特集 遠くはなれているけれど、心はひとつ。ひとりじゃないから。 絆(きずな) つなごう、復興への道すじ 「Proud!Japan 東日本大震災の復興を支援しよう」ロゴ=Proud!Japan(プラウド ジャパン)とは、直訳すると「誇り高き日本、堂々たる日本」という意味になります。しばらくの間、このロゴマークを広報紙に掲載し、被災地の復興を応援していきます。 ■記号の説明・・・問=問い合わせ IP=IP電話  あの日から、3か月が経とうとしています。  平成23年3月11日、午後2時46分。テレビの画面に映し出される、まるで虚構のような映像を、ただ成すすべもなく見続けました。  私たちはこの東日本大震災を現実として受け止め、復興のために力強く歩まねばならないのです。  今月は、これまでの、そしてこれからの、復興に向けた取り組みをお伝えします。 写真=5月5日(祝)に実施された「2011八日市大凧まつり願い札貼り」では、東日本大震災からの復興を願う「願い札」も数多く貼られました。(100畳敷大凧に貼られた願い札) ●命が、暮らしが、思い出が 一瞬で奪われた現実  東日本大震災は、地震、津波、原子力発電所の事故などにより、たくさんの人々の生活を破壊しました。不幸にも命を落とされたみなさんには哀悼の意を表しますとともに、被災されたみなさんには一日も早く心穏やかに暮らせる日々が戻ることを祈るばかりです。  本市でも震災直後から、市民のみなさんから義援金の寄付や救援物資の提供など、あらゆる形で温かい善意をいただきました。お預かりした義援金は日本赤十字社を通じて、救援物資は市職員が直接被災地へ届けました。 写真=凄惨(せいさん)な風景の陸前高田市(4月17日) ●1000キロの道のりを超えて 全ては、命をつなぐために  震災直後は、被害状況がほとんど把握できない状態でしたが、全国から続々と救援が始まりました。県内の消防本部は地震発生当日にチームを編成し、被災地へ出発。東近江・愛知郡消防本部からは、合わせてのべ145人が参加し、福島県内で行方不明者の捜索や救助活動を行いました。  また3月14日(月)からは給水支援チームが出発。その後、本市も災害支援本部を設置し、岩手県宮古市と陸前高田市で5月17日(火)まで給水活動を実施しました。 写真=流された家屋を捜索する東近江消防本部救助隊(3月13日) 写真=2か月以上にわたった給水支援活動(4月17日) ●思うように届かない物資 直接、被災地へ届けなければ  本市では、「提供いただいた救援物資が被災者へ確実に行き渡ることが重要」との考えから、しばらくの間は救援物資の受け付けは見合わせ、義援金のみ受け付けることにしました。  その後、直接連絡を取ることができた陸前高田市、宮城県岩沼市、福島県いわき市の3市から、不足している物資の救援依頼があり、のべ3,140人のみなさんから多くの物資を提供していただきました。  提供いただいた物資は、滋賀県トラック協会湖東支部の協力により、10トントラックで被災地へ運搬。市職員も同行して、現地で必要とされている支援の内容や被災状況などを直接確認することで、次の支援につなげました。 写真=救援物資の仕分けには、多くのボランティアが参加(3月31日) ◆被災自治体への主な支援など ◇救援物資など ・岩手県陸前高田市  洗剤、ペットボトル飲料、トイレットペーパー、タオル、カップめん、軍手、キュウリ、キャベツ、味噌、トランプなど(4月6日)  移動図書館車、書籍、卵、トマト、キャベツ、キュウリなど(4月17日) ・宮城県岩沼市  洗剤、紙おむつ、介護パンツ、軍手、ほうき、ちりとり、長靴、トランプなど(4月6日) ・福島県いわき市  洗剤、タオル、ペットボトル飲料、カップめん、トイレットペーパー、紙おむつ、軍手、雨合羽、トランプなど(4月6日) ・宮城県石巻市  タオル、ペットボトル飲料、トイレットペーパー、生理用品、紙おむつ、土のう袋、トランプなど(4月9日) ◇給水支援 ・第1班〜第3班 岩手県宮古市(3月16日〜3月22日)  のべ23人 ※愛知郡水道事務所、日野町、竜王町と合同 ・第4班〜第18班 岩手県陸前高田市(3月24日〜5月17日)  のべ56人 ※愛知郡水道事務所、愛荘町と合同 ◇保健師派遣 福島県田村郡小野町(4月26日〜5月1日)  ※滋賀県からのチーム(4人)に1人を派遣 ◇義援金 40,994,822円(5月18日現在) 写真=いわき市の避難所でトランプを受け取る子どもたち(4月6日) 写真=岩沼市へ救援物資を運び込む(4月6日) ●被災地の人たちへ希望を 移動図書館車を寄贈  救援物資を3市に届けた職員は、今後必要とされる支援活動について、現地の災害対策本部や避難所で聞き取り調査を進めました。