■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス ■家族とともに、仲間とともに走る兄弟ランナー  滋賀学園高校3年生の安原太陽さんと船岡中学校3年生の安原海晴さんの兄弟(布引台二丁目)。  二人とも陸上の長距離選手として、全国の舞台で活躍しています。1月に広島市で開催された 「天皇杯第24回全国都道府県対抗男子駅伝」では、初めて兄弟同時に滋賀県の代表となりました。二人の活躍やそれを支える皆さんを紹介します。 ■滋賀学園陸上部のエースとして活躍する兄 太陽  両親が陸上をしていたこともあり、二人は自然と走る機会が多く、幼少期から家族旅行を兼ねて県外の大会にも出場していました。  兄の太陽さんは、小学3年生のころ布引グリーンスタジアムなどで活動する「東近江陸上スポーツ少年団」に入り、本格的に陸上を開始。メキメキと実力をつけ、小学4年生のころには、1000メートルで滋賀県新記録をマーク。その後、船岡中学校に進学。現在は、滋賀学園高校陸上部のエースとして活躍し、昨年は、全国高校駅伝競走大会にも出場しました。  「小さい時から大会は大好きで燃えます。特に、駅伝ではいつも以上の力を出せます」と太陽さんは話します。滋賀学園高校陸上部の大河亨監督も「レースに対する集中力は抜群です」と太鼓判を押します。 ■時を越えたライバルと切磋琢磨する弟 海晴   そんな太陽さんが、「ライバル」と話すのが、弟の海晴さん。お兄さんと同じく「東近江陸上スポーツ少年団」に入り、競技をスタート。海晴さんも、ぐんぐんタイムを伸ばし、滋賀県新記録をマークします。現在は、船岡中学校創作部体力づくり班で部員とともに練習しています。  海晴さんは、「今の部活は練習時間は限られていますが、友達と一緒に楽しく陸上ができて充実しています」と話し、兄の太陽さんについては、「時を越えたライバルですね。兄のタイムは目標にしています」と、太陽さんを意識しています。 ■二人の活躍を支えるたくさんの応援団  二人とも口をそろえて「周囲から本当に多くの応援やサポートをもらっていて、感謝しています」と話すほど、二人の周りにはたくさんの応援団がいます。チームメートや近所の皆さん、出身の布引小学校・船岡中学校の先生や友達、東近江陸上スポーツ少年団の指導者や布引グリーンスタジアムの利用者など。大勢が二人を応援し、活躍を期待しています。中でも一番身近で二人を支えてきたのは「家族」です。  母のかおりさんは、二人が東近江陸上スポーツ少年団に入っているころはコーチとして指導を行い、試合には応援に駆けつけます。「少しでも体にいいものを」と、食事にも気をつけています。  「家族のモットーは、『陸上を楽しむ』です。家族で出る大会のアップには、鬼ごっこをしていました。周囲の応援、支えに感謝しながら、陸上を通して心身ともに強くなってほしいです」とかおりさんは二人を見守ります。  そんな家族に3年半前、大きな変化が起きました。父、雅広さんが亡くなられたのです。かおりさんは、「夫も楽しく陸上をすることを大切にし、二人の活躍を見守ってきました。3年経って成長した姿にきっと驚いていると思います」と話します。  二人に目標を聞くと、「『全国都道府県対抗男子駅伝』で、それぞれ1区と2区を走り、兄弟でたすきをつなぐこと」と答えてくれました。  一人で長時間走る長距離走は、「孤独で自分との戦い」のように見えます。しかし、二人にはたくさんの応援団がいます。多くの声援を力に、互いに刺激しあいながら、夢に向かって走り続けます。  二人がスポ少に在籍している時に、私の娘も在籍していて家族ぐるみで一緒に陸上に取り組んでいました。大変負けず嫌いで大会になると表情が一変したことを覚えています。  二人の活躍は、100人の現団員や私に夢を与えてくれます。令和の怪物兄弟のさらなる飛躍を期待しています。  東近江陸上スポーツ少年団  中村文昭さん  布引小学校在学中に担任をするなど関わりをもっていました。