■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 特集 東近江市の家計簿 平成25年度決算  平成25年度一般会計・特別会計・企業会計の決算が市議会9月定例会で承認されました。  均衡ある発展をめざし、市政の軸となる「5つの基本政策」に沿って施策を推進した平成25年度の決算状況と、主要事業の成果をお知らせします。 問=財政課  電話=0748-24-5602 IP=0505-801-5602 おことわり:記載した金額や前年度比は四捨五入してあるため、各項目の合計や差し引きなどが必ずしも一致するものではありません。 ●一般会計は8億円弱の黒字  一般会計決算については、歳入が492億5,087万円、歳出は480億6,371万円でしたので、歳入から歳出を差し引くと11億8,717万円の黒字となります。このうち翌年度に繰り越す事業に必要なお金が4億1,691万円ありますので、実質的な収支は7億7,025万円の黒字決算となりました。  それでは、歳入と歳出について、詳しく見ていきましょう。 ●歳入  国・県支出金が87億7,454万円となり、前年度比14.0%の増加となりました。これは、国の緊急経済対策によるもので、平成25年度限りの措置となります。  市の借金である市債は23.2%増加しました。大型事業を実施するための財源として合併特例事業債を借り入れたほか、臨時財政対策債※の借り入れ額が増加したことによります。 ※臨時財政対策債…国から配分される地方交付税の不足分を市がいったん借り入れてまかなう借金のこと。 ◆歳入のグラフ<歳入 492億5,087万円> ・市税  164億8,676万円(前年度比0.7%増加)  所得や所有する土地家屋に応じて、市民のみなさん、事業所(企業)などから納めていただいた税金。 ・諸収入、使用料など  38億2,655万円(前年度比29.2%減少)  施設使用料や各種証明書の発行など、特定のサービスに対して負担いただいたお金。 以上、自主財源(構成比41.2%) ・地方交付税  118億4,989万円(前年度比4.1%増加)  国税の中から、市(地方)に交付されたお金。使い道は市で決定します。 ・国・県支出金  87億7,454万円(前年度比14.0%増加)  特定の事業に対して、国や県から支出されるお金。使い道や算定の基準額が細かく定められています。 ・市債  66億537万円(前年度比23.2%増加)  市の借入金。 ・そのほか  17億777万円(前年度比3.6%増加) 以上、依存財源(構成比58.8%) ●歳出  市の基盤を整備するための投資的経費は84億8,212万円で、9.1%増加しました。小中学校校舎の耐震・改修、幼保一体化施設の整備、市役所本庁舎新館および永源寺地域産業振興会館(現 永源寺コミュニティセンター)の改修など、大型事業を実施しました。  また、将来のための積立金などに27億2,853万円を充てました。  一方、人件費は71億1,996万円で、前年度比4億2,067万円、率にして5.6%減少しました。これは、市独自の給与削減などを継続したことに加え、国の要請に準じた時限措置の給与削減を行ったことによるものです。 ◆歳出のグラフ(性質別グラフ)<歳出 480億6,371万円> ・投資的経費  84億8,212万円(前年度比9.1%増加)  公共事業など、将来への投資。 ・扶助費  77億5,908万円(前年度比1.3%増加)  児童手当や障がい者、高齢者の支援、生活保護など。 ・人件費  71億1,996万円(前年度比5.6%減少)  市職員の給料、議員報酬、各種委員報酬など。 ・物件費  64億8,835万円(前年度比6.3%増加)  公共施設の維持管理などに使うお金。 ・公債費  56億3,605万円(前年度比0.6%減少)  市の借金の返済金。 ・繰出金  49億7,149万円(前年度比6.6%増加)  特別会計・企業会計への繰出金など。 ・補助費など  48億7,813万円(前年度比21.2%減少)  消防やごみなど、広域で事業を行う組合への負担金など。 ・積立金など  27億2,853万円(前年度比108.5%増加) ◆歳出のグラフ(目的別グラフ) ・民生費(児童、高齢者、障がい者福祉の充実に)  140億2,791万円(前年度比1.5%増加)  市民1人あたりの年間支出額=121,223円 ・教育費(学校、社会教育や施設整備に)  81億908万円(前年度比4.2%増加)  市民1人あたりの年間支出額=70,075円 ・総務費(市民活動の支援や防犯、交通対策に)  59億6,666万円(前年度比24.7%増加)  市民1人あたりの年間支出額=51,561円 ・公債費(借入金の返済)  56億3,605万円(前年度比0.6%減少)  市民1人あたりの年間支出額=48,704円 ・衛生費(健診やごみ処理に)  39億8,057万円(前年度比37.1%減少)  市民1人あたりの年間支出額=34,398円 ・土木費(道路や河川、公園の整備に)  32億132万円(前年度比16.7%増加)  市民1人あたりの年間支出額=27,664円 ・農林水産業費(農業、林業、水産業の振興に)  17億8,178万円(前年度比2.5%減少)  市民1人あたりの年間支出額=15,397円 ・消防費(消防や救急活動に)  15億7,906万円(前年度比10.9%減少)  市民1人あたりの年間支出額=13,645円 ・商工費(商工業や観光の振興に)  6億8,045万円(前年度比5.5%増加)  市民1人あたりの年間支出額=5,880円 ・そのほか  31億83万円(前年度比100.8%増加) ※市民1人あたりの年間支出額は、決算額÷10月1日現在の人口で算出。 ●特別会計・企業会計  市の会計には、全般的な市の事業を行う一般会計のほかに、特別会計と企業会計があります。  特別会計は、保険料など特定の収入で事業を行う会計で、事業の収支を明確にするために一般会計と区分しています。  企業会計は、事業収入により経営する会計で、独立採算を基本にしています。  これらの会計のうち、病院事業会計については赤字となり、未処理欠損金として処理しました。 ◆会計別歳入歳出一覧(表) ◇一般会計 歳入=492億5,087万円 歳出=480億6,371万円 ◇特別会計  国民健康保険(事業勘定) 歳入=106億9,558万円 歳出=105億3,646万円  国民健康保険(施設勘定) 歳入=12億9,874万円 歳出=11億1,790万円  後期高齢者医療 歳入=9億760万円 歳出=8億9,019万円  介護保険 歳入=68億2,667万円 歳出=68億2,556万円  簡易水道事業 歳入=2億2,428万円 歳出=2億2,192万円  下水道事業 歳入=30億7,692万円 歳出=30億6,953万円  農業集落排水事業 歳入=12億5,487万円 歳出=12億5,250万円  公設地方卸売市場 歳入=4,561万円 歳出=4,137万円 ◇企業会計  水道事業(収益的収支) 歳入=20億2,461万円 歳出=18億9,212万円  病院事業(収益的収支) 歳入=14億7,786万円 歳出=16億1,107万円 ●おもな財政指標 ・経常収支比率=83.2%(平成24年度=87.1%)  扶助費※、人件費のように毎年経常的に支出される経費に、市税、地方交付税など使い道が自由で毎年入ってくる財源がどの程度充てられているかを表しています。比率が低いほど、市の施策に使える財源が多いといえます。 ※扶助費…社会保障の一環として、児童・高齢者・障がい者・生活困窮者などに対して行う支援に必要な経費。 ・財政力指数=0.701(平成24年度=0.691)  財政力の強弱を表し、毎年の行政活動に必要なお金を、どれくらい自力調達できるかを示したものです。この指数が高いほど、「自主財源」の割合が高く、財政力が強い自治体といえます。 ◆財政状況は大丈夫?  自治体の財政状況を判断する基準に、下表のような「早期健全化基準」と「財政再生基準」があります。 1.実質赤字比率 早期健全化基準=11.78%以上 財政再生基準=20.0%以上 2.連結実質赤字比率 早期健全化基準=16.78%以上 財政再生基準=30.0%以上 3.実質公債費比率 早期健全化基準=25.0%以上 財政再生基準=35.0%以上 4.将来負担比率 早期健全化基準=350.0%以上 財政再生基準=該当なし ◇早期健全化基準は「黄信号」。  どれか一つでも超えると「早期健全化団体」に指定されます。この場合、財政健全化計画を立てて、速やかに実行しなければなりません。 ◇財政再生基準は「赤信号」。 どれか一つでも超えると「財政再生団体」に指定されます。この場合、国の監督を受けながら財政を立て直すことになり、市政運営に大きな制限を受けることになります。 ◆本市の状況 1.実質赤字比率(一般会計を中心とした赤字の割合)=該当なし 2.連結実質赤字比率(一般会計・特別会計など、すべての会計の赤字の割合)=該当なし 3.