そうした中、本市の移動図書館車1台を寄贈できる用意があることを伝えたところ、陸前高田市から「ぜひいただきたい」とのお返事をいただきました。  陸前高田市では、市立図書館が津波により完全に破壊され、さらには数人の図書館司書が犠牲になられました。そうした中、被災された人たちの気持ちを少しでも和らげることができればとの思いから、移動図書館車を寄贈することにしたものです。  市民のみなさんからは、被災地へお届けする本を寄贈していただき、その数は500冊以上にもなりました。  4月16日(土)、移動図書館車は西澤市長をはじめ、6人の職員・図書館司書とともに一路陸前高田市へ。10トントラックには、5,500冊の本のほかに、要望の多かった卵や野菜がたくさん積み込まれました。移動図書館車は6月から、8つの保育園と9つの小学校を巡回することになっています。 写真=移動図書館車を陸前高田市へ寄贈(4月17日) 写真=陸前高田市の移動図書館車は津波で流され、無残な姿に(4月17日) ●支援の中で見えてきた現実 被害は「ゼロ」か「100」か  陸前高田市では、被害の大きい地域で海岸から5キロメートル以上先の陸地にまで津波が達しました。  しかし、津波が到達しなかった地域では、断水などの被害はあるものの、家屋の倒壊も比較的少なく、避難所からも帰宅されて自宅で生活しておられます。被災地への道中でも、建物や木々が並ぶ普段の光景から、津波に飲み込まれた無残なまちへ突然に姿を変えました。  津波による被害の差は歴然で、今後の復興に向けて被災地内での格差をどのように解消していくかも、大きな課題のひとつです。 写真=津波で破壊された痕跡が生々しく残る岩沼市(4月6日) ●安全(だいじょうぶ)という思い込みほど怖いものはない  陸前高田市では、2,000人以上の人たちが亡くなられたり行方不明になっておられます。避難所へ避難されている人たちに聞いたところ、「まさかここまでは津波が来ないだろう」と考えておられた人たちに、多くの犠牲者が出たということです。  私たちは今回の震災を通じて、自然の驚異とは想定外のことが起こるということを改めて肝に銘じなければなりません。  本市においても、これまでの防災計画を根底から見直す必要に迫られています。 ●1年、3年、5年 息の長い支援を続けよう  今回の震災の被害は、改めて言うまでもなく甚大なものです。環境省の発表では、すべてのガレキが最終処分されるまでには3年を要するとされています。ましてや、被災された人たちの生活の再建やまちの復興には、もっと長くの時間が必要になるでしょう。私たちの支援は、一過性のものではいけないのです。  現在、被災地にはある程度の物資がありますので、これからは人的支援が必要になってきます。また、自宅を失った被災者が仮設住宅に入居し、その後はそれぞれの自宅を再建することになりますが、そのためには経済の復興も必要不可欠です。  イベントなどについては、過度の自粛は避けながら、適切に実施していくことが、被災地へ元気を届け、わが国の経済を支えることにもつながります。  戸羽太(とば ふとし)陸前高田市長は「私たちの戦いは、これから長い戦いになると思います。どうか東近江市の皆さんも、末永く、私たちの復興を力強く見守っていただきますようお願いします」と話してくださいました。  本市では、被災地のニーズに応じたできるかぎりの人的支援、物的支援を迅速に行うとともに、一日も早い被災地の復興に向けて、息の長い取り組みを実施していきます。引き続き、市民のみなさんのご協力をよろしくお願いします。 写真=全国からの支援に、感謝のメッセージと復興への力強い決意が寄せられていた(4月17日) 問=生活安全対策課  電話=0748-24-5617 IP=0505-801-5617 ◆新しい100畳敷八日市大凧に 復興への「桜円(おうえん)願い札」  3年ぶりに100畳敷八日市大凧が新調されました。判じもんは、上部左右に辰の絵が、下部に「健」の文字が書かれて「心身健やか」となります。  5月5日には、東日本大震災からの復興の願いや子どもたちの夢を書く「願い札貼り」が行われ、約300人の人たちが八日市大凧に願いを託しました。  このうち、震災からの復興を祈願して作成された「応援願い札」は、「願復興・日本を応援」と書かれ、桜の花とその周囲に円を描くことで「桜円=応援」と読ませています。1枚500円で販売し、85枚分の全額42,500円が義援金として被災地へ送られました。  なお、この応援願い札は、今後も引き続き八日市大凧会館で販売されます。 問=観光物産課  電話=0748-24-5662 IP=0505-801-5662