■記号は、時=日時 場=場所 対=対象 定=定員 持=持ち物 ¥=費用 申=申込み 問=問合せ IP=IP電話 ■新春対談 生涯にわたり幸せに暮らせる 地域完結型のまちづくり  人口減少、少子高齢化など大きな社会的課題がある中、「住み慣れた地域で生涯にわたり幸せに暮らせる」という基本的なことがまちづくりにおいて改めて大切にされる時代となっています。幸せで暮らし続けるために非常に重要となってくる地域医療、健康寿命延伸に関する施策について今後どうあるべきか。  東近江市出身で京都大学名誉教授の井村裕夫さんをゲストにお招きし、小椋市長と対談していただきました。  問=広報課 電話=0748-24-5611 IP=050-5801-5611 FAX=0748-24-1457 小椋 明けましておめでとうございます。昨年は市政各般にご協力いただきありがとうございます。今年もよろしくお願いします。 井村 明けましておめでとうございます。今年も「令和」の名のとおり平和でよい一年となるようご祈念申し上げます。 東近江市民大学初代学長として、東近江市名誉市民に ― 井村さんは、長年東近江市民大学学長として活躍され、昨年は東近江市名誉市民の称号を受けられました。感想をお聞かせください。― 井村 昨年は、名誉市民の称号をいただきありがとうございました。市長をはじめ市民の皆さんに大変感謝しています。学長を務めていました東近江市民大学は八日市市民大学を継ぐもので、大変長い歴史があります。熱心に企画・運営していただいている運営委員の皆さんのおかげと感謝しています。毎年、多くの市民に参加していただき、熱心に質疑も行われて非常に成功している取組であり、東近江市の伝統になっていると思っています。 小椋 井村さんには、平成17年から14年間学長として市民大学を引っ張って来ていただきました。多くの市民の皆さんが楽しみにしており、質の高い取組となっています。東近江市の生涯学習の伝統を作っていただき大変感謝しています。 地域医療の充実〜地域全体で総合病院を〜 ― 生涯にわたり生き生きと地域で暮らしていくためには医療が重要な役割を果たすと思いますが、東近江市の地域医療施策についてお聞かせください。― 小椋 政策の大きな柱として健康で豊かな人生を過ごせるよう取り組んでいます。東近江市には、市立の能登川病院、蒲生医療センター、永源寺診療所、あいとう診療所、湖東診療所があり、また中核病院として東近江総合医療センター、さらに民間の病院も多数あります。また圏域として考えると近江八幡市立総合医療センターや日野記念病院もあります。    私が目指す地域医療の姿は、市内の医療機関がそれぞれの特徴や特化している診療科目を生かして連携し、地域全体で作る「総合病院」です。その取組のひとつとして、今年4月から蒲生医療センターを医療法人社団昴会に指定管理していただくこととなりました。現在の診療等を維持継続することを基本にがん疾患に特化した取組を進めたいと考えています。今後予想される病院のベット数の減少や人口減少にも対応するため、医療に関わるさまざまな職種の連携や訪問診療の充実にも取り組み、「地域総合病院化」を推進していきたいと考えます。 井村 地域医療はどの自治体にとっても大変難しい取組になっています。その中で、地域の病院を有機的につなぐことは大変よい取組だと思います。    今後、考えなければいけないこともいくつかあります。脳梗塞や心筋梗塞などの急性期の患者さんにいかに対応するか。慢性期の患者さんをいかに地域でケアできるように支援するか。さらにレスパイト入院などに取り組み、看病や介護で疲れる家族の負担をいかに軽減するか。こういったことにも対応できる仕組みが必要です。 健康寿命の延伸〜先制医療と東近江市の豊かな自然を生かして〜 ― 健康寿命の延伸も非常に重要です。病気の超早期診断で健康を維持する「先制医療」を提唱されていますが、健康寿命の延伸と先制医療についてお考えをお聞かせください。― 井村 世界中の先進国・途上国の多くで少子高齢化が進んでおり、健康寿命の延伸は世界的に必要とされています。国連やWHO(世界保健機構)でも検討されています。    人間は誰しも病気にかかるのでそれを予防することが大切です。これからの予防法としては、個人の特徴にあった予防を行うことが重要です。