特集 「風景づくり条例」「景観計画」がスタート みんなで育てる ふるさと東近江の風景 ■記号の説明・・・問=問い合わせ IP=IP電話  鈴鹿山系から琵琶湖まで、四季折々の豊かな自然、歴史的・文化的な町並みや広大な田園風景など、魅力的な風景に恵まれた、私たちの東近江市。  本市では、これらを市民の財産として次代へ引き継ぐとともに、風景を生かしたまちづくりを進めています。  今月は、4月から始まった「東近江市景観計画」と、本市の風景づくりの取り組みを紹介します。 写真=山並みや河辺林と一体となった田園風景(建部瓦屋寺町の瓦屋寺から撮影) ●水と光と風いっぱいの風景  本市は、鈴鹿山系から琵琶湖までの広大な市域に、豊かな自然環境、のどかな田園風景、活気に満ちた都市景観など、多様で魅力的な風景に恵まれています。また、地域の歴史、伝統、文化に根ざした個性豊かな生活の風景を育んできました。  これまで、それぞれの地域で大切にしてきた景観資源を、今後も市民共有の財産としてみんなで守り育てることにより、新たな郷土意識が育まれ、市民が愛着と誇りを持って暮らし続けられるまちとなります。また、良好で魅力的な風景を創出することは、住環境の質を高めるとともに、まちのにぎわいの創出や観光振興などによる地域の活性化にもつながります。  本市では、風景を生かしたまちづくりを進めるため、風景づくりの指針となる「風景づくり基本計画」を市民の参加のもと策定しました。その後、「風景づくり条例」を制定し、本市は「景観行政団体」になりました。  「風景づくり基本計画」では、本市のめざす風景像を「みんなで育てる 水と光と風いっぱいのまち」と定め、市民と行政の協働によって、東近江市らしい風景づくりに取り組むこととしています。 ◆景観資源1 〜歴史・文化景観〜  歴史上重要な位置を占める本市では、数多くの史跡、文化財が残っています。古墳群や百済寺、永源寺、石塔寺などの古刹、中山道、御代参街道や近江商人屋敷の街並みのほか、伝統的な祭り・行事の景観も見られます。 写真=太郎坊宮、近江商人の街並み ◆景観資源2 〜農村・田園景観〜  愛知川・日野川の扇状地や堆積平野は、近畿地方最大の穀倉地帯を形成し、広大な田園風景が広がっています。また、寺院や鎮守の森とともに農家が密集した伝統的な農村集落は、当地域独特の風景を形成しています。 写真=秋の稲刈り、農村集落全景 ◆景観資源3 〜眺望景観〜  鈴鹿山系や琵琶湖対岸の比良山系を背景にして、湖東平野の田園、農村集落、市街地、河畔林や琵琶湖の水面など、広がりのある豊かな風景を眺望できます。 写真=猪子山から見た伊庭内湖と琵琶湖、繖山から見た湖東平野、御池岳 ◆景観資源4 〜都市景観〜  八日市駅、能登川駅周辺では、市の玄関口にふさわしい個性的で整然とした都市景観を形成しています。また、幹線道路沿道の商業施設や郊外の工場立地は、活力とにぎわいを感じられる景観を形成しています。 写真=八日市駅前、市役所周辺 ◆景観資源5 〜自然景観〜  鈴鹿の山並み、布引丘陵、箕作山(みつくりやま)、繖山(きぬがさやま)などの豊かな自然環境は緑の骨格を形成しています。  また、鈴鹿山系から琵琶湖へ注ぐ愛知川、日野川や山麓のため池や伊庭内湖などは、多様な水と緑の風景を形成しています。 写真=永源寺の愛知川、夕暮れの伊庭内湖 ◇景観法  平成16年に施行された、わが国初めての景観に関する総合的な法律で、法的に景観規制を行うことが可能となりました。 ◇風景づくり  「東近江市の自然、歴史、文化等に培われた良好な風景を守り育てるとともに、新たな魅力ある風景を創造すること」と条例で定めています。 ◇風景づくり基本計画  市の風景づくりの目標、方針や景観形成施策の全体像を定めています。 ◇風景づくり条例  風景づくりを推進するために、市・市民・事業者の責務や景観形成を図るために必要な制度や仕組みなどを定めています。 ◇景観行政団体  景観形成は住民生活に密接に関係することから、市町村が景観形成の担い手となる制度です。東近江市は平成22年10月に景観行政団体となりました。 ◇景観計画  景観法に基づいて、地域の景観特性に合った独自の景観行政を進めるため、実効性のある具体的な施策を定めている計画です。 ●風景を守り育てるために  本年4月1日から施行された「東近江市景観計画」では、本市固有の優れた景観を守り育てるためのルールを定めています。  広がりのある田園風景や眺望景観を一体的に保全するため、市全域を計画区域とし、さらに「鈴鹿山系」「田園」「市街地」の3つのゾーンに区分して、ゾーンごとに景観特性に応じた景観形成方針と規制基準を設けています。  