特集 生かせ、教訓 地域防災計画の見直し 今なお深い傷跡を残す東日本大震災 近畿各地で発生した集中豪雨 わたしたちは経験から学び、 将来、そして次代のために教訓を生かす必要があります 写真=地震の発生を想定し、市職員を動員した図上訓練 写真=地域住民による救出救助訓練(市総合防災訓練) ●安全安心なまちに向けて 防災計画を見直し  平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、地震や津波、さらには原子力発電所の事故という、これまでの防災対策の想定を超える規模の災害が発生し、多くの尊い命や財産が失われました。また近年、全国各地で発生する局地的な豪雨など、地球規模の異常気象が相次いでいます。  こうした状況から、本市がめざす安全安心なまちづくりの実現に向けて、東近江市地域防災計画の見直しを行いました。  見直しにあたっては、災害が起きた時に市内各地が受ける被害の調査結果や、近年の災害の教訓を反映しています。 ●Point1 防災計画の根幹 防災ビジョン  近年発生した豪雨災害や震災では、「自分の命は自分で守る」や、「隣近所、地域社会の人と人とのつながりの大切さ」などが防災対策の重要な手法であることを示しており、「自助・共助・公助」の役割分担と連携が求められています。今回の見直しでは、次の4つの基本方針(防災ビジョン)を新たに設定し、防災対策を推進します。 ◆防災ビジョン 1、災害から人命を守る防災対策 2、減災の考え方に基づく防災対策 3、自助、共助、公助による防災対策 4、大規模広域災害を想定した災害対策 ●Point2 早く正確な情報を届けるために  災害が起きた時、本市ではCATV音声告知放送システムなどを利用して、収集した情報や避難情報を市民のみなさんにお知らせします。   さらに、多くの人により早く情報を提供するため、平成24年度から緊急速報メール(エリアメール)を導入しました。エリアメールとは、東近江市域内の携帯電話(一部の機種を除く)に緊急の防災情報をお知らせするものです。 表=防災情報の伝達経路 東近江市→広報車・CATV音声告知放送システム→市民 東近江市→関係機関(警察・消防・消防団など)→市民 東近江市→緊急速報メール(エリアメール)→市民 東近江市→全国瞬時警報システム(ジェイアラート)→市民 東近江市→自治会長宅への電話連絡など→市民 東近江市←被害情報・安否情報←市民 東近江市→報道機関(テレビ・ラジオ)→市民 気象庁→報道機関(テレビ・ラジオ)→市民 ●Point3 「防災階層」を導入 地域独自の対策を  今回の見直しでは、「防災階層」という重要な考え方を取り入れ、支所区域で防災ブロックを、小学校区またはコミュニティセンター区域で防災地区を設置しました。各階層で災害時に果たす役割を位置づけ、人員を配置し、各地域の各階層で自立的な防災対策を行います。また、下位の防災階層で不足するものや不十分な点は、上位の防災階層が補完し、効率的で安全性の高い防災体制を推進します。  具体的なメリットとして、地域で異なる災害の特性に合わせ、独自の対策をとれることや、物資が不足した時により近いところから段階的に調達できることなどが挙げられます。今後、計画に基づき、それぞれの役割を果たせるよう、施設の整備や物資の備蓄などを進めていきます。 表=防火階層の位置づけ 市:市の区域 ・災害対策本部        ・医療救護拠点        ・災害ボランティアセンター 防災ブロック:支所の区域 ・安全な広域の災害時避難所              ・要援護者の専門福祉避難所              ・地域医療救護拠点              ・水、食料、生活必需品といった地域物資の集積拠点              ・地域ボランティア拠点 防災地区:小学校区、またはコミュニティセンターの区域※ ・安全な災害時避難所                             ・要援護者の地域福祉避難所                             ・地域医療救護所                             ・水、食料、生活必需品といった地域物資の輸送拠点 防災単位:自治会などの区域 ・安全な一時集合場所の指定               ・避難誘導や救助活動などを担う自主防災組織の結成               ・救助や消火活動に必要な防災資機材の整備 ※五個荘・愛東・湖東・能登川・蒲生:各小学校区  八日市:各コミュニティセンターの区域  永源寺:市原小学校区・山上小学校区・鈴鹿の里コミュニティセンターの区域 ●Point4 安心して過ごせる避難所を設置  市は、各公共施設を災害時避難所に指定していますが、指定している公共施設の耐震性や、今回調査した浸水想定などを踏まえて、避難所の変更を行いました。災害時には速やかに避難できるよう、避難所の所在地を市防災マップの配布や市ホームページでお知らせします。  また、地震などの突発的災害による建物倒壊や火災から身を守ったり、近隣住民が集合し安否確認を行ったりするために、自治会単位で公園などを一時集合場所として指定していただきます。 表=要援護者の避難体制を充実 名称      配置          対象 専門福祉避難所 各防災ブロックに1か所 介護を必要とする要援護者 地域福祉避難所 各防災地区に1か所 上記を除く要援護者 ◆地域福祉避難所は、要援護者に配慮できる部屋を併設した災害時避難所で、ご家族と同じ施設に避難できます。 ●将来受ける被害を少しでも減らすために  わたしたちに襲いかかる災害は、その都度規模も被害の性質も異なります。過去の災害の教訓に学ぶとともに、地域の災害リスクを正しく理解し、防ぎきれない災害から被害を少なくする取り組みが大切です。市では今回修正した計画をもとに啓発や訓練の充実を図り、みなさんとともにより安全なまちづくりをすすめます。 ○保存版!東近江市防災マップを作成中  見直した防災計画を反映し、災害被害想定のマップ(図は浸水時の最大の深さを示すマップ)や災害時避難所、さらには自分の命を守るための留意点など、市民のみなさんに知ってほしい情報を掲載します。完成次第、みなさんのもとへお届けします。 図=東近江市内の浸水時の最大の深さを示すマップ 問=生活安全対策課 電話=0748−24−5617 IP=0505−801−5617