特集1「緑の分権改革」地域の資源を宝にかえる  私たちの暮らしに当たり前のようにあるもの・・・  田園、畑、森林など、日常にある何気ないものを「宝」として生かす取り組みが始まっています。  これらは、今まで生かされていない地域の資源をさまざまな分野が連携し活用することで、地域の絆や地域力を強めることにつながっています。市ではこれらを「緑の分権改革」として取り組んでいます。  今回は、その活動の一部を紹介します。 ◆「緑の分権改革」って?  地域の豊かな自然環境や自然エネルギー、安全で豊富な食料、歴史文化などの資源を活用して、地域内でヒト・モノ・カネがまわる仕組みを作り上げ、地域の絆の再生、地域力の向上をはかる取り組み(下図参照)を「緑の分権改革」と呼びます。 緑の分権イメージ図=現状:地域から人・資源・資金が大都市・海外・大規模エネルギー供給・・・へ流出。           改革後:地域で人・資金・歴史伝統文化・自然エネルギー・食料・人が循環すること(自給力と創富力による成長)で大都市・海外・大規模エネルギー供給・・・と共存する。 ◆自然エネルギー 〜森林をみんなの力で宝に〜薪(まき)プロジェクト  自然エネルギーが見直されるなか、放置されている雑木林を資源として活用することで宝物にかえる取り組みです。里山保全ボランティアと林業事業体が雑木林を整備し、薪を作ります。これを、市内の薪販売業者と障がい者が連携して、薪ストーブ利用者に届ける「市民協働型」プロジェクトです。 写真=薪割り作業 ◆人・交流 〜田舎暮らしに価値を見い出す〜体験交流型旅行の推進  農林漁業地域と都市とが交流を図り、さまざまな体験を通して田舎の魅力を再発見し、絆を創(つく)る取り組みです。  市内各地の市民団体と市が連携して東近江市体験交流型旅行協議会を設立し、事業を進めています。  今年度は、永源寺地区、愛東地区の家庭にて、東京都、兵庫県、奈良県の中学生290名が体験を通じ、地元の人と交流しました。 写真=初めての田植えを体験する中学生たち 問=観光物産課 電話=0748−24−5662 IP=0505−801−5662 ◆食料 〜農地を最大限に生かす〜東近江市フードシステム協議会  地元で収穫された農作物の生産から流通、販売までのシステムづくりをめざして、市内の4つの農協、(財)愛の田園振興公社、ヤンマーアグリイノベーション梶A市が参加して協議会が設立されました。  今年度は農家の経営安定化と安全・安心な食の提供を実現するため、マーケティング調査や野菜の低コスト栽培調査などに取り組んでいます。 写真=アクティブファーム百済寺のみなさん(表紙でも紹介しています) 問=農林水産課 電話=0748−24−5660 IP=0505−801−5660 ◆共有 〜地域の新鮮な情報を知る〜地域情報ポータルサイト(※1)「東おうMe!!」  @地産地消 A情報共有の場 B東近江市を知る C生活情報を知る  この4つをキーワードに、インターネット上の市内情報を集めたポータルサイトを構築しようとするものです。  4月の開設に向けて、官民協働で取り組みを進めています。 (サイトの名称はびわこ学院大学の学生が考案しました) 地域情報ポータルサイトイメージ図=インターネット利用者が、「東おうMe!!」を利用し、地産地消・生活情報・子育て情報・クチコミ・観光の情報を得る。また、インターネット利用者のブログ・ソーシャルメディア(フェイスブック、ツイッターなど)を「東おうMe!!」につなげる。 ※1 ポータルサイト:さまざまなサイトを集めたインターネット情報の入り口機能持つサイト ◆まだまだある地域の宝  今回紹介した活動のほかにも、文化、歴史、自然など地域にはたくさんの宝が眠っています。  それらを生かしていくことが地域活性化のひとつとなります。今後も資源を宝にかえるアイデアを市民のみなさんと一緒に実現していきます。 問=緑の分権改革課 電話=0748−24−5563 IP=0505−802−9021 ◆この本おすすめ! 「緑の分権改革−あるものを生かす地域力創造−」  総務省自治財政局長 椎川忍/著(学芸出版社)  緑の分権改革」がわかりやすく説明されています。  著者の椎川局長は講演などで本市に来られたことがあり、地域の先駆的事例として紹介されています。 ※市内図書館で借りることができます  写真=本の表紙 特集2 誰もが安心して暮らせる医療体制をめざして     「東近江市立病院体制整備実施計画」策定 ◆平成23年11月に「東近江市立病院体制整備実施計画(以下、実施計画)」を策定しました。  実施計画では、今後の市立能登川・蒲生両病院の医療提供体制を定め、整備を進めます。 