■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス 老若男女の笑顔あふれる、地域の拠り所。石塔町にぎわいカフェ  12月16日の朝、町内の屋外放送が鳴りました。「本日は、にぎわいカフェの日です。午前の部は10時から、午後の部は1時からです。皆さん、ぜひお越しください。」   にぎわいカフェとは、石塔町第一公民館で3年前から毎月第3土曜日に開催されているイベントです。コーヒーを飲みながらお喋りを楽しんだり、保健師に健康相談をすることができます。  会場には、住民からの寄付で集まったたくさんのおもちゃがあり、子どもも楽しめます。  この日は、1歳から80歳代までの約40人が集まり、交流を楽しみました。  また、蒲生地区内のパン屋やスーパーマーケットの出張販売もあり、焼きたてのパンや日用品を買い求める人も多くいました。  「地域内にのびのび遊べる場所ができて助かっています。地域内の同世代の保護者とも交流ができます。」「毎月参加しています。ここだと気兼ねなくゆっくり会話ができます。いつも来ている人が来ていないと、『何かあったのかな。』『大丈夫かな。』と心配になりますね。」と笑顔で話す参加者。地域にとってかけがえのない場所になっています。  にぎわいカフェ代表の池戸邦夫さんは、「石塔町でも少子高齢化が進んでおり、いろいろなことを住民が助け合うことが必要となってきています。カフェにあわせて、子育て支援や健康相談、買物支援を行うことで、世代を超えて気軽に集える場所となり、様々な年代の人のつながりを作ることができました。皆さんの笑顔を見ているとスタッフも幸せな気分になります。また、参加者と交流することで新たな地域の困りごとにも気付くことができました。今後は、にぎわいカフェに参加できない人に対しても支援できるような取組を考えています。」と話します。  様々な世代の温かいつながりが、地域全体の生活を支える基盤になります。 雨の日も、雪の日も。待っている人がいる限り。 奥永源寺地域への移動販売 鈴鹿山脈の麓に位置し、高齢化が進む奥永源寺地域。平成27年に実施された国勢調査によると高齢化率は約52パーセントです。地域内には道の駅奥永源寺渓流の里があるものの、市内にある最寄りのスーパーマーケットまで行くには、永源寺ダム周辺の狭隘な道を抜ける必要があり、気軽に買い物には行けません。  この奥永源寺地域に、毎週、移動販売車が走ります。運営するのは、五個荘清水鼻町のコンビニエンスストアなどを経営する株式会社フラットサークルです。  コンビニエンスストアに来る年配のお客さんから、「体調を崩すと外に出るのが難しいので、家に配達してほしい。」という意見をもらい、五個荘清水鼻町の店舗周辺で配達営業をするようになりました。 「地域で配達し、お客さんと信頼関係ができると生活の中のさまざまな困りごとの相談を受けるようになりました。ごみ捨てや電球交換、家電の使い方など、地域の中には困りごとを抱えながら生活している人が大勢いると感じました。」と代表の平尾研木さんは話します。  より高齢化の進む地域に出向き、買い物を通じて一人でも多くの人の役に立ちたいとの思いから、5年前に奥永源寺地域での運行を始めました。現在は、甲津畑町なども運行ルートに加え、毎週火曜日に集落内をきめ細やかに巡回します。大きな買い物かごの持ち運びが難しい人に対しては、玄関先まで荷物を運びます。また、買い物にあわせていろいろな相談を受けることもあります。  「顔なじみになった人からお願いごとを受けてます。『こんな手紙が来たんやけど、どうしたらいいやろうか。』など、些細なことですが、信頼してもらえているんだなと嬉しく感じます。移動販売の取組で儲けを生み出すことは難しいですが、待っている人がいて、届けないといけないという使命感を感じているので継続できています。今後も、買い物をきっかけに一人でも多くの人の困りごとを解決したいと思います。私の事業所だけでは限界がありますので、同じ志を持つ人が増えるといいですね。」と話します。  「待っている人がいる。」を原動力として、雨の日も、雪の日も、移動販売車は走ります。 「生活支援」が必要なワケ。 全国的に過去に例をみない程のスピードで少子高齢化が進み、人口減少が進行しています。高齢者の生活を社会全体で支えるために、平成12年4月に介護保険制度が始まりました。介護保険制度では、これまで要介護状態にならないように「介護予防」として健康寿命を延ばすための体操などを中心に取り組んできましたが、単に体を鍛えるだけでは不十分であることが分かってきました。  下図のアンケート調査の結果からも、「独りになることがある。」「楽しみがない。」「人と話さない。」という高齢者がいることが分かります。人との交流が減ると、意欲が低下し、さまざまなリスクが高まります。  少子高齢化時代において、持続可能な地域をつくるためには、高齢者も含めて誰もが役割をもって元気に暮らすことができる社会(地域共生社会)を目指すことが必要です。