特集 東近江市総合計画 後期計画 幸せを実感できる 成熟“東近江市”をつくろう  東近江市では、まちづくりの目標や方向を示した「東近江市総合計画」を平成19年3月に策定し、市民・事業者のみなさんと行政が一丸となって、まちづくりに取り組んできました。  計画から5年が経過し、社会や経済をとりまく環境が大きく変わる中、今後5年間のまちづくりの方向性を示す「東近江市総合計画【後期】」を策定しました。  今回の特集では、後期計画で見直した項目や新たな視点を紹介し、今後のまちづくりを考えます。 写真=市民が運営する多彩なまちづくり活動が、市内各地で行われています ●「後期計画」とは  基本構想の実現に向け、まちづくりに取り組む施策を定めた前期基本計画が平成23年度で終了するため、平成24年度から5年間の「東近江市総合計画【後期】」(※紙面では後期計画と記載)を策定しました。  後期計画の策定にあたっては、総合計画審議会*1で10回の会合を重ねていただき、活発に審議をしていただきました。3月21日には、稻川会長から西澤市長に答申され、その後市議会への報告を経て、後期計画としたものです。 *1 東近江市総合計画審議会  総合計画の策定にあたり、市長の諮問に応じ、必要な事項の調査や審議を行い、市長に答申することを目的に、平成22年11月に設置しました。  三重大学人文学部の稻川武宣(いながわ たけのぶ)准教授(現在は厚生労働省勤務)を会長に、多方面で活躍されている市民など15人で構成。審議会のほかにも市職員で構成される専門部会への参加や2回のシンポジウムの開催など、精力的に協力していただきました。 写真2枚=総合計画シンポジウム、稻川会長から西澤市長への答申 ◆イラスト=東近江市総合計画の構成 ・基本構想  平成19年度から平成28年度までの10年間を展望し、まちづくりの基本理念と将来像、基本方針を示したものです。 ・基本計画  将来像を達成するために取り組む施策を示したものです。今回策定した「後期計画」がここにあたります。 ・実施計画  基本計画に示された施策について、計画する主な事業の内容や事業費などを具体的に示したものです。 写真=遊林会が主催する、森での体験活動 ●策定のポイント  総合計画審議会では、今後のまちづくりを行う上で、次の点を考えながら議論が行われました。 1.右肩上がりの成長意識からの脱却  平成22年国勢調査によると、全国の4分の3の市町村で人口が減少し、本市でも前回調査をピークに初めて減少しました。今後はさらに人口が減少し、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少による経済的影響や、65歳以上の高齢者が増えることによる医療や福祉の負担増が予想されます。  こうしたことから、財政状況は一層厳しくなると見込まれ、右肩上がりの成長を前提としたまちづくりから転換する必要があります。 ◆グラフ=総人口と年齢別の人口推移 ・平成12年  総人口:114,323人  14歳以下:16.8%  15歳〜64歳:65.3%  65歳以上:17.8% ・平成17年  総人口:116,797人  14歳以下:15.9%  15歳〜64歳:65.1%  65歳以上:19.0% ・平成22年  総人口:115,479人  14歳以下:15.9%  15歳〜64歳:63.0%  65歳以上:21.5% ・平成27年  総人口:113,238人  14歳以下:15.9%  15歳〜64歳:60.2%  65歳以上:25.0% ・平成32年  総人口:110,118人  14歳以下:15.9%  15歳〜64歳:58.2%  65歳以上:27.6% 2.市民と行政が地域の力を結集し、市民満足度を高める  地域の絆(きずな)をつなぎなおし、助け合いの心をはぐくむことで、市民が自ら夢を実現できるしくみを築くことが大切です。成長時代のように、量的拡大を追及するだけではなく、人間らしい豊かさという成熟時代にふさわしい市民満足度を高めるしくみが求められています。 写真=市民が運営する冒険遊び場には、子どもたちの笑顔があふれます 3.「選択と集中」の観点と明確な財源、達成目標  これからの公共サービスは、「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」というように『選択と集中』で事業を実施することになります。そして、事業の財源や達成目標を明確にすることで、市民ニーズやサービスの効果を検証することも必要不可欠です。  行政が一律に行ってきた公共サービスは、市民の「〜してほしい」(要求)と「〜したい」(欲求)が結びつくことで、今まで以上にきめ細やかな公共サービスが生まれることが期待されています。 写真=清水・小脇街づくり委員会では、ハイキングのための案内看板を設置 ●まちづくりの6つの基本方針 1.市民が主役となるまちづくり  市民一人ひとりが輝き、つながりあう中で自らの個性や能力が発揮できる取り組みを進めます。また、地域において、行政とともに地域づくりを担える人材を発掘・育成し、多くの市民が積極的に地域で活動できるしくみをつくります。 写真=多くの人たちで賑わうコトナリエも、市民ボランティアで準備・運営されています 2.人と環境にやさしいまちづくり  地球規模の温暖化や生物の保全などを意識しながら、自然との共生をめざします。そして、身近な自然環境を活用・保全し、環境負荷を減らす暮らしの実践、真に豊かさを実感できる生活環境の実現に取り組みます。 写真=etokoro(えところ)では市内の事業者が製作した「薪ストーブ」を設置 3.誰もが笑顔で暮らせるまちづくり  保健・医療・福祉・介護の連携を強め、市民ニーズに対応していきます。地域での支え合いや絆を大切にし、住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らせるよう、自助・互助・共助・公助の連携のもと、社会参加ができるまちづくりを進めます 写真=「地域から医療福祉を考えるフォーラム」での啓発活動 4.次代を担う人材を育むまちづくり  若い世代が子育てに夢を持ち、安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりを進めます。また、子どもたちの健康・学力の定着を図り、子どもたちが元気に安心して学ぶことができる教育環境の整備を進めます。 写真=4月から給食を開始した建部幼稚園 5.地域の活力を生み出すまちづくり  農業の地産地消と東近江ブランドの開発、林業の多面的な機能保全を進めます。また、事業者の支援や育成とそれにともなう雇用の創出、観光資源の掘り起こしによる観光振興により、地域産業の振興と税収増加を図ります。 写真=フードシステム協議会では、食の自給をめざして栽培実証調査を実施 6.市民生活、地域経済を支えるまちづくり  豊かな市民生活や活力ある地域活動を支え、地域内や周辺地域との交流を深め、まちの魅力を高めます。また、都市基盤の充実に合わせて、豊かな自然環境と共生した土地利用、河川整備や砂防対策、地域情報化を進めます。 写真=三方よし商品券も、地域経済活性化のための新しいしくみの一つです ●市民活動が主役のまちづくり  東近江市が誕生して、8年目を迎えました。「市民との協働」を掲げて、合併後のまちづくりを進めてきた中で、市内にはたくさんの市民活動が芽生えてきています。また、団塊(だんかい)の世代の退職を迎えて、市内にはさまざまな知識と経験を積んでこられた人たちがあふれています。その人たちと市民活動・地域活動が「つながる」ことで、新たな活動が生まれると考えられ、そうしたしくみづくりに取り組みます。  環境、福祉、教育、産業など、刻々と変化する時代の流れをとらえた取り組みを行うとともに、人口減少による衰退ではなく、成熟した安定社会をめざした今後のまちづくりのために、市民のみなさんのご理解とご協力をお願いいたします。 問=企画課  電話=0748-24-5610 IP=0505-801-5610