また、琵琶湖や河川、道路など、市の景観の骨格をなす重要な地域を、「景観形成重点地域」に指定して、良好な景観の保全に努めることとしています。  建物の建築や土地の開発に当たっては、その規模や形態・色彩などのデザイン、敷地の緑化などについて、定められた基準に従っていただき、周辺景観への配慮をお願いするものです。また、一定規模以上の行為については、市への届出が必要となります。  建築や開発行為自体を規制するものではありませんので、地域の風景を守るため、市民のみなさんのご理解とご協力をお願いします。 ◆風景づくりの基本理念と基本目標 【東近江市風景づくり憲章】わたしたちは、豊かな自然と悠久の歴史に培われた東近江の風景を未来に継承し、心の豊かさと健やかな暮らしを実感できる風景づくりをみんなで進めます。 【めざす風景像】“みんなで育てる 水と光と風いっぱいのまち 【基本目標】 1.鈴鹿山系から琵琶湖につながる水と緑の風景を大切にします。 2.悠久の歴史と文化の薫る風景を未来に引き継ぎます。 3.うるおいとにぎわいのある暮らしの風景を創造します。 4.市民が共感し、みんなでふるさとの風景を育てます。 イメージ図=多くの景観資源〔水(自然)・風(暮らし)・光(歴史文化)〕に共感して、協働で守り育てる ◆風景づくり市民アンケート結果から 1.風景・景観・街並みに関心がありますか  大いに関心がある  21%  ある程度関心がある 52%  あまり関心がない  13%  全く関心がない    2%  その他       12% 2.東近江市らしい風景、重要な風景は(複数回答あり)  永源寺      47.1%  田園風景・里山  40.7%  琵琶湖・伊庭内湖 33.2%  太郎坊宮     27.8%  金堂伝建地区   20.2% 3.東近江市に必要な景観施策は(複数回答あり)  農村、田園景観や里山の保全・整備 39.7%  にぎわいのある商店街景観の整備  23.9%  道路等公共施設の景観整備     21.1%  森林、湖岸景観の保全・整備    19.6%  地域の歴史文化の保全・整備    19.3% 4.景観に関するルールづくりは必要ですか  必要     25%  ある程度必要 55%  必要ない    6%  その他    14% ◆5つの「景観形成重点地域」 ・琵琶湖、伊庭内湖 ・宇曽川 ・朝鮮人街道沿道 ・国道307号沿道 ・鈴鹿山系国道421号沿道 イラスト=東近江市全域図 ◇国道421号を重点地域に指定  国道421号の石榑トンネル開通により、観光や物流など、三重県との交流が盛んになり、地域の活性化が期待されています。  一方で、沿道周辺の土地開発や建築なども増え、地域の環境へ大きな影響を及ぼすことが予想されます。  景観計画では、鈴鹿山系の国道421号沿道を景観形成重点地域に指定して、豊かな自然環境と良好な景観を保全することとしています。 写真=国道421号沿道風景 ◆景観法の届出が必要な行為 ◇景観形成重点地域  建築物の新築・増築・改築=高さ5メートル超、延床面積10平方メートル超  工作物の新設・増築・改築=高さ5メートル超(電柱は10メートル超)  開発行為=面積100平方メートル超(のり面の高さ1.5メートル超 または長さ10メートル超) ◇市街化調整区域、非線引き都市計画区域、都市計画区域外  建築物の新築・増築・改築=高さ10メートル超、延床面積500平方メートル超  工作物の新設・増築・改築=高さ13メートル超(電柱は15メートル超)  開発行為=面積1000平方メートル超 ◇市街化区域  建築物の新築・増築・改築=高さ13メートル超、延床面積1000平方メートル超  工作物の新設・増築・改築=高さ13メートル超(電柱は15メートル超)  開発行為=面積1000平方メートル超 ●共感と協働で風景づくりを進めよう  建物や開発を規制することだけが、風景づくりではありません。  行政は、道路や河川、学校や保育園などの公共施設について、率先して景観に配慮して整備することが求められており、電柱電線をなくす取り組みも必要です。  また、清掃活動や花いっぱい運動、緑化活動、里山保全活動など、身近なところから、自分にできることに取り組むことも大切です。  そして、かけがえのないふるさとの風景に愛着と誇りを感じて、「水と光と風いっぱいのまち」の実現に向けた、市民と行政の協働による取り組みが必要です。  今後の東近江市の風景づくり施策に、市民のみなさんのご理解とご協力をお願いします。 写真=市民が中心になって取り組む風景づくり(八日市地区での里山保全、びわ湖一斉清掃) 問=都市整備課  電話=0748-24-5655 IP=0505-801-5655