特集 2011国際森林年 森と人、共(とも)に生きる わたしたちの、みらいのために ■記号の説明・・・時=日時 定=定員 申=申し込み 問=問い合わせ IP=IP電話  今年は、国際連合(国連)が定めた『国際森林年』。  国際森林年は、森林の成長量を超えない範囲、つまり持続可能な範囲で木材を利用していくことの認識を高めるために定められました。  市の面積の半分以上を森林が占める東近江市。森林の問題は、まさに私たちの身近な問題なのです。  今月の特集では、世界や日本の、そして本市の森林の状況と、森林と共生するため私たちが何をしなければならないかを考えます。 写真=山上町の森林 イラスト=2011国際森林年ロゴマーク ●おじいさんは山へ柴刈りに おばあさんは川へ洗濯に…  誰でも聞き覚えのあるこのフレーズは、昔話に出てくる人々の暮らしです。私たちの先祖は、炭の原木や紙・家・食器の材料となる木などを森林から得ていました。これは、本市でも例外ではありません。  本市の森林も、その恵みによって私たちの暮らしを支えてきました。里に近い雑木林や、永源寺の奥山では、炭焼きの跡がたくさん残されており、当時の人と森林の関わりの深さを静かに伝えています。 写真=丸太に貼られたQRコードは、生まれた場所の証 ●世界の森林は今  世界では、この20年間で、日本の国土の約4倍にもおよぶ森林がなくなりました。その多くは熱帯林であり、伐採された木材は、日本やアメリカなどの先進国に多く輸出されています。このことが、日本の学校などで「熱帯林の木を伐採することは悪いこと」と教えられるようになりました。  その一方で、国内の森林は、人の手によって管理されてきた雑木林が伐採されなくなり、シカやサルなどの獣が棲(す)みつき、周辺の田畑の農作物が荒らされるようになりました。また、戦後に植林された人工林は、まもなく伐採し、利用できるようになります。  今、私たちに必要なことは、近くの森の木を伐(き)って使うことで、森林を適正に管理していくことなのです。 写真=荒廃地になったインドネシアの熱帯林(撮影=日本大学客員教授 小林紀之さん) ◇グラフ=世界の森林面積変化と森林率(地域別) (出典元=平成21年度森林・林業白書〔林野庁〕) ・世界計  1990年〜2000年=1年あたり887万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり732万ヘクタールの減少  2005年の森林率=30.3% ・アジア  1990年〜2000年=1年あたり79万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり100万ヘクタールの増加  2005年の森林率=18.5% ・アフリカ  1990年〜2000年=1年あたり438万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり404万ヘクタールの減少  2005年の森林率=21.4% ・ヨーロッパ  1990年〜2000年=1年あたり88万ヘクタールの増加  2000年〜2005年=1年あたり66万ヘクタールの増加  2005年の森林率=44.3% ・北中米  1990年〜2000年=1年あたり33万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり33万ヘクタールの減少  2005年の森林率=32.9% ・南米  1990年〜2000年=1年あたり380万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり425万ヘクタールの減少  2005年の森林率=47.7% ・オセアニア  1990年〜2000年=1年あたり45万ヘクタールの減少  2000年〜2005年=1年あたり36万ヘクタールの減少  2005年の森林率=24.3% 【森林率】森林面積/土地面積×100 ◆森と暮らす[Part1]びわ湖の森の健康診断「キキダス」  市民のボランティアで組織された「キキダス」は、人工林の森林管理の大切さや、森林資源の活用方策などを現地で地元の人たちと話をしながら調査しています。  市内の森林約40か所を調査した結果、半分以上の場所でシカによる皮剥ぎの被害が確認されました。多くの人たちに、山の現状や素晴らしさを体験してもらうため、これからも活動は続きます。 写真2枚=キキダスの活動風景 ●今年は「国際森林年」  今年は、国連が定めた国際森林年です。これは、世界的に『森林の成長量を超えない範囲で、賢く木材として活用していく』ことの大切さを、世界中で認識してもらうことを目的としています。  今を生きる私たちには、「暮らしと離れてしまった現代の森と、どのように関わっていくことができるのか」を考えながら、次の世代に豊かな森を引き継いでいく責任があります。 ●東近江市の森林  本市の森林面積は、下のグラフにもあるように、市の面積の56%にもなります。  