二人とも人懐っこく誰にでも笑顔を振りまく子どもでした。  今でも二人の活躍がテレビや新聞で報道されると二人の成長を感じ大変嬉しいです。今後も周囲にパワーを与えられるような活躍を期待しています。  小学校時代の恩師  角志津世さん  船岡中学校創作部体力づくり班の顧問として太陽さん、海晴さんの二人を指導しました。二人ともまじめに練習に取り組んでくれました。  陸上は、自分の記録との戦いという面もあり、厳しくつらいこともありますが、楽しむ心を忘れずに、取り組んでほしいです。  船岡中学校  八木睦子さん ■自主性・創造性 “西堀精神”が育まれる 科学探検隊 ココロボ  学校でも、家でもない、「秘密基地」のような場所で。仲間や先輩と試行錯誤しながら作り上げていく。仮説を立て、何度も検証・修正する。ロボットが思い描いたとおりに動き出したときの快感、一度味わったらやめられない。そう、この感覚こそ、西堀精神。 ■西堀榮三郎の精神をつなぐ  第一次南極観測隊の越冬隊長として活躍し、さまざまな分野で多くの功績を残した西堀榮三郎さんに関する展示・企画を行う「西堀榮三郎記念探検の殿堂」  ここでは、平成18年からプログラミングを通して「失敗したら、またやりなおせばいい」「やらされているとは思わず、やっていると思え」といった創造性、自主性を大切にする西堀精神を次代につなぐ「科学探検隊ココロボ」という取組が行われています。  科学探検隊ココロボでは、小・中学生が、プログラミングを行い、自律型の車型ロボットの稼動に挑戦しています。  自ら考え、目標に向かって調整することが尊重され、参加する子どもは、ロボットにさせたい動作を考え、調整を繰り返します。このことが、自主性や創造性を育むことにつながっています。 ■卒業生が活動を支える  科学探検隊ココロボの大きな特徴は、卒業した中学生、高校生が「科学探検隊ココロボ2」というサークルを作り、自主的に高度なプログラミングに挑戦していることと、卒業生がサポーターとしてココロボの活動を支援していることです。  このような卒業生の姿は、活動する子どもたちにとって目標・憧れの姿であり、「自分も卒業したら後輩を教えよう」「もっと高度な技術に挑戦したい」という思いを抱くようになります。  一期生で後輩の指導も行う西村友之さんは、「プログラミングには答えがありません。ここでは、その答えを仲間とともに見つけようと努力し、そのことが成長につながります。後輩を教えるときも、あまり口出しをしないようにしています」と温かく見守ります。  また、現在、科学探検隊ココロボで「Sa.Chi」というチームで活動する藤田朔夜さん(聖徳中1年)と山田知慧さん(五個荘中1年)は、「うまく動くようにプログラムを組むのは難しいですが、思い通りにロボットが動いたときはすごく達成感を感じます。ココロボの自由で自主的な雰囲気が気に入っています」と笑顔で話します。  3月23日(土)、24日(日)には、活動の体験ができるプログラミング体験イベントが開催され、市内外から59人が参加し、プログラミングの楽しさを体感しました。 ■優秀な成績より大切なもの  科学探検隊ココロボ・ココロボ2は、さまざまな大会にも出場し、好成績をあげています。全国大会の出場は常連で、平成25年には世界大会にも出場し、大変注目を集めました。  西堀榮三郎記念探検の殿堂の角川咲江学芸員は、「もちろん大会でよい成績を収めるのは素晴らしいことですが、取組を通して自主性や、創造性を養えるように工夫しています。ここで育まれたチャレンジ精神などを生かし、卒業後も後輩を指導する卒業生や社会に出てもさまざまな分野で活躍する卒業生が増えてきて大変嬉しいです」と取組に手ごたえを感じています。  かつて時代を拓くさまざまな功績を残した西堀榮三郎さんが生み出した「西堀精神」。その精神は、科学探検隊ココロボの活動を通して脈々と次の世代に受け継がれています。