特集 3月は【自殺対策強化月間】 守りたい 大切な命  大切な人の命を支えるために、あなたにできること  わが国は、平成10年以降、毎年3万人以上の人が自殺によって亡くなる危機的な状況です。  あなたの身近に、悩みや問題を抱えてつらい思いをしている人はいませんか。かけがえのない大切な命を守るために、あなたにもできることがあります。  今月の特集は、「自殺防止」について考えます。 ■自殺≠ニ自死  自殺で家族を失ったご遺族は、「自殺」ではなく「自死」と表現される場合があります。 ●減らない自殺  近年の県内自殺者数は、平成22年356人、平成23年376人※1となっており、全国でも2番目に高い増加率です。本市でも平成5年以降増えており、現在では毎年30人前後の人が、自ら命を絶っているのです。  自殺は、健康・生活・家庭・仕事・男女・学校などのさまざまな問題が複雑に絡み合い、「一人で悩みを抱え込み、心理的に追い込まれた末の死」であることが少なくありません。特に、心理的、社会的負担の大きい中高年の男性の自殺が増えています。  月別では3月が最も多く、死者数は、がん・心疾患・脳血管疾患の三大死因に匹敵します。  かけがえのない大切な命を守るために大切なことは、心の不調に気づくこと、専門的な機関へつなぐこと、そして優しく見守ることです。 ※1:発見日・発見地でまとめた平成24年1月25日現在の暫定値(滋賀県警まとめ) ◆グラフ=東近江市の自殺者数の推移(本市まとめ) ◇男性  平成18年=14人  平成19年=18人  平成20年=25人  平成21年=16人  平成22年=17人 ◇女性  平成18年=5人  平成19年=11人  平成20年=6人  平成21年=3人  平成22年=9人 【気づき】 ●しんどい≠フサインに気づく  最近、家族や仲間の様子が少しおかしいな、と感じたことはありませんか。例えば、寝つきが悪かったり、笑顔を見せなくなったり…。  自ら命を絶った人の9割が、何らかの心の病を有していたとの報告があります。その中で最も多かったのが「うつ」の状態です。  心の不調は、感情や意欲低下などの心の変化を自覚することが難しく、周囲の人たちも気づきにくいものです。  あなたの身近な人は、心に疲れをためこんでいませんか。いつも身近にいるあなただからこそ感じる、しんどい≠フサインを大切にしましょう。 ●どうしたの≠ゥら始めよう  心のサインに気づいたら、「どうしたの?」と声をかけてみましょう。そして、「疲れてる?」「眠れてる?」など、身体面を気づかう優しい言葉をかけましょう。  また、声をかけることは、あなたを孤独にはしない≠ニいうメッセージにもなります。 ◆健康ですか あなたのこころ  最近2週間のあなたは、どちらにあてはまりますか。 1.毎日の生活に充実感がない はい/いいえ 2.これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった はい/いいえ 3.以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる はい/いいえ 4.自分が役に立つ人間だと思えない はい/いいえ 5.わけもなく疲れたような感じがする はい/いいえ 6.死について何度も考えることがある はい/いいえ 7.気分がひどく落ち込んで、自殺について考えることがある はい/いいえ 8.最近(ここ2週間)ひどく困ったことやつらいと思ったことがある はい/いいえ ※6の死は、「自殺に結びつくような死」を意味します。 ※8は内容により判断(配偶者や家族の死亡、親戚や近隣の人の自殺、医療機関からの退院 などの場合) (出典:大野裕「うつ状態のスクリーニングとその転機としての自殺予防システム構築に関する研究」報告書より) ◇「はい」が、《1〜5の項目で2つ以上》、《6〜8の項目で1つ以上》該当すれば、医師や保健師などの専門家に一度相談してみましょう。 ◆相談は自殺を防ぐ第一歩 東近江市セーフティーネットワーク会議  本市では平成19年度から、追い込まれた人からの相談を受け、支援を行うための相談窓口を設置しています。  自殺対策をより強化するため、平成21年度からは税や福祉、健康など6部署17課が連携し、市民のみなさんから寄せられる相談について迅速かつ適切な対応を図っています。 ◇イメージ図  相談者が「総合相談窓口(市民相談室)」に悩みや問題を相談。  相談を受けた市民相談室は、内容により関係部署へつなぎます。税や保健、健康、福祉などの各課窓口と連携し、また保健所や医療機関などの関係機関の助言を受けることで、専門的な知識をもった機関が悩みの根っこを解決し、相談者を支援します。 ●子どもたちからいじめを根絶  本市では、平成21年度から、小中学校と協働したいじめ根絶に向けた取り組みと、心に傷を負った児童生徒の心のケアを目的とした緊急対応特別相談員(臨床心理士)派遣を実施しています。  いじめは、人権を著しく侵害するだけでなく、最悪の場合は自殺にもつながります。