がありません。また、問い合わせたときに虚偽の氏名と同和地区を騙(かた)ったことは方法にも正当性があるとはいえません。  同和地区の名称を騙る行為は、今日まで「同和地区は怖い」「集団で押しかけてくる」などの同和地区に対する偏見を悪用して相手を威嚇(いかく)する時や要求を聞かせる場合に使われ、このことが、「同和地区は怖い」という意識をさらに増大させるという悪循環を招き、同和問題の解決を逆行させることにつながってきました。  このような行為は、差別する意図があったか無かったかにかかわらず決して許されるものではありません。 写真:ぬくもりメッセージ2009展示会(八日市浜野町のショッピングプラザアピア) ◆今も発生する差別事象 ◇土地差別調査  不動産取引の際、土地開発業者から依頼を受けた調査会社が、同和地区かどうかなどを調査する差別調査が今も行われています。30年以上前からこれらの調査が行われていたことも近年発覚しています。  調査会社は「差別の意図はなく、お客様のご要望にお応えしただけ。最終的にはお客様が判断されること。」などと弁明していますが、これは土地購入者の差別意識の上に立った需要に応えるもので、明らかに差別を助長・拡大する行為です。 ◇戸籍謄本などの不正取得  弁護士・司法書士・行政書士などは、職務上、依頼者からの委任を受け、その人の戸籍を取得することができます。しかし、その制度を悪用して、個人の戸籍を不正に取得し、同和地区出身かどうかを調べるような身元調査事件も発生しています。 ◇インターネット掲示板への悪質な差別書き込み  同和地区出身者を誹謗(ひぼう)・中傷するような表現の書き込みや、「○○(地名)は部落ですか?」「○○(地名)はヤバイの?」などといった書き込みがされています。また、部落の地名や地図を掲示した「電子版部落地名総鑑(そうかん)」と言えるものまでありました。サイトの監視、削除依頼など、差別書き込みの防止に向けたさまざまな取り組みが続けられていますが、インターネットの持つ匿名性などから、書き込み者を特定することが難しく、大きな問題となっています。 ●差別を許さない社会をめざして  今日、「人権は大切なものだ」「差別行為は恥ずべきことだ」といった、人権尊重の意識は着実に浸透してきています。しかし本市で発生した差別事件からも見てとれるように、家庭・地域・職場など身近な日常生活の場で同和地区に対する偏見はまだまだ残っています。そうした差別意識を一日も早く解消するために、今後も研修会や学習会、啓発活動を実施します。市民のみなさんもこれらの機会に積極的に参加いただき、「人権文化の花を咲かそう」を合言葉に差別を許さない社会をつくっていきましょう。 問=人権課  電話=0748-24-5620 IP=050-5801-5620