遺伝子を解析することでどういう病気にかかりやすいかもある程度分かり的確に対応できます。特性を知っておくと病気の兆候が出る前の段階で治療ができます。この先制医療を推進するためには、医療機関だけでなく社会全体で協力することが必要です。私は2011年に先制医療に関する論文を執筆しましたが、最近になりさらに注目を集めるようになってきました。    また、妊娠、出産期の環境も生涯の健康に密接に関わっています。日本は、女性のダイエット志向などで低体重児の出生が増えていますが、小さく生まれた子どもは、出生後大きくなるためにたくさん食べることが必要となり、のちに糖尿病や心臓病になるリスクが高くなるとも言われています。 ― 井村さんは現在88歳。生涯現役を実践されている秘訣をお聞かせください。― 井村 仕事を続けていることが原動力のひとつとなっています。常に新しいことを学べますし、よい刺激になっています。運動も大切です。私自身、25年ほど週2日程度ジムに通い運動しています。近くへの移動は車ではなく歩くというようなことに気を付けたいですね。 ― 東近江市の健康寿命延伸に向けた取組をお聞かせください。― 小椋 井村さんの先制医療の話は大変勉強になりました。市の取組としては、大げさかもしれませんが全ての施策が健康寿命延伸につながっていると考えています。滋賀県は長寿県と言われ、健康寿命も長いとされていますが、日常の身の回りのことを自分でできるかが非常に重要だと考えています。    市としては、一昨年に妊娠、出産、子育て、介護予防に取り組める「保健子育て複合施設ハピネス」を整備し、生涯にわたり切れ目なく支援する取組をしています。    また、なにより東近江市のメリットは鈴鹿から琵琶湖まで広がる多様性のある森、里、川、湖といった自然です。気軽に運動できるスポーツ施設もありますので、市民の皆さんにも大いに運動していただきたいし、今後、地域資源を生かし、医療機関とも連携して先制医療にも取り組みたいと考えています。 井村 85歳を超えるとどうしても認知症にかかるリスクが高くなりますが、頭と体を使える農業などを続けている人は認知症になりにくいとされています。精神的にも健康でいられる取組も必要です。 小椋 山、森林に入ることは精神的な健康にもつながると考えます。東近江市には、鈴鹿のような本格的な山から猪子山や箕作山などの手軽に楽しめる山まで多様な山がありますので、多くの市民の皆さんにそういった豊かな自然にふれていただきたいと思います。 ふるさと東近江市の魅力 ― ふるさとの魅力をお聞かせください。― 井村 自然が非常に豊かだと思います。個人的には鈴鹿の山を望むのが好きです。また、近江商人など積極的、先駆的な精神があるので、そういった伝統を継いで、若い人にも大いにチャレンジしてもらいたいです。 小椋 鈴鹿から琵琶湖までの多様な自然のもとに奥深い歴史伝統文化があります。これらを磨き上げ後世につなぐことが重要です。昨年は太郎坊宮の本殿などが国の登録有形文化財に登録されました。また、令和のゆかりとなった「万葉集」の最も人気のある相聞歌が詠まれた地でもあります。素晴らしい資産を多くの皆さんに認識してもらえるように発信していきたいと考えます。 ― 市政に期待することをお聞かせください。― 井村 滋賀県は文化財も多く人口減少も近隣に比べ緩やかです。若者にとって魅力的なまちになることを期待します。市民大学が今後さらに発展することを願います。 ― 市民の皆さんへのメッセージをお聞かせください。― 小椋 東近江市にあるお互いを助け合えるような「惣村文化」は、大変素晴らしいものです。このような独自の文化を生かして質の高いまち、住んでいて心地よいと感じられるまち、生涯にわたり住み続けたいまちを目指したいと考えています。今年も、さまざまな施策を通して本市の発展に努めますので、ご理解ご支援をいただきますようお願い申し上げます。 ■新春対談の様子は  東近江スマイルネットで放送します。(15分番組) ◆1月1日(祝)8:15、15:45、20:45 1月2日(木)10:45、15:45 1月3日(金)8:15、13:15、18:15 ※1月4日(土)〜6日(月)も放送します。 ※詳しい放送予定は、東近江スマイルネットの番組表をご覧ください。