■記号は、申=申し込み 問=問い合わせ IP=IP電話 特集 災害の被害、減らせます。    げんさい−平常時からの災害対策  「いつか、大きな地震が起こるかもしれないけれど、具体的にどういう対策をしたらいいのかわからない」「東近江市って災害が少なそうだし、実感がわかない」  日常の暮らしの中で、そう思ってはいませんか。しかし、地震や水害は、いつ、どこで起こるかわかりません。  「備えあれば憂(うれ)いなし」。今月の特集では、防ぐことができない災害から、被害を少しでも減らそうと行われている地域での取り組みと、平常時にできる対策を紹介します。 写真2枚=平成2年台風19号と平成25年台風18号での市内の被害(各1枚) ※滋賀県「水害情報発信−水害の記録と記憶−」出典 写真7枚=昨年10月に実施した総合防災訓練での、次の様子。 ・消防団による放水訓練 ・体力勝負の土のう作り ・倒壊家屋からの救出訓練 ・バケツリレーで水をつなぐ ・水道工事協同組合による水道管の修復 ・赤十字奉仕団による炊き出し ・消防団による救急救命講習 ●東近江市でも過去に大きな災害がありました  平成2年の台風19号では、市内の今町、栗見新田町地先の愛知川堤防が決壊し、人命や住居、田畑、農作物などに甚大な被害が発生しました。また、昨秋の台風18号も、市内に多くの爪あとを残しました。  さらに歴史をさかのぼると、明治28年には、マグニチュード6.8の姉川地震が発生し、滋賀県内で35人が亡くなるなどの被害がありました。  私たちは、各地を襲ってきた地震や風水害から、その恐ろしさを学んできたはずです。しかし、それらの記憶が薄らぐにつれ、日ごろの対策や訓練が、つい後回しになってはいないでしょうか。  はじめに、本市で想定される災害について、確認してみましょう。 1.地震災害  本市に大きな影響を及ぼすと考えられている地震には、大陸のプレート間で起こる海溝型地震と内陸の活断層で起こる活断層地震の2種類があります。そのうち、海溝型地震の南海トラフ地震では、本市一帯が震度5強〜6弱の揺れになると想定され、今後30年以内の発生確率は60%〜70%と言われています。  一方、市に最も大きな被害が発生すると予想される活断層地震は鈴鹿西縁断層帯地震で、市内では約97%の地域が震度5強〜6強の強い揺れになると想定され、今後30年以内の発生確率は0・08%〜0・2%と言われています。 2.風水害  市内には、愛知川や日野川の大きな河川をはじめ、蛇砂川や大同川など多くの中小河川が琵琶湖に注いでいます。  それらの河川は、長さが短い上に勾配が急なため、洪水が起こりやすくなっています。万が一堤防の決壊などが発生すると、広い範囲で甚大な被害を及ぼす可能性があります。 3.土砂災害  大雨や地震などがきっかけで発生する土砂災害は、山や崖が崩れたり、水と混じり合った土や石が流れ出ることによって起こる自然災害です。土砂災害には、崖崩れや土石流、地すべりといった種類があり、市内には土砂災害警戒区域および土砂災害危険箇所が236か所あります。  では、これらの想定される災害から身を守り、被害を減らすためには、私たちはどうすれば良いのでしょうか。 (コラム) ◆防災まめ知識(1)防災気象情報を収集しましょう「高解像度降水ナウキャスト」  気象庁のホームページで今年の8月7日から提供が始まったサービスです。これまでのものと比べ、より正確な降水域の移動や発達・衰弱などの把握が可能です。  日ごろから身を守る知識の習得に心がけるとともに、必要に応じて最新の防災気象情報を収集し、有効に活用しましょう。 (コラム) ◆防災クイズ〜あなたはいくつわかりますか〜 【問1】滋賀県内で震度5以上を最後に観測した地震災害はどれ?  A.東日本大震災(平成23年)  B.紀伊半島南東沖地震(平成16年)  C.阪神淡路大震災(平成7年) 【問2】避難情報のうち、最も危険が切迫している状態のときに発令される情報はどれ?  A.避難準備情報  B.避難勧告  C.避難指示 【問3】屋外にいる場合、雷から身を守るための行動として正しくないものはどれ?  A.建物の中に移動する  B.大きな木の下に移動する  C.車の中に移動する *答えはこのテキストデータの途中にあります。 ●防災マップを活用しよう  昨年10月に全戸に配布した防災マップはご覧になられましたか。  防災マップには、想定されるこれら3つの災害ごとに、ハザードマップが載っています。