子ども社会からいじめを根絶することをめざし、学校・家庭・地域が一丸となって取り組んでいます。  学校では、いじめの「芽」をいち早く見つけ、適切な指導を行うことで、児童生徒のよりよい人間関係づくりを支援しています。また、児童生徒自らが「いじめのないよりよい学校」をつくる、児童会・生徒会活動も推進しています。  また、教育委員会で展開している「ストップ!いじめ」啓発事業では、イメージキャラクターと合言葉を選定し、それらが記載された啓発グッズを製作。人形やマグネットシート、クリアファイルなどで、児童生徒だけでなく広く市民のみなさんにも啓発しています。各小中学校では、配布されたのぼり旗をあいさつ運動などで活用しています。 写真=玉園中学校での啓発活動、マモルマン人形などの啓発グッズ 問=学校教育課  電話=0748-24-5671 IP=0505-801-5671 【傾聴】 ●あるがまま≠受け入れて  あなたの声かけで、少しずつ話ができるようになったら、時間をかけて、悩みや不安に耳を傾けましょう。つらかった出来事を思い出していることもあります。茶化したり、気持ちを否定してはいけません。「頑張れ」の励ましも厳禁。本人の気持ちを尊重して、耳を傾けましょう。  話を聞いたら、「つらかったね」「よくやってこれたね」「もう大丈夫だよ」など、ねぎらいの気持ちを伝えましょう。 ◆傾聴のポイント 【受容】本人の気持ちや言葉を尊重し、否定せずにあるがまま受け止めます。善悪の評価や助言は不要です。 【共感】相手の立場や気持ちを共に感じること。うなずくだけでもいいでしょう。   【つなぎ】 ●専門家の力を借りよう  話を聞くことで見えてきた問題を解決することが、つらさや悩みを解消する第一歩となります。  一人で悩んでいるだけでは解決しない心の病や社会的な問題も、専門家に相談することで、具体的な解決への糸口が見つかることがあります。  ぜひ、悩みに応じた専門の機関に相談し、連携するよう勧めましょう。 【見守り】 ●温かく寄り添いながら、じっくりと  抱えている悩みや問題に応じた専門家につないでも、一度悩みを抱え込んでしまった人は、すぐには元気になれないものです。  今までと同じように、自然な雰囲気で声をかけたり、家庭や職場でその人への負担を減らす配慮をしましょう。そうすることで、ゆっくりですが確実に健やかな心を取り戻していきます。日々の様子に一喜一憂せず、温かく見守りながら、回復を支えましょう。 ●悩みを抱え込まないで  つらい苦しみや悲しみ、自分だけでは解決できそうにもない問題を、一人で抱え込むことは、悩んでいる人をいっそう孤独に追い込みます。  大切な人のために、あなたの小さな気づきから、命の見守りを始めてみませんか。 ■自死遺族の二重の悲しみ  家族を自死(自殺)で亡くした「自死遺族」は、大切な人を失った悲しみや自責の念に苦しむ一方、自死への偏見や差別にもさらされています。  生前、その人が抱えていた痛みや、ご遺族の悲しみに思いを寄せ、静かに見守ることが必要ではないでしょうか。 ◆こころの耳  働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト−心の健康管理と自殺や過労死の予防−  働く人自身はもちろん、ご家族や上司・同僚など、身近な人の力になる場所や人を一緒に探せるサイトです。この扉を開けて、解決への糸口をつかんでみませんか。 URL=http://kokoro.mhlw.go.jp/ *厚生労働省からの委託を受けて(社)日本産業カウンセラー協会が運営 ◆心の悩みに困ったときの 身近な相談窓口 ◇こころやからだの不調の相談  最寄りの保健センターに相談してみましょう。悩みや不安の解決に、希望の光が見えることもあります。まずはお気軽にご相談ください。 問=八日市保健センター 電話=0748-23-5050 IP=0505-801-5050 問=湖東保健センター  電話=0749-45-3331 IP=0505-801-3331 問=能登川保健センター 電話=0748-42-8702 IP=0505-801-8702 問=蒲生支所2階    電話=0748-55-2910 IP=0505-801-2910 ※保健師が常駐しています 問=滋賀県東近江保健所 電話=0748-22-1300 ◇こころの悩みの相談 問=市民相談室     電話=0748-24-5616 IP=0505-801-5616 問=滋賀いのちの電話  電話=077-553-7387(金・土・日曜日:午前10時〜午後10時) 問=こころの電話    電話=077-567-5560(平日:午前10時〜午後9時) ◇学校の悩み、こどもの悩み相談 問=こころんだいやる  電話=077-524-2030(平日:午前9時〜午後9時) 問=子どもの人権110番  電話=0120-007-110 問=市民相談室  電話=0748-24-5616 IP=0505-801-5616 問=健康推進課  電話=0748-24-5646 IP=0505-801-5646