写真=能登川病院、蒲生病院の建物外観 ◆実施計画ができるまで  平成22年6月に、市内の医療体制を示した「東近江市病院等整備計画(以下、整備計画)」を策定しました。  この整備計画は、市内の公立3病院(国立病院機構滋賀病院、市立能登川病院、市立蒲生病院)を再編し、滋賀病院を急性期医療などを実施する中核病院とし、市立能登川・蒲生両病院は、中核病院をはじめとした急性期医療機関の後方支援病院とするものです。  整備計画を具体化するため、平成23年8月から3回にわたって、「東近江市立病院体制整備委員会(委員長 中村喜久生東近江医師会長)」を開催しました。  同年11月には、「東近江市立病院体制整備実施計画」を市長に答申され、それを受けて市は、実施計画を策定しました。 写真=市長に「東近江市立病院体制整備実施計画」を答申 ◆これからの市立病院のカタチ  この実施計画では、能登川病院は、中核病院など近隣の急性期医療機関の後方支援病院として、亜急性期※1から回復期患者を積極的に受け入れることを基本方針としています。蒲生病院は現在の医療水準を維持しながら、平成25年度以降、(仮称)蒲生医療センターとして、家庭医※2を含んだ医療体制を構築し、地域包括医療※3を実践するとしています。  今後は、在宅医療の一層の充実や支援に努めます。また、他の医療機関や介護福祉施設との連携を密にし、保健、医療、福祉サービスを一体的に提供します。 ◆安心の医療体制を地域ぐるみで  在宅医療は、通院が困難な人に対し、かかりつけ医などが訪問診療を行うことです。病状に応じて、医師や看護師のほか、訪問介護やリハビリテーションなどの福祉や介護サービスが受けられ、患者とその家族を支えます。  家庭医は、患者の病状だけでなく、かかりつけ医として家族全員の健康状態や生活状況全般を含めて一体的に診察します。また、地域住民の予防や治療などを行います。  高齢化がより一層進む中で、地域住民が安心してその地域で生活ができ、やがて訪れる最期を迎えることができる環境を整えるため、かかりつけ医や保健、福祉、介護など、さまざまな職種や施設と地域が連携していきます。  この実施計画を基に、市民のみなさんが安心して暮らしていけるように、市立病院の医療体制を進めます。 写真=患者と家族に寄り添った訪問診療を行う医師と看護師(湖東診療所) ◆医療体制のイメージ図=患者と家族を中核病院(仮称)東近江総合医療センター、能登川病院、(仮称)蒲生医療センター、近所の開業医・診療所(かかりつけ医)、病院、介護老人保健施設・特別養護老人ホームなどの福祉(介護)施設、デイサービス・通所リハビリなどの福祉や介護サービスが協力・連携し合い支える。 ◇能登川病院=病床数:60床(一般病棟、うち亜急性期10床)※亜急性期から回復期までの患者を受け入れ 診療科:総合内科、外科、脳神経外科、整形外科、肛門外科、小児科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、皮膚科 特色:●肝臓クリニックとして、専門医が肝臓疾患の治療を実施 ●人間ドック、生活習慣病予防健診、特定健診など実施 ●ケアプランの作成、訪問リハビリテーションの実施 ◇(仮称)蒲生医療センター=病床数:19床までの有床診療所 診療科:総合内科、外科、整形外科、脳神経外科、小児科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、婦人科、放射線科 特色:●家庭医療学講座※4を設け、家庭医を育成 ●消化器センターを設置し、肝臓疾患や内視鏡検査を中心とした消化器内科を実施 ●検診センターを設置し、人間ドック、生活習慣予防健診、特定健診などを実施 ●ケアプランの作成、訪問看護、訪問リハビリテーションの実施 ◆用語解説 ※1 亜急性期  重症な状態にある病気やけが、救急医療などの急性期医療を終えた人が、回復するまでの継続治療として、自宅退院や施設入所などに向けて一定期間の治療などを行う段階のこと。 ※2 家庭医  地域で初期診療を担い、あらゆる年齢や幅広い疾患に対応し、多職種と連携しながら在宅看取りまで診ることができる専門医のこと。 ※3 地域包括医療  地域住民が住み慣れた場所で安心して生活ができるように、治療だけでなく健康づくりなどの保健サービス、医療サービス、福祉や介護サービスのすべてを包括的に行うこと。 ※4 家庭医療学講座  医学的技能の専門性などにとらわれず、患者の抱える問題の大部分に責任をもって対応し、保健、医療、福祉、介護の各分野と連携することにより、患者と家族、生活する地域を視野に入れた医療が提供されることをめざす、良質な医療人育成と質の高い研究を行う講座のこと。 問=地域医療政策課・病院管理課 電話=0748−24−5685 IP=0505−801−5664