「ハザード」とは、英語で「危険」などの意味があります。ハザードマップは、普段の生活では見えない災害が起こった時の状態を地図上に浮き上がらせたものと言うことができます。  ハザードマップを見ると、災害が発生した状況をイメージすることができます。あなたのお住まいの地域にはどのようなハザード(危険)が隠れているでしょうか。特に、浸水に気をつけなければならない地域や、土砂災害に気をつけなければならない地域など、地形によってハザードは変わります。また、高齢世帯が多い地域や新興住宅が多い地域など、地域にお住まいのみなさんの年齢構成や住宅の耐震性の高さなどからもハザードは変わります。  このことから、それぞれの地域のハザードに応じた対策を考える必要があることが分かります。  ハザードマップは、そのような対策を考える材料として作成しています。地域の自主防災組織など、みなさんで話し合い、それぞれの地域に応じた災害対策を考えましよう。 (インタビュー) ◆各戸に一冊「防災ファイル」で経験と知恵を後世に伝える  葛巻町自治会長・葛巻町防災部会長 安田孝吉さん  平成23年に自治会内に防災部会を立ち上げて以来、過去にあった水害の記録を若い世代に伝えることが必要だと感じていました。  この防災ファイルは、昨年の台風18号での反省点や、過去の水害の体験談をまとめたほか、避難の目安にしようと塗装された河川の護岸ブロックの説明や、避難した世帯が玄関ドアに掲げる「避難完了」の張り紙なども入っています。  台風18号が襲来したのは休日で、多くの住民が自宅にいたため、防災部会の役割分担もしやすかったのですが、今後は平日の昼間に災害が来たことを想定するなど、さまざまなパターンの対策を考えていきたいと思っています。写真2枚=防災ファイルを開く安田自治会長・町内の電柱に設置された浸水深を示すボードを指差す安田自治会長。 写真の説明=河川の水位が一目で分かる塗装された護岸ブロックなど、避難の目安が詳しく記されている。また、町内の電柱には、過去の水害や今後想定される浸水深を示すボードが設置されている。 ●災害発生前の対策が肝心  自主防災活動では、初期消火訓練や炊き出し訓練など、災害発生後に行う活動の訓練が多く行われます。このことは、とても大切なことですが、災害が起こる前にできること、起こる前にしかできない対策をしておくことがたいへん重要です。地震災害では一時集合場所の周知と参集訓練などがこれにあたります。風水害では、緊急連絡網の確認や、避難方法の確認、雨どいや排水溝の清掃などが事前の備えになります。  災害が発生する前にしかできないことをして、できるだけ被害を減らす減災に努めましょう。 (コラム) ◆防災まめ知識(2)効率的で上手な備蓄法「ローリングストック法」  食料品を備蓄するとき、普段食べているカップ麺やスナック菓子、缶詰などを少し多めに買い、古くなった(賞味期限が近づく)ものから食べ、減った分を買い足す方法です。普段食べているものなのでムダにならず、災害時には非常食になります。 ●「自助」と「共助」を大切に  大きな災害のときには、「自助」「共助」「公助」の3つの連携が必要です。しかし、災害発生直後の安否確認や救出救助などは自助、共助でしか間に合わないことがほとんどです。  日ごろからの近所づきあいなど、地域のつながりを生かして、地域で助け合う仕組みをつくっておきましょう。 ●一番大事なことは自助!  災害発生時の共助の重要性は多くのみなさんが認識されていますが、一番大事なことは自助であることを忘れてはいけません。  「自分の命は、自分で守る」が基本です。家具の固定、住宅の耐震化、食料や水の備蓄、家族間の連絡方法の確認など、各個人・各世帯の自助ができていないと、住民が協力して助け合う共助もできません。それぞれが災害に備えて災害に強いまちをつくっていきましょう。 (コラム) ◆防災まめ知識(3)スムーズな安否確認のために「災害用伝言ダイヤル171」  災害時には、各家庭の電話や携帯電話がつながりにくくなります。家族間の安否情報の確認は、災害時に優先的につながる公衆電話や災害用伝言ダイヤルなどを利用しましょう。  災害用伝言ダイヤルはNTTが提供する「声の伝言板」です。毎月1日と15日および防災週間(8月30日9:00〜9月5日17:00)などに体験利用ができますので、ぜひ家族や親戚などで体験してみましょう。 ●シニアの防災リーダーが活躍  本市では、共助の精神にもとづく地域防災の担い手を育てようと、昨年度からシニア世代のみなさんを対象に全6回の「防災シニアリーダー養成講座」を実施しています。  市消防団員の約8割がサラリーマンであるように、最近はサラリーマン世帯が多く、もし平日の昼間に災害が発生した場合、日ごろから家庭や地域におられるシニア世代の力がたいへん重要になります。また、シニア世代のみなさんは知識や経験が豊富なうえに、過去の災害体験もあるなど、地域の防災リーダーにふさわしい条件をお持ちです。  講座の修了後は、地域の防災シニアリーダーとして、講座で学んだ知識や共助の精神を地域で広げていただきます。 写真2枚=防災シニアリーダー養成講座の様子。 写真の説明=講演会や災害対応時の判断について学ぶクロスロードゲームなどを通じて、防災についての基礎知識を学びます。 ●災害発生までに適切な行動を  防災の知識は、それを単に「知っている」だけでは、命を守ることにつながりません。知ったうえで「適切に行動」することが求められます。  例えば、家具を固定しなければ大地震のときに倒れることは「知っている」。けれども、家具を固定していない人も多いのではないでしょうか。  大切な人を、大切な命を守るとともに、災害の被害を減らすため、災害が発生する前に「適切な行動」をお願いします。 (コラム) ◆防災クイズの答え 【問1】滋賀県内で震度5以上を最後に観測した地震災害はどれ?の答え  C(阪神淡路大震災)  平成7年の阪神淡路大震災を経験された人は、突然の大きな揺れに驚き、飛び起きたことだと思います。  このときに彦根市で震度5を観測して以来、県内では過去19年間、震度5以上の揺れを経験していません。大きな揺れがグラッ!!と来たとき…あなたは冷静に対処できますか? 【問2】避難情報のうち、最も危険が切迫している状態のときに発令される情報はどれ?の答え  C(避難指示)  避難準備情報は、高齢者など避難に時間のかかる人が避難行動を開始しなければならない時に発令します。避難勧告は、通常の避難行動をできる人が避難行動を開始しなければならない状態のときに発令します。避難指示は、切迫した状況から災害発生の危険性が非常に高いときに発令します。  なお、災害の発生などにより人命や身体が危険にさらされる場合には、警戒区域を設定し一般の立ち入り禁止や退去を命ずる場合があります。 【問3】屋外にいる場合、雷から身を守るための行動として正しくないものはどれ?の答え  B(大きな木の下に移動する)  背の高い木の近くにいると、落雷による電流が人へ飛び移ることがあり危険です。山などで激しい雷雨にあったら、幹や枝から離れて姿勢を低くしましょう。鉄筋コンクリート建築、自動車(オープンカー除く)、バス、列車の中は比較的安全です。また、木造建築の内部も基本的に安全ですが、すべての電気器具、天井や壁から1m以上離れればさらに安全です。 (ピーアール) ◆メールでしらせるしがの安全・安心情報「しらしがメール」  滋賀県では、防災・防犯などの身の回りの危険に関する情報を、希望される人へ電子メールで配信しています。  あらかじめユーザ登録していただくことで、お手持ちの携帯電話やパソコンに情報をお届けします。 ・気象特別警報、警報、注意報 ・地震発生情報 ・防犯情報 ・各種お知らせなど 申=http://www.pref.shiga-info.jpから登録画面に進み、entry@pref.shiga-info.jpへ空メールを送信してください。 問=滋賀県情報政策課 電話=077-528-3381 (ピーアール) ◆「非常災害用井戸」の登録にご協力ください  本市では、震災などの災害時に、被災者がトイレや掃除などに使用する生活用水として提供してくださる井戸の「非常災害用井戸登録制度」を本年4月から開始しています。 ◇対象になる井戸 市内にある井戸(電動式ポンプを含む)で、1〜4の内容に同意いただける井戸所有者 1.災害時に無償で井戸水を提供できる 2.現在、井戸を使用しており、今後も引き続き使用する予定 3.門、玄関、塀など、近隣から見える場所に非常災害用井戸とわかる標識(写真)を掲示できる 4.井戸情報を地域の防災マップなどで公開できる ※飲用は対象外です。 防災危機管理課または各支所に設置の用紙でお申し出ください。(用紙は、市ホームページからもダウンロードできます) 問=防災危機管理課  電話=0748-24-5617 IP=0505-801-5617