特集 身近にできる「生ごみ減量化」 ごみじゃないもん・・・ 資源だもん! 生ごみを、堆肥(たいひ)に生まれ変わらせよう ■記号の説明・・・問=問い合わせ IP=IP電話  「ごみ」とは、一般的に「利用する価値がなく、何の役にも立たない、ない方がよいもの」という理解がされていますが、本当でしょうか。  人が生活するうえで、ごみは必ず出てくるもの。市民一人あたりのごみの量は、なんと年間283.6キログラム(平成21年度の市民1人1日あたりの排出量から算出)にもなります。現在、「ごみ」として処理場に運ばれているごみの中には、利用できるものや何かの役に立つものがきっとあるはず・・・。  今月は、生ごみの減量化について考えます。 写真:蒲生岡本町での堆肥づくり(堆肥をかき混ぜたときにあがる蒸気は、発酵の証(あか)し。発酵がすすむと、内部の温度は70℃にもなります) ●ごみの量、どうなってるの?  市民のみなさんには、ごみの減量化のため、リサイクルや生ごみひと絞り運動、レジ袋を減らすマイバッグ運動などに、地域や家庭で取り組んでいただいています。  こうした取り組みの結果、東近江市のごみの総排出量は平成17年度の約3万6,900トンをピークに年々減少し、下のグラフのとおり平成21年度には約3万3,300トンになりました。  市民一人が排出した一日あたりのごみの量は、約780グラムとなり、全国平均の約1,030グラム、滋賀県平均の約940グラムと比べ、少ない状況となっています。 ○グラフ 本市のごみの総排出量 ------------------------------ 平成15年度  36,466トン 平成17年度  36,886トン 平成19年度  35,851トン 平成21年度  33,300トン ------------------------------ ●ごみの中身は?  それでは、排出されるごみの内訳はどうなっているのでしょうか。下のグラフのとおり、排出される燃えるごみは全体の79%、燃えないごみは5%、リサイクルされる資源ごみは14%となっています。  これを、市民一人が1日に出すごみに置き換えてみると、総量約780グラムのうち、燃えるごみは620グラム、燃えないごみが40グラム、リサイクルされる資源ごみ(古紙・缶・ビンなど)が110グラムとなります。 ○グラフ 排出されるごみの内訳と割合(平成21年度) ------------------------------------------------- 内訳       排出量     割合 ------------------------------------------------- 燃えるごみ    26,401トン   79.3% 燃えないごみ    1,618トン    4.9% 資源ごみ      4,722トン   14.2% ガレキ類       118トン    0.3% 粗大ごみ       259トン    0.8% 汚泥状物       182トン    0.5% ------------------------------------------------- ●処理費用は13億5千万円!  排出されたごみは、中部清掃組合や湖東広域衛生管理組合、愛知郡広域行政組合のごみ処理場に運ばれ、処分されます。  これらのごみを処理するためには、処理場運営費や人件費などの経費がかかります。その経費は年間で約13億5千万円にもなります。1トンあたりではおよそ4万円、3キログラム入ったごみ袋1袋で120円かかる計算です。  また、平成18年の本市の調査によると、燃えるごみのうち、約30%を生ごみが占めており、その80%〜90%は水分です。水分を多く含む生ごみは燃えにくく、燃焼させるためにはより多くの燃料(エネルギー)を投入しなければなりません。  生ごみを減らすことは、地球環境にもやさしく、温暖化の防止にもつながり、処理経費も軽減できるのです。 写真:家庭のごみがたくさん出される収集日・収集されたごみが運ばれる処理場(中部清掃組合) ●生ごみを資源として活用しよう  焼却するときには厄介者にされてしまう生ごみですが、少し手を加えるだけで良質の堆肥に姿を変えます。そして、出来た堆肥は畑の土壌改良(土壌の粒子が小さな塊を形成)を進め、地力もアップしますので、野菜や花の栽培に最適です。  つまり、生ごみは貴重な資源であり、処理場で燃やしてしまうことは、とても「もったいない」ことでもあります。ごみから生ごみを除くと、週2回のごみ出しが、重量も減り匂いもしないのでとても楽になります。ごみを置いておいても匂いがしないので、ごみ袋が一杯になるまで出さなくても良くなります。  