◎特集 今こそ、地域エネルギーを考えよう ◆電気は大規模な設備でつくられ、遠くから運ばれてくる。 そんな従来の方法論が、変わろうとしています。各地域で拡がりつつあるのは、自然の恵みを生かして「電気をつくる」取り組みです。国の新制度のスタートを機に、その動きは私たちにとっても身近なものになるはずです。 写真:八日市西小学校屋上に設置の太陽光パネル 写真:八日市西小学校玄関先の太陽光発電モニター 写真:愛東南小学校にて太陽光パネルによる発電実験 ◆再生可能エネルギー  燦々(さんさん)と降り注ぐ太陽光をはじめ、風力、地熱など自然の活動を利用した地球環境への負荷が少ないエネルギーを「再生可能エネルギー」といいます。  これらのエネルギーは、絶えず再生・供給されていますが、その普及は思うように進んでおらず、日本の電力の1%程度にとどまっているのが現状です。 ◆今日から始まった新制度  原子力発電所の再稼働問題をきっかけに再生可能エネルギーへの関心が高まっています。  そうした中、平成24年7月1日、再エネ法※1に基づき、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、国が定める価格で買い取ることを電力会社に義務付ける「固定価格買取制度」が始まりました。 ◇教えて!「固定価格買取制度」 ・制度の対象と、その仕組みは? ・太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気が対象です。買取に必要な費用は、再エネ賦課金という形で電気を使うすべての人が負担します。 【出典・参考】経済産業省資源エネルギー庁 「なっとく!再生可能エネルギー」 http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html ◆注目される市民共同発電所  市内には市民出資の太陽光発電所が2つあります。1号機は八日市やさい村(写真@:やさい村の屋根に設置されている太陽光パネル)、2号機はラジオスイート(FMひがしおうみ)の屋根に設置されています。  これらの市民共同発電所は、個人が少しずつ資金を出し合い、太陽光パネルを設置し、発電して得られた価値を三方よし商品券※2に換えてみんなで分け合う仕組みとしています。市民が等しく太陽エネルギーの恵みを受ける機会が提供され、地域経済の活性化にもつながる取り組みとして多方面から注目されています。 ◆公共施設の屋根などの活用  市では、固定価格買取制度に対応し、市有の建物の屋根や敷地の一部などに太陽光パネルなどを設置できるよう、法的な課題を整理し、条件面の整備を行っています。  建物は、耐震性が確保されているなど安全に問題がない場合に限って、市有施設を活用していただけるよう進めています。この取り組みは、災害などが発生したとき非常用電源として使用できるというメリットもあります。 ◆太陽の恵みを学校にも  市立の小中学校では、校舎の施設整備や改修時期にあわせて国の補助金などを有効活用し、太陽光発電システムを積極的に導入するようにしています。22校ある小学校では、すでに11校に設置(うち1校は寄付)し、平成25年度までに3校に設置予定です。また、9校ある中学校ではすでに2校に設置し、さらに2校の設置を予定しています。また、太陽光パネルを製造する市内の事業所の協力を得て、地域の将来を担う児童のみなさんに環境・エネルギー学習の機会を提供しています。 ◇学校への太陽光発電設備の導入状況 ・設置している学校 八日市南小学校:10kW 箕作小学校:10kW 八日市北小学校体育館:10kW 八日市西小学校:10kW 山上小学校:20kW 五個荘小学校:20kW 湖東第一小学校:10kW 能登川東小学校:10kW 蒲生東小学校木造交流施設:10kW 蒲生西小学校:4kW 蒲生北小学校:10kW 愛東中学校:10kW 湖東中学校:10kW ・平成24年度〜25年度で設置する学校 御園小学校:10kW 布引小学校:10kW 湖東第三小学校:10kW 玉園中学校武道場:10kW 船岡中学校:10kW ◇用語解説 ※1 再エネ法  「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の略。エネルギー源の多様化や地球温暖化防止、地域の雇用促進などにつながると期待されています。 ※2 三方よし商品券  八日市商工会議所と東近江市商工会が連携して発行している地域限定、期間限定の商品券です。市内の登録店で利用可能。有効期間は3か月間と定められています。 ◆地域エネルギーの事例 ★風力や太陽光を利用した照明  平成22年10月にオープンした布引運動公園陸上競技場は、次世代エネルギーパーク構想(資源エネルギー庁認定)の拠点施設と位置づけています。このため、公園内の照明には、風力や太陽光を利用するハイブリッド照明設備を10基導入しています。(写真A:風車と太陽光パネルが設置された照明) ★ダムの落差を利用した水力発電〜永源寺発電所〜  関西電力鰍ヘ、永源寺ダムの直下に水力発電所を建設し、昭和48年に運転を開始されました。この永源寺発電所では45・9mの落差を利用し、一般家庭約4,500世帯の電気を賄うことができる5,000kWの発電が行われています。