また、その森林のうち、国定公園などの自然公園は約半分にのぼっており、特に三重県との境に位置する鈴鹿山系は、希少種の動植物も生息する貴重な森です。  森林の所有形態では、97%を民有林が占めています。そのうち、個人所有が約3割、集落所有が約2割、公団・公社が約2割という内訳になり、個人の所有林が最も多いことが分かります。  また、森林のうち、人工林は約3割であり、その多くが間伐(かんばつ)などの手入れが必要な林齢(林の年齢)を迎えています。 ◇グラフ=東近江市の森林の割合 (資料出典元 東近江市統計書、滋賀県統計書、滋賀県森林・林業統計要覧〔いずれも平成21年度〕から作成) 【東近江市の総面積 388.58平方キロメートルのうち】  森林=218.66平方キロメートル(56.3%)  田畑=89.22平方キロメートル(23.0%)  宅地=22.73平方キロメートル(5.8%)  そのほか=57.97平方キロメートル(14.9%) 【森林の内訳】  自然公園※=108.61平方キロメートル(49.7%)  そのほか =110.05平方キロメートル(50.3%) ※自然公園=国立公園、国定公園、県立自然公園 ◆大好き!ぼくらの「木の机」  山の恵みから生まれた、机と椅子  市立箕作(みつくり)小学校では、5・6年生の教室に、永源寺地区の森林で育った木で作られた学習机と椅子が導入されています。木には、人の心を落ち着かせる効果があり、子どもたちは木の良さを体感しています。 「前に使っていた普通の机や椅子と違って、自然の良さがあり、柔らか味があってあたたかいです。これからも大切に使うよ!」と笑顔で答えてくれた、箕作小学校6年の中澤優斗(なかざわゆうと)くん、青野一登(あおのいっと)くん、 和久祐大(わくゆうだい)くんの3人。(写真あり) ◆森と暮らす[Part2]〜森の資源は再生可能エネルギー〜  高温性の観葉植物「アンスリウム」を栽培している湖東フラワーでは、平成20年秋から温室を暖める主要な暖房を木材ボイラーに切り替えました。燃料となる木材には、間伐材など通常は廃棄される木材を使用。この3年間でドラム缶1,200本分の重油を削減でき、地球温暖化防止にも貢献しています。 写真2枚=アンスリウムの栽培風景、木材ボイラー ◆地域の森林管理に貢献する紙製品を市役所で導入  東近江市では5月から、湖東地域(本市および彦根市・犬上郡多賀町・愛知郡愛荘町・蒲生郡日野町)の間伐材を活用したコピー用紙を、県内の自治体で初めて導入しました。  このコピー用紙は、湖東地域材循環システム協議会(kikito=キキト)で販売されているもので、1箱(2,500枚入)1,995円(税込み)。この紙を利用することで、地域の森林資源の活用と世界の森林資源の保全につながります。  またkikitoでは、このほかにも木の風合い豊かなバインダーやマウスパッド、名刺入れなども販売されています。 写真=コピー用紙、木の風合い豊かな商品各種 ●私たちの未来のために  幕末から明治にかけて、旧永源寺町の茨川、甲津畑、御池、向山などは鉱山として栄え、鉛、銅、銀などが生産されていました。周辺の森林は、その精錬に必要な木材や炭の生産現場として重要な役割を果たしてきました。また、同じころには杉の植林も始まっており、今、百年を超える杉の大木を伐採して利用できるのは、当時の森づくりがあったからにほかなりません。  政府は、国際森林年の今年を「森林・林業再生元年」として位置付け、私たちの先祖が将来を夢見て育ててくれた森林を活かすために、さまざまな取り組みを始めています。その目標に、木材自給率を平成22年の26%※から50%まで引き上げることを掲げています。  森林資源は、私たちの暮らしの中で、建築材や家具、小物だけでなく、紙製品やエネルギーとしても利用されている身近な存在です。私たち人間と森林が、これからも共に生きていくためにも、地元材で作られたこれらの製品を、身の回りに増やしてみませんか。 ※平成22年度木材需給表(林野庁)による 【木材自給率】国内生産量/総需要量×100 ◆森と友だちになろう! 【森と暮らしの体験ツアー!】  地域の森林を元気にする活動をしている湖東地域材循環システム協議会では、木材の生産現場から、家が出来るまでをめぐるバスツアーを企画しています。  詳しくはお問い合わせください。 時=11月20日(日) 定=20人 申・問=湖東地域材循環システム協議会(kikito)  IP=0505-801-0995 メール=info@kikito.jp 【風土木の家「木と土のしごと場めぐり」】  木の家づくりにかかわる職人の仕事場を巡るバスツアー。実演や体験を通して、手仕事での家づくりの魅力に触れます。  詳しくはお問い合わせください。 時=11月20日(日) 定=23人 申・問=風土木の家  電話=0749-45-8117 メール=info@fudokinoie.com 写真2枚=ツアーの様子 問=農林水産課  電話=0748−24−5660  IP=0505−801−5660 問=緑の分権改革課  電話=0748−24−5563  IP=0505−802−9021