生ごみの減量化は、地球環境にやさしく、処理経費も少なくて済み、ごみ出しも楽になりますので、まさに「三方よし」といえるでしょう。 ◆設置型コンポストで、集落ぐるみの取り組み 岡田文伸(おかだ ふみのぶ)さん(蒲生岡本町)  蒲生地区では、現在8つの集落で生ごみの堆肥化に取り組んでいます。そのうちの1つである私たちの蒲生岡本町は、ガリ版伝承館前の空き地に、コンパネで1メートル四方の箱を合計4つ作りました。蒲生岡本町の70戸のうち、30戸がこの堆肥化施設に生ごみを搬入しています。ほかの家庭は、各自で取り組んでいます。  生ごみを上手に発酵させるには、モミガラで微生物の住みかを作ってやり、かくはんしながら空気を送り込み、生ごみに含まれる水分でバランスを保ち、さらに米ぬかを入れて栄養補給することです。  ポイントは、水気をためないようにして、腐らないようにすることですね。生ごみを原料にした堆肥は、善玉菌、ミネラルがとても豊富です。野菜の根の張りや成長、味がとても良くなります。堆肥は生きものみたいで、世話をするのは楽しいですね。 写真:岡田さんアップ・かくはん作業を行う岡田さん・出来た堆肥 ●手軽にできる、堆肥づくり  市では、なお一層の生ごみ減量化を進めるため、市民のみなさんにご協力いただき、地域や家庭で生ごみを堆肥化する取り組みを進めています。  下の図は、南部地区まちづくり協議会で進めておられる「ダンボールコンポスト※」での堆肥化のしくみです。生ごみを微生物が分解することで、良質の堆肥が出来上がります。なお、蒲生地区まちづくり協議会で進めておられる木箱を利用した設置型コンポストは、基材(きざい)の材料や混ぜるものが異なります。 ※コンポスト:生ごみから作る堆肥のこと。また、堆肥を作るための容器もコンポストと呼ばれることがあります。 写真:出来た堆肥で作る野菜はおいしい。地域の交流も深まります。 ○図 ダンボールコンポストで堆肥が出来るメカニズム 1.投入前  組み立てたダンボールに、基材(生ごみの寝床になるもの)としてピートモス※、もみがらくんたんを入れます。 ※ピートモス:ミズゴケや草類が堆積してできた泥炭。保水性、通気性に優れています。 2.生ごみを投入  生ごみを投入します。小さく切って入れると、分解しやすくなります。 3.かき混ぜる  投入後はかき混ぜることが大切。空気を送り、分解を促進します。 4.栄養分を補給  まれに、ごく少量の廃食油などを入れてかき混ぜ、分解を助けます。 5.熟成  投入後は1か月ほど寝かせて完成です。週1回ほど水を入れてかき混ぜ、さらに分解を進めます。 *2から4の作業は、繰り返して行います。 ◆すべては2箱のダンボールから始まった ダンボールコンポストアドバイザー 河島 修(かわしま おさむ)さん(ひばり丘町)  南部地区まちづくり協議会では、環境をテーマにした取り組みを始めたいと考えていたところ、2年前の大垣市への視察で初めてダンボールコンポストに出会いました。「これなら各家庭でも取り組める」と考え、2箱を持ち帰り、まち協で取り組むことにしました。  最初は「ダンボールで堆肥なんて本当に出来るの」と思っている人もいましたが(私もその一人)、取り組みの輪を広げる中で、意外と簡単に出来ることがわかりました。4人家族の約3ヵ月分の生ごみが、ダンボール1箱で処理できるのには驚かされます。  今年度からは、市内にダンボールコンポストを広めるために、市の委託事業として出前講座を実施しています。現在、市内で700軒以上のご家庭が利用されています。途中で挫折しそうになる人もいますが、私たちはアフターフォローにも力を注いでいます。  出来た堆肥は、家庭菜園やプランターなどで使っていますが、野菜の成長が早く、味も良いと評判です。  堆肥作りに取り組むきっかけはさまざまですが、共通していることは「生ごみを何とか減らしたい、再利用するしくみをつくりたい!」との思いからです。 写真:河島さんアップ・日々の取り組みを確認するための定期的な会議・小倉町で開催された、「ダンボールコンポスト講座」 ●あなたも挑戦しませんか  生ごみの堆肥化、なんとなくはわかったけど、具体的な実践につなげたい!と思っていただけたなら、先進的に取り組まれている南部地区まちづくり協議会、蒲生地区まちづくり協議会のみなさんによる出前講座をぜひ受けてください。堆肥化の方法やコツを詳しく説明していただきます。10人以上のグループで、廃棄物対策課までお申し込みください。  あなたも、生ごみの堆肥化でエコな暮らしにチャレンジしてみませんか。 問=廃棄物対策課  電話=0748−24−5636 IP=0505−801−5636