■記号は、時=日時 場=場所 対=対象 定=定員 持=持ち物 ¥=費用 申=申込み 問=問合せ IP=IP電話 ■特集 認知症の人にやさしいまちへ 〜住み慣れた地域で暮らし続けるために〜 ■認知症とは  認知症とは、さまざまな原因によって脳の細胞の働きが低下する病気です。認知症が進行すると記憶力や判断力が低下し、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。  高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍と言われています。認知症は、誰にでも起こりうる病気であり、家族や身近な人が認知症になる可能性もあります。決して他人事ではありません。  認知症には、早期発見・治療することによって治るものや進行を遅らせることができるものもあります。  また、周囲の人の理解と気遣いによって、認知症になっても地域で穏やかに生活していくことができます。 ■認知症による行方不明高齢者の増加  滋賀県の調査結果(下図)によると、令和元年度の認知症などによる行方不明者数は、延べ302人(うち、市内は16人)でした。年齢別では、70歳代以上が9割を占めます。  また、認知症を有する人も全体の約8割を占めていることから、今後の高齢化の進行や認知症高齢者の増加に伴い、徘徊による行方不明者数のさらなる増加が懸念されます。  行方不明の防止や早期発見のためには、本人やその家族に寄り添った支援を行うとともに、日頃から地域で見守りができる体制をつくることが求められています。 ■「もしや」と思ったときに声が掛けられる地域を目指して  東市辺自治会では、東近江市社会福祉協議会・地域包括支援センターなどと連携し、行方不明になった認知症高齢者を早期発見するための情報伝達方法と、徘徊者への声掛け訓練を平成28年度から毎年実施されています。  今年度は、11月29日に実施し、43人が参加されました。当日は、「町内の認知症の高齢者が行方不明になり、その家族から自治会長へ捜索の協力依頼があった」という想定で訓練がスタート。  自治会の連絡網により招集を受けた参加者は、自治会倉庫前に集合。徘徊者の服装などの特徴を確認し、3つのグループに分かれて徘徊者を捜索し、声掛けが行われました。徘徊者を発見するも話が通じず悪戦苦闘。  戸惑いながらも、あらかじめ家族から伝えられていた徘徊者の性格や趣味などに話を合わせ、優しく誘導していました。  捜索終了後に行われた反省会では、徘徊者役、捜索役などそれぞれから出された感想を参加者全員で共有し、訓練は終了しました。  この活動に関わった社会福祉協議会の柴田遥さんは、「認知症の人や家族はもちろんのこと、ご近所さん同士でお互い気に掛け合い、認め合って暮らすことの大切さを改めて感じました。  活動を単に継続されているだけでなく、毎年新しい内容を取り入れながら実施されていて素晴らしい」と感心しきりでした。 ■認知症になっても安心して暮らせる地域に  東市辺自治会長 辻 義弘 さん   毎年行っている声掛け訓練は、コロナ禍で開催が危ぶまれましたが、感染防止対策を講じて行いました。  高齢化が進む私たちの集落では、認知症を身近な問題として捉え、住民の意識を高めていくためにも、この活動を続けていきたいと思います。  そして、皆さんが安心安全に暮らせるまちづくりにつなげていきたいと考えています。 ■認知症について正しく学ぶ子どもサポーター養成講座  子どもたちに認知症への理解を深めてもらおうと「認知症子どもサポーター養成講座」が11月19日、蒲生西小学校で開かれ、5年生56人が参加しました。  この講座は、社会福祉協議会や認知症キャラバンメイト、地域包括支援センターの共催で開催されました。  まずは、重りを手足に付けて校内を歩いて回るなど、高齢者の日常生活での動作の大変さを体験。  次に、もの忘れや趣味への関心がなくなるなど、認知症の症状を教えてもらい、認知症は脳の病気であることを学びました。また、認知症になったおばあちゃんを描いた手作りの紙芝居を見て、認知症への理解を深めました。  受講した垣谷志乃さんは、「自分にも手助けができることがあったら、助けてあげようと思います」と笑顔を見せました。 ■認知症キャラバンメイトとは  認知症になっても安心して住み慣れた地域で暮らせるまちづくりを目指して、認知症を正しく理解し温かく見守るサポーターを養成するための講師です。