意見書討論 ◎意見書案第3号 平和安全法制整備法及び国際平和支援法案の慎重審議を求める意見書 わが国が戦後貫いてきた、海外で武力を使わないという専守防衛の原則が大きく転換されよう としている。  自衛隊を世界各地に派遣できる重大な法改正でありながら、国民への説明は全く足りていな いことから、国民を含めた大議論を求める。  よって、広く国民の理解を得られるまで、時間をかけて慎重審議がされるように強く求める。 賛成討論 岡ア嘉一議員  6月4日に行われた衆議院憲法審査会で著名な憲法学者3人が安保関連法案を違憲とし、自 民党推薦の憲法学者までが違憲としている。  安保関連法案については取り下げし、堂々と憲法改正を提起すべき。  自衛隊が海外へ出ることは想定されておらず専守防衛しかできない。今回の法案は、海外で 武力行使する集団的自衛権を認め、世界中のどこでも米軍などの後方支援を行うことになるこ とから憲法違反は明白。  良識ある多くの国民が大変心配しており、時間を掛けて慎重に審議することを求める。 田郷 正議員  自民・公明両党は6月22日、野党5党が反対する中、国会の会期延長を決めた。  通常国会の会期は150日間と決まっており、会期内に審議がつくされず成立しなかった法 案は廃案にするというのが「会期不継続」の原則であり、なにが何でも今国会で成立させようと、 大幅に会期を延長するのは会期制原則を乱暴に踏みにじるものだ。  今回の安保法制は、憲法9 条を根底から覆し、日本が攻撃されていないのに、集団的自衛権 を発動して、自衛隊が参戦し、海外で武力行使に乗り出すものであり、戦闘地域まで行って、武 器の輸送、弾薬の提供などの後方支援を行おうというもので、武力行使と一体となることは明らか。  まさに、憲法を全面的に破壊する「戦争法案」だ。 反対討論 西ア 彰議員  法案に反対するための意見書には反対。  絶対に戦争をしないという立場であり、今通常国会も可能な限り期間を延長して慎重審議がされ ることから、審議を見守りながらしっかり理解し、議論していくべきと考える。  我が国を取り巻く安全保障環境は、厳しさを増しており、これを確保していくには、日米間の安 全保障・防衛協力を強化するとともに、域内外のパートナーとの信頼および協力関係を深める事が 重要。  それ以前に争いを未然に防ぐ力、即ち抑止力を高め、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能と する法整備を済ませておくことが必要。  安全保障に想定外は許されず、いかなる事態においても国民の生命と平和な暮らしを守り抜き、 国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的な貢献をする必要がある。 ◎意見書案第4号 労働法制の改正に反対する意見書  労働者の権利を守っている現在の労働法制が改正されると、すべての人の賃金や処遇に悪影響を 与え、働く人たちの将来や子どもたちの未来に大きな被害が出てくる。  よって、日本の未来を守るために次の内容を強く求める。 1.現在政府が進めている労働法制の改正を止めること。 2.労働者の雇用を守るため、企業への指導を徹底すること。 3.同一労働、同一賃金の原則を法制化すること。 賛成討論 野田 清司議員  労働者派遣法案は、6月19日の衆議院厚生労働委員会と本会議で相次いで強行され、自民党や公 明党などの賛成多数で可決された。戦後の労働法制の根幹を崩すものであり、昨年2 度も廃案と なり、政府案に与党が修正を盛り込んで再提出したものだ。  改正案は安倍政権が、世界で一番企業が活躍できる国を目指す企業優先の考え方を指すものであ り、厚生労働官僚も企業が好き放題できる内容だと認めていると言われている。  法案の問題点は、派遣の受け入れ期間はどんな業務でも3 年、働く人を変えるか、部署を変え れば何年でも延長して使い続けることができる。  よって、派遣の延長に歯止めがきかなくなり、正社員から派遣労働への置きかえが大規模に進む ことは明らかだ。  改正後も派遣労働者のほうが安く使える仕組みは変わらず、正社員への道は閉ざされることは必 至である。  派遣社員など、非正規労働者が増え続けることは、労働者全体の賃金水準を引き下げ、消費を冷 やし、経済そのものの停滞を招くなど、日本社会と経済に重大な問題となることから、労働法制の 改正に反対する意見書の提出に賛成する。 西澤 善三議員  今国会で審議をされている労働法制の改正は、一定所得以上の労働者の残業代を払わない。また、 派遣で働いている人の雇用は派遣企業の責任であり、法改正は派遣先の企業での社員登用の道を閉 ざすものだ。  さらには、金銭で解雇ができる金銭解決制度の導入などは、企業経営者の社会責任を労働者に負 わせるようなものである。  日本は終身雇用で長期的に人材を企業や地域で育て、身分の継続や生活の安定を保証してきた。  優良企業が来れば地域も働く人も潤うという考え方を変える時が来ているのか。  国は、一人ひとりの生き方や働き方を見直す新たな生活スタイルを示すべきである。  労働者の残業代カットや派遣先企業の雇用の放棄、金銭での雇用の解雇を実施する労働法制の改 正には反対し、意見書に賛成。 反対討論 和田 喜蔵議員  労働基準法の一部を改正する法案は、長時間労働を抑制し、年次有給休暇の取得を促進するため に改正されるものである。  また、多様で柔軟な働き方の実現のために、高度プロフェッショナル制度の創設があり、職務の 範囲が明確で一定の年収以上を有する労働者が、高度な専門知識を必要とする業務に従事する場合、 健康確保処置を講じることや本人の同意などを要件としており、健康確保に留意した制度となって いる。  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等の一部を改正する法律案については、 全ての派遣事業を許可制とし、違反者には許可の取り消しなど厳しく指導するものである。  また、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップや雇用継続を推進し、派遣先の事業所ごとの 派遣期間の制限を設けるものである。  意見書では、解決金制度の導入を検討する答申について述べていると考えるが、これまでも労働 紛争は和解金で解決が行われており、海外では独仏など多くの国でこの制度が導入されている。  労働者は労働契約法などで安易に解雇できないよう規制されている上、今回の答申は制度の利用 を労働者が選択できるものとしている。  以上のことから、意見書に反対する。