(写真B:永源寺ダムにある水力発電所の外観)また、永源寺地区の黄和田発電所、神崎川発電所も水力発電が行われています。 ★廃食油で発電するイベント  毎年8月にひばり公園で開催されるコトナリエサマーフェスタは、地球環境にやさしいイベントです。LED照明などを使ったイルミネーションの電力は、湖東地区の家庭から回収した廃食油から精製したバイオディーゼル燃料で動く発電機で供給されています。(写真C:廃食油を回収している様子) ◇環境・エネルギー学習の取り組み 京セラ且賀蒲生工場 環境安全部環境課 布本恭子(ふもときょうこ)さん  「太陽光パネルで発電する様子や、省エネ・節電についても伝え、子どもたちが環境問題を考えてくれるきっかけになれば」と笑顔で話してくださったのは、環境出前授業を担当されている布本さん。  市内にある京セラ鰍ナは、県内の小学校からの要請で、年間10回以上、環境出前授業を実施されています。クイズや実験を取り入れた授業はわかりやすく楽しいと子どもたちに人気です。 写真=布本さんの顔写真 ◆市の取り組みと支援  市では、自治会が指定する一時避難施設や一般家庭に、太陽光発電システムを設置される場合の助成制度(事前申請が必要)を設けています。自然の恵みを生かして、自分たちで電気をつくる取り組みを支援し、エネルギーの自給率向上をめざします。 問=新エネルギー政策室 電話=0748−24−5570 IP=0505−802−9950 ○市役所・公共施設で節電に取り組みます 節電目標:ピークカット 15%以上(暫定)      使用電力量 20%以上(暫定)      (平成22年同月比) 節電期間:6月20日(水)〜9月30日(日) 庁舎では次のことに取り組みます。 @電力使用ピーク時(13:00〜15:00)に執務室の照明など、使用を抑制します。 Aエコ・オフィスの取り組み強化  空調の稼働時間短縮、緑のカーテンの設置など 問=管財課   電話=0748-24-5603 IP=0505-801-5603 ◎特集:実践しよう!エコライフ  今夏は、電力の不足が予想され、供給力の低下が心配されています。この機会に、私たちの工夫でできる身近なエコライフについて考え実践してみましょう。 問=生活環境課 電話=0748-24-5633 IP=0505-801-5633 ◆夏の電気使用の特徴は?  家庭や企業、商店などの電力使用量は、13:00〜16:00ごろに最大の使用量となる傾向にあり、特にこの時間帯の節電が重要となります。 グラフ=1日の電力使用量【サンプルデータなどより資源エネルギー庁推計】 ◆大きな節電効果がある電気製品はエアコン  電力使用の約半分の割合を占めるエアコンを控えることが、大きな節電効果につながります。(削減電力などは、下図の家庭での節電メニューをご覧ください) 円グラフ:家庭での日中(14:00ごろ)の電力使用割合【資源エネルギー庁推計】  ・エアコン=58%  ・冷蔵庫=17%  ・テレビ=5%  ・照明=6%  ・パソコン=0.4%  ・温水便座=0.6%  ・待機電力=3%  ・その他=10% ◆家庭での節電メニュー ひとり一人が取り組むことで節電につなげましょう @無理のない範囲でエアコンを消して、扇風機を使いましょう。 ◇1日あたり=削減率:50%、削減電力:600W ※熱中症にご注意ください!  屋内でも熱中症にかかる場合があります。適切な室温管理に努めていただき、水分補給をお願いします。特に、ご高齢の人や体調に不安をお持ちの人はご注意ください。 A「すだれ」や「よしず」などで窓からの日差しを和らげましょう。※ゴーヤなど緑のカーテンは収穫も楽しめます。 ◇1日あたり=削減率:10%、削減電力:120W B冷蔵庫の設定を「強」から「中」に変え、扉を開ける時間をできるだけ減らし、食品をつめこまないようにしましょう。 ◇1日あたり=削減率:2%、削減電力:25W C日中は照明を消して、夜間も照明をできるだけ減らしましょう。 ◇1日あたり=削減率:5%、削減電力:60W Dリモコンの電源ではなく、本体の主電源を切りましょう。長時間使わない機器はコンセントからプラグを抜いておきましょう。 ◇1日あたり=削減率:2%、削減電力:25W ※節電効果の記載値は、在宅家庭の日中の最大使用時(約1,200W)に対する削減率です。(資源エネルギー庁推計) ※合計の削減率は目安であり、実際と異なる場合があります。 ◆クールシェアで節電を  クールシェアとは、公共施設など涼しい場所をみんなで共有し、節電につなげる取り組みのことをいいます。  東近江大凧会館では、7月19日(木)〜8月27日(月)の期間に、節電や凧に関するクイズなどご家族で楽しめるイベントを開催します。  また、そのほか市の公共施設でも、夏休み期間中、催しなどを行う予定です。   ぜひご家族みなさんでお出かけください。(詳しくは市のホームページをご覧ください) ◆お詫びと訂正 広報6月号の2ページに記載の男女共同参画推進計画後期計画の記事について誤りがありましたので、お詫びし訂正します。 (訂正前)平成28年度までに男女共同参画推進条例を制定します。 (訂正後)平成26年度中までに男女共同参画推進条例の制定をめざします。 ■記号の説明・・・問=問い合わせ IP=IP電話