■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス ■甲津畑小学校→日本ラチーノ学院 ・ポルトガル語が響く旧甲津畑小学校  豊かな森林に囲まれ川のせせらぎが聞こえる甲津畑町。ここに「ボンジーア(ポルトガル語で「おはよう」の意味)」と笑顔で話す子どもたちの学び舎があります。  町内にある旧甲津畑小学校は、平成23年に閉校となり、平成27年からブラジル人学校の日本ラチーノ学院の校舎となっています。  日本ラチーノ学院は、滋賀県内唯一の準学校法人格を持つブラジル人学校で、1歳から19歳までの日系ブラジル人の子どもたち約190人がここでブラジルのカリキュラムに従い学習しています。移転前は、近江八幡市にある商業ビルを校舎として活用していましたが、体育館やグラウンドなどがなく、生徒がのびのびと学ぶことができませんでした。そこで、よりよい教育環境を求めて旧甲津畑小学校に移転されました。 ・地域との交流もさかんに  事務局長の鳥越さつきさんは、「移転時は、地域の皆さんに受け入れてもらえるか不安でした。しかし、地域の皆さんと協議を重ね、オープンスクールを行って生徒の姿を見ていただき、温かく受け入れてもらえました。夏祭りに参加させていただいたり、もちつき大会や流しそうめん大会などを開いてもらったりしています。子どもたちのことを理解してもらえ大変感謝しています」と話します。  4月にも甲津畑町の老人クラブの皆さんによるもちつき大会が行われました。和気あいあいとした雰囲気の中約200人分のおもちがつきあがり、一緒にほおばりました。  ・学び舎として新たな歴史が刻まれる   子どもたちは、国語や数学、英語、理科、社会といった一般的な科目に加えて、日本で就職などができるよう日本語も学習しています。日本語を教える後藤和美さんは、「どの子どもも大変前向きで、熱心に日本語を学んでいます。子どもたちの夢の実現を応援しています」と話します。  一度は子どもたちの声が消えた旧甲津畑小学校。再び地域の皆さんと子どもたちの笑顔があふれ、夢の実現に向けて学ぶ子どもたちの拠点として新たな歴史を刻んでいます。 ●甲津畑町自治会長田井中信一さん  皆でよく話し合った結果、地域が盛り上がるキッカケになればと受入れを決めました。生徒の皆さんは、大変明るく、私たちも元気をもらえます。ここが第二のふるさとと思ってもらえるよう、末永く交流したいと思っています。 ●日本ラチーノ学院 高校3年ファゾロー タミリスさん(左)永田 ブルーナさん  ラチーノ学院は、明るい雰囲気で、生徒同士も学年を超えて仲良しです。地元の皆さんとのイベントも楽しんで参加しています。 ●日本ラチーノ学院 学院長カミムラ カイオさん  甲津畑町の皆さんの温かい受入れと、教育環境の充実によって学校の雰囲気は大変よく、子どもたちはのびのびと学んでいます。この学院での経験が子どもたちの夢の実現につながるよう地域の皆さんとともに取り組んでいきたいです。 ■政所中学校→道の駅奥永源寺渓流の里 ・東の玄関口に道の駅誕生  平成23年3月、国道421号の三重県境に東近江市と三重県いなべ市をつなぐ石榑トンネルが開通しました。これにより、中部圏からのアクセスが飛躍的に良くなり、観光客などが増加しました。  そこで、東の玄関口の観光情報の発信や物産販売の拠点として、平成27年に旧政所中学校を活用して道の駅奥永源寺渓流の里をオープンしました。国道421号を通る観光客の皆さんを中心に利用していただき、昨年度は1年間で約35万人が来場しました。 ・地域の拠点機能も併設  特徴は、「地域の拠点」となる機能も兼ね備えていることです。永源寺診療所の出張所や永源寺支所政所出張所なども併設し、地域の皆さんの暮らしを支える場所にもなっています。  運営は、地域の皆さんで組織される「奥永源寺渓流の里運営協議会」が行っており、地域活性化の拠点となるように取り組まれています。駅長の小門信也さんは、「開駅から3年半経ちますが、多くのお客さんに来ていただいています。今後も地域一体となり、地域の魅力に触れられる施設にしていきたい」と話します。  暮らしを守り、地域をPRする拠点として、これからも地域の皆さんによる温かい運営が続きます。 ●奥永源寺渓流の里運営協議会 会長 池田則之さん  地元の皆さんの愛着がある中学校が道の駅になったということで、多くの皆さんにさまざまな関わりや支援をしてもらいながら運営できています。  奥永源寺地域には、木地師や政所茶、渓流、鈴鹿の山々など多くの地域資源があります。道の駅においてそのような地域資源をうまくPRし、地域全体が活性化できるように取り組んでいきたいです。 ■政所小学校→滋賀シアターアーツトレーニングセンター ・ダンススタジオに変身  平成21年に閉校した旧政所小学校。現在、大勢の若者が自分の夢をかなえるため、ダンスや歌などを練習するスタジオとなっています。  校舎を借り受けているのは、ミュージカルやコンサートで活躍する若者を育成する「ユースシアタージャパン株式会社」です。全国の拠点の一つとして平成30年から滋賀シアターアーツトレーニングセンターとして開校。今夏から本格オープンされます。夏休みなどの長期休暇を中心に年間約5,000人の若者がここでレッスンを受けることになります。 ・地域交流も期待される  現在までに、ここで合宿を行った生徒からは、「自然豊かでのびのび練習できる」などといった声が出ています。  ユースシアタージャパン株式会社の阪口匠さんは、「この合宿所を全国各地の生徒が交流でき、夢を実現できる拠点にしたい」と話します。  6月には地域の皆さんを対象に施設の内覧会も開催されました。今後、大勢の若者と地域の皆さんとの交流がさらに進むことが期待されます。 ■「地域活性化の拠点に!」  人口減少、少子高齢化が進み、全国的に学校の統廃合が進んでいます。一方で、廃校となった校舎の利活用が全国各地で積極的に推進されています。  平成30年度に文部科学省で実施された活用状況実態調査では、全国の7,583校の廃校のうち約75パーセントが活用され、学校や体育施設、福祉施設、企業の施設などで利用されているという結果が出ています。  地域に根ざし、地域の皆さんのよりどころでもあった学校。活用や運営は、地域に寄り添い、地域活性化につながるものであることが重要です。  本市では、紹介したとおり、閉校となった三校全てで特色を生かした活用を行っています。  日本ラチーノ学院では、地域の皆さんと温かな交流が行われ、道の駅奥永源寺渓流の里は、暮らしを支え、情報発信の拠点としてなくてはならない施設となっています。滋賀シアターアーツトレーニングセンターも、今後、地域とのさらなる交流が期待されます。今後も三校の運営が地域の活性化につながるように取組を進めます。  問=学校施設課  電話=0748‐24‐5627  FAX=0748‐24‐5694