特集 震災復興の今こそ、エコライフを考える しまつして、きばる 目標は、15%削減 ■記号の説明・・・問=問い合わせ IP=IP電話  東日本大震災をきっかけに、いっそう注目されている「省エネ」。特に、原子力発電所の事故は、毎日の暮らしを支えるエネルギーがどう作られ、生活につながっているのかを改めて考えさせました。  電力不足が心配されている今年の夏、私たちの工夫でできる、身近なエコライフの取り組みについて考えてみましょう。 写真=近江商人イメージ ●エネルギーは限りある資源  現在、日本の発電は、上のグラフのようにその多くが火力発電や原子力発電でまかなわれています。今回のように原子力発電所が停止すると、電気を安定して供給するために火力発電に切り替わりますが、火力発電で用いられる石油やガスなどの燃料のほとんどは輸入に頼っています。つまり、電力は非常に不安定な中で支えられているともいえます。  電気が使える便利で快適な暮らしを支えるために、電力会社や行政は引き続き努力しますが、同時にみなさんの毎日の生活の見直しも、今一度お願いします。 ◇グラフ 日本の発電割合  原子力=31.2%  火力(天然ガス)=26.6%  火力(石炭)=22.2%  火力(石油など)=10.2%  水力=9.0%  地熱=0.4%  新エネルギー(太陽光など)0.4% ●節電・節約は温暖化も防止  私たちの生活は、衣食住をはじめ、すべてにわたって電気が使われています。電気のない生活は1日たりとも考えられないでしょう。しかし、発電量の6割を占めている火力発電は、発電時に二酸化炭素など地球温暖化の原因とされている温室効果ガスを大量に出しています。つまり、節電することで、地球温暖化防止にもつながります。  東日本大震災の影響を受けて、政府や全国の自治体では一般家庭にも夏の節電を呼びかけています。特に7月から9月、日中(午前9時から午後8時)の使用電力を15%減らすことを節電の目標としています。 写真=地球温暖化イメージ(煙突から出る煙) ●『しまつして、きばる』今、見直したい先人の知恵  近江商人が説いた「売り手よし、買い手よし、世間よし」の『三方よし』の精神は、現代の企業におけるCSR※1のさきがけであるといわれます。同じように、持続可能な社会づくりに通じる『しまつして、きばる』という精神文化も古くからあります。  「しまつする」とは、モノや資源を消費するだけではなく、“そのものが持つ価値を十分いかせるよう最後まで大切に使い、ごみにしない”ことをいいます。「きばる」とは、自分ができる範囲で精一杯“がんばる”の意味です。  例えば、米をといだ後の水を捨てずに掃除に使い、その後は庭木にやったり、打ち水に使ったりします。大人の着物が古くなれば、子ども用に仕立て直し、傷めばつぎをあて、最後は雑巾にするといった具合です。農家でも、米の収穫で出るもみ殻は肥料に、ワラは縄やムシロ、草履などに利用し、最後は肥料として田畑にすきこんで何度も活用していました。  「もったいない」※2という言葉が国際語になる数百年前から、昭和30年ごろまでこの近江の地で営まれていた日常生活は、すでに“持続可能なエコライフ”だったのです。  大量生産・大量消費社会に慣れてしまった現代の私たちが、今こそ参考にしたい知恵です。 ※1 Corporate Social Responsibility(コーポレート ソーシャル レスポンシビリティ)の略。企業の社会的責任の意味。 ※2 環境分野において初めてノーベル平和賞を受賞したケニア人女性 ワンガリ・マータイさんは、「もったいない」という日本語に感銘を受け、環境を守る世界の共通語として広めることを提唱しました。 ●すぐできる節電  私たちの暮らしの中で、特に夏の日中には、平均約1200ワットの電気を使っていますが、その約半分をエアコンが、4分の1を冷蔵庫が占めています。特に、午後1時から午後4時にかけては、消費電力が1000ワットを超える電気製品の使用をなるべく控えることが、大きな節電効果につながります。  また、日常生活の支障にならない範囲で照明を間引くことも効果があります。 ◆定格消費電力1000ワット以上の電気製品(主なもの) エアコン、電気ポット、アイロン、電子レンジ、掃除機、ジャー炊飯器、ドライヤー、洗濯乾燥機、温水洗浄便座、オーブントースター、IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機 ※製品の種類や使用方法などによって異なることもあります。 ◇グラフ 家庭での電力消費量の割合  エアコン=53%  冷蔵庫=23%  テレビ=5%  照明=5%  待機電力=4%  そのほか=10% ◆家庭の節電対策メニューあれこれ メニューと1日あたりの削減率、削減電力 ・エアコンの使用を控えて扇風機に 50%(600W)削減 ・エアコンの室温設定を28℃に 10%(130W)削減 ・「すだれ」や「よしず」、ゴーヤなどのグリーンカーテン 10%(120W)削減 ・日中は照明を消して、夜間もできるだけ照明を減らす 5%(60W)削減 ・電気製品の主電源を切る 2%(25W)削減 ※そのほか「洗濯や食器のまとめ洗い」「沸かしたお湯を水筒で保温」「シャワー時間の短縮」「掃除洗濯に風呂の残り湯を再利用」などは効果的です。 ※省エネ家電への買い替えやLED電球への交換も大きな節電効果があります。 ●みんなで工夫して楽しいエコライフ  紹介した取り組みは、ひとりではなかなかハードルが高いかもしれませんが、家族や地域、学校や職場など仲間と一緒だと取り組みやすく、効果も高くなります。  例えば、こんなエコライフなら、楽しいと思いませんか。 ・家族だんらんの時間を見直し、同じ部屋に集まる機会をふやす ・仲間や友人とキャンドルパーティを行なう ・学校や職場で、ゴーヤカーテンづくりに取り組む  楽しみながら気軽に参加でき、節電や省エネ、ひいては震災復興支援にもつながる取り組みを、みんなで始めてみませんか。 資料出典元=資源エネルギー庁の推計による (詳しくは資源エネルギー庁ホームページ http://www.enecho.meti.go.jpをご覧ください) 問=生活環境課  電話=0748-24-5633 IP=0505-801-5633