一律に「支援される側」にするのではなく、それぞれの能力を生かしながら、日常の困りごとについて助け合える環境を作ることが大切です。 こんなことも「生活支援」。  生活支援とは、文字通り「生活」を「支援」することです。  具体的には、病院への送迎や買い物、ごみ出しの支援、話し相手になることです。  話し相手になることについては、「独りで寂しいから、誰か話し相手になってほしい。」というはっきりした希望を持つ人もいますが、ごみ出しなどの支援を頼まれた時に「そんなことはいいから、とりあえず座ってお茶でも飲んで。」と言われ、話し相手になることも多いようです。  支援される人は、一緒にお茶を飲むために、部屋を片付けたり、自身の身だしなみを整えたりするなど多くの準備が必要となります。これは、支援される人の生活にメリハリを付け、自立した生活を送るための一つのきっかけにもなります。また、一緒にいる時間は見守りの時間となり、別の生活課題が見つかることもあります。    このように、日頃、何気なく行っていることが誰かの生活の支えになるかもしれません。少し相手のことを気にかけて接することが、生活を支援することにつながります。 市内在住の65歳以上の人などを対象にしたアンケート結果 ※平成28年10月に実施した第7期東近江市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定のためのアンケート調査結果 Q.家族などと同居されていて昼間独りになることがありますか。 ・よくある、たまにある…54.3% (家族などと同居されている1,566人からの回答結果) Q.あなたが暮らしの中で困っていることは何ですか。 ・楽しみがほとんどないこと…9.6% ・話し相手がいないこと…8.9% 人との交流が減ることで、高まるリスク ◆うつ病などの精神疾患 ◆認知症 ◆孤独死 人との交流が減ることで、日常的な会話の回数が減り、周囲との関係も薄くなります。家族と同居をしている人でも半数以上が昼間は独りになることがあります。 心が動けば、体が動く。  地域の困りごとに気付くと、自分も何かできないかという気持ちが沸いてきます。  2、3ページの取組のほかにも、心が動いた人によるさまざまな支え合いの仕組がまちの日常を支えます。 多業種の協議体 いっそう元気!東近江  それぞれの強みや良いところを生かした住民同士の支え合いがある地域づくりを推進するため、平成29年3月に「いっそう元気!東近江」を立ち上げ、2カ月に1回集まり、話し合っています。地域支え合いコーディネーターを中心として福祉・医療の専門職、一般企業や市民など様々な立場の人が「今、暮らしの中にある関係性を大事に育てていくこと」「できることを持ち寄り、地域がより一層元気になるようにすること」を目標に活動しています。 暮らしに寄り添う人の育成 生活支援サポーター養成講座  身近にいる人のことを気にかけ、困りごとに寄り添える人を増やしていこうという思いから、東近江市社会福祉協議会では、平成21年度から生活支援サポーター養成講座を開催しています。現在までに591人が受講され、買い物や病院への送迎、ごみ出し、話し相手などの暮らしのちょっとした困りごとへのお手伝いをされています。永源寺地区、御園地区などの市内7地区では、地区単位で生活支援サポーターのグループもでき、きめ細かい取組が行われています。 支え合いの地域づくりを応援します!地域支え合いコーディネーター 東近江市社会福祉協議会 中西さん(左)と池山さん  地域での支え合い活動のサポートや何か取り組んでみたいという人が一歩踏み出せるような後押しをしています。  また、暮らしの主体である地域住民の皆さんの思いを大切にしながら、住民と専門職をつなぐ役割も担っています。  市内に支え合いの輪がもっと広がっていくように、人の暮らしに関わる多様な人や団体、企業などと連携し活動を進めていきます。 お互いさまで支え合い  今までは、日常生活で支援が必要な状態を改善するためには、足腰を鍛えて自分で動けるようになることが重要と考えられていました。しかし、体が元気でも人と交流し、自分がいることを認めてもらえなければ、生活を維持しようというモチベーションが保てなくなり、結果的に何もすることができなくなってしまうということが分かってきました。  「絆」は、「きずな」以外に「ほだし」とも読みます。これは、「しがらみ」という意味です。生活の中には、楽しいことばかりでなく、煩わしいこともあります。自分だけが良い思いをしようと考えていては、地域の中では生きていけません。誰もがいつどのような病気や怪我をするかは分かりません。  皆が「お互いさま」の気持ちで、温かな絆を紡ごうと思うことが、誰かのために一歩踏み出すきっかけになります。 問=福祉総合支援課 電話=0748‐24‐5641 IP=050‐5801‐5641 FAX=0748‐24‐5693