本市では、現在205人が登録されています。 ■正しい情報で不安や悩みを解消していただくために 蒲生地区を中心に活動する認知症キャラバンメイトの皆さん  私たちは、市からの依頼を受けて、小学校や自治会のサロンなどを訪問し、認知症に関する講座を開いています。身近な人が認知症だと聞けば、戸惑ってしまうかもしれませんが、講座を通して正しく理解してもらい、気軽に相談していただく中で、少しでも不安や悩みを取り除いてもらえればと思います。  これからも、こうした私たちの思いを伝えていくため、活動の輪を広げていきたいと考えています。 ■トピック  地域でサポート  認知症高齢者 見守りQRシール  認知症高齢者が道に迷うなどして行方不明になったとき、早期の発見と保護につなげるため、「認知症高齢者見守りQRシール」を交付しています。  このシールに記載された登録番号で身元が識別できるので、本人の衣服などに貼り付けて使用します。QRコードを読み取ることで、警察と市役所の連絡先が表示されます。  ●登録できる人 認知症で行方不明になるおそれがある本人または家族  ※登録には、事前相談が必要です。 ■〜さまざまなサインに素早く気付くことが大切〜  ●家に見られるサイン  □郵便物や新聞、配達物がたまっている。  □同じ洗濯物が何日も干されたままになっている。  □夜でも明かりがつかない。または昼でも明かりがついている。  □窓やカーテン、雨戸に開閉された様子がない。  □家や庭が荒れている。  □ゴミが放置され、悪臭がする。  ●人物に見られるサイン  □訪問しても顔を出してくれない。  □最近顔を見ない。外出の機会が減った。  □最近元気がない。やせたり顔色が悪くなったりした。  □「お金を貸してほしい」と言う。  □ものやお金を盗られたと言う。  □感情の起伏が激しく、急に泣き出したり怒り出したりする。  □いつも同じ服装をしていたり、衣服が汚れたり破れたりしている。  □季節にそぐわない服装やちぐはぐな服装をしている。  ●このようなサインが見られる場合、認知症の症状を示している場合があります。   将来、行方不明になったり事故につながったりすることもあり、早期に適切な治療につなげるためにもサインに素早く気付くことが大切です。 ■知って備えれば安心!もの忘れ相談室  3つの「すまいるプログラム」で脳と心の元気を維持しよう!  もの忘れや認知症状に不安を持つ人を対象に、早期発見・早期支援につなげるため、3つのすまいるプログラムを用意しています。  @すまいるタッチ  タッチパネルを使って、脳の元気度を確認します。  Aすまいるシート  チェックシートを使って、生活の中で自信のあることや困っていることなどを確認します。  Bすまいるアドバイス  チェック結果を参考にしながら、専門職からアドバイスを受けます。  時=3月11日(木)9:30〜11:30  ※事前予約が必要です。  場=市役所本館2階201会議室  申問=福祉総合支援課  ※4月以降の開催については、毎月の広報ひがしおうみで確認してください。 ■認知症の人への対応の心得 『3つの「ない」』  1 驚かせない  2 急がせない  3 自尊心を傷つけない ■誰もが安心して暮らせる地域づくり  国では、令和元年6月に「共生」と「予防」※を柱とする認知症施策推進大綱が定められました。本市でも、認知症の人や家族が安心して地域で暮らせるように、地域での認知症に関する理解を深め、共生の地域づくりや認知症予防への具体的な取り組みを進めています。  認知症を理解するための方法の一つとして、市の『ちょっときてぇな講座』のプログラムの中に認知症サポーター養成講座を設け、地域や職場・友人などのグループに講師を派遣しています。  認知症の人と家族の応援者として認知症サポーターを増やすことがお互いに必要なときに手を差しのべられる地域づくりにつながります。  認知症サポーター養成講座や認知症に関する相談は、東近江市地域包括支援センター(福祉総合支援課内)にご連絡ください。  ※「予防」とは、認知症にならないという意味ではなく、認知症になっても進行を緩やかにしたり、認知症の発症を遅らせたりするという意味が込められています。 問=福祉総合支援課 IP=050‐5801‐5641 ファクス=0748‐24‐5693 (取材:広報課 片山晴紀)