実質公債費比率(年間の借金返済額の割合)=8.6% 4.将来負担比率(将来負担が見込まれる負債の割合)=4.1%  本市は、すべての項目で「青信号」でした。 ●平成25年度のおもな事業  市民のみなさんから納めていただいた貴重な財源をもとに取り組んだ事業の一部を紹介します。 ・消防施設整備事業 9,345万円  消防団車庫の建設や消防ポンプ自動車の更新、自主防災組織の資機材整備などを行いました。 ・水防活動事業 1,768万円  防災マップの作成・全戸配布などを行いました。 ・庁舎耐震化等施設整備事業 12億2,483万円  本庁舎新館の増築などを行いました。 ・防災対策事業 2,837万円  防災シニアリーダー養成講座や総合防災訓練(写真)などを開催しました。 ・協働のまちづくり事業 1,486万円 ・中山間地域活性化事業 2,408万円  空き家活用調査や地域おこし協力隊活動支援のほか、平成27年春にオープンする道の駅「奥永源寺渓流の里」(イラスト:完成予想図)の用地取得などを行いました。 ・母子保健事業 1億1,935万円  妊娠、出産、育児に関する支援や、妊婦健診、乳幼児健診を行いました。 ・感染症予防対策事業 2億5,729万円  BCGやポリオ、風しんなど予防接種(写真)を実施しました。 ・福祉医療費助成事業 8億5,818万円 ・病院事業会計支出金 5億3,846万円 ・コミュニティセンター管理運営事業 3億7,717万円  永源寺地域産業振興会館(現 永源寺コミュニティセンター)の改修などを行いました。 ・文化振興施設管理運営事業 1億6,332万円  あかね文化ホールの改修などを行いました。 ・社会体育施設整備事業 1億8,489万円  湖東スタジアムの電光掲示板(写真)などを改修しました。 ・担い手育成事業 3,329万円  集落営農の特定農業団体や法人化の推進、営農組織の機械購入に対し補助を行いました。 ・新エネルギー推進事業 1,602万円  住宅用太陽光発電システム(写真)や雨水貯留施設設置に対する奨励金(三方よし商品券)を交付しました。 ・中学校施設整備事業 16億2,739万円  五個荘中学校改築のほか、玉園中学校の耐震補強大規模改修(写真)などを実施しました。 ・小学校施設整備事業 10億6,688万円  布引小学校と湖東第三小学校で耐震補強大規模改修を実施したほか、空調設備などを設置しました。 ・幼保一体化施設・認定こども園整備事業 8億9,135万円  わかば幼児園の整備、湖東ひばり幼児園の改修などを実施しました。 ・学童保育所施設整備事業 8,548万円 ・学校給食センター整備事業 7,797万円 ・道路新設改良事業 3億1,165万円  市道能登川北部線の改良(写真)や市道蛭谷君ヶ畑線の測量設計などを実施しました。 ・街路事業 7億5,065万円  都市計画道路小今建部上中線(聖徳工区)や中学校線(垣見工区)の整備を進めましました。 ・バス・鉄道対策事業 1億9,452万円 ●合併で優遇されていること  東近江市は、市町合併で誕生した市であるため、次のことが優遇されています ◆合併特例事業債…合併してからの一定期間、公共事業を行うための費用の一部を合併特例事業債として通常より有利な条件で借りることができます。 ◆地方交付税…国から交付されるお金で、地域による経済格差をなくすため、財政力の低い市町村に多く配分されます。合併した東近江市は、特例により合併前の市町が存在するものとみなした額が多く配分されていますが、平成27年度から段階的に減少し、平成33年度には本来の額になるため、現在と比べ25〜30億円規模で減額となります。 ●東近江市は健全だから安心なの…?  今は大丈夫ですが、将来を見据えた財政運営が必要です。  特に、合併市町村に対する特例によって、財政が大変優遇されてきましたが、その制度には期限がある上に、今後も医療・介護・福祉にかかるお金が増え続ける見込みです。これらに対応できるよう、健全で計画的な財政運営を継続していかなければなりません。  平成25年度は、国の緊急経済対策を財源とした事業などを実施したこともあり、決算額は歳入歳出ともに合併後最大となりました。  現在、国は「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生することを後押しする政策を検討しています。  引き続き、このような動向に注視し、「5つの基本政策」を軸とした施策を推進しながらも、堅実な財政運営に努めていきます。