■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス ■特集 コロナに負けないまちづくり  新型コロナウイルス感染症の拡大で、これまで当たり前に行われてきた地域活動が中止や自粛となり、店舗や企業経営に影を落とす日々が続いています。  しかし、こんなときだからこそ、さまざまな工夫を凝らしながら活動されている人もいます。  今回は、そんなコロナに負けない取り組みを紹介します。 ■地域飲食店応援事業 “美味しい”はコロナに負けない! ■地域の飲食店から弁当300食  今町にある日本電気硝子株式会社能登川事業場では、今年2月から毎月2回、能登川地域の飲食店から弁当300食を購入し、社員食堂で販売しています。  この取り組みは、同社能登川事業場が今年で創設50周年を迎えるに当たり、これまで地域に支えられてきた感謝の思いを何とか地域貢献でお返しをしたいという  思いからスタート。コロナ禍で大きな打撃を受けている地域の飲食店に対して何か支援できないかと東近江市商工会に相談を持ちかけ、実現に至りました。  弁当は、社員の皆さんに好評で、当初の300食から320食、350食と4月から発注数も増えていきました。  この取り組みの様子を取材させていただきましたので紹介します。 ■美味しい弁当が食堂に勢揃い   4月21日午前9時、同社能登川事業場には、能登川地域の飲食店8店舗から総数350食の弁当が搬入されました。  この日、40食の色鮮やかな弁当を届けた仕出し・会席料理店の田中めぐみさんは、「こうした企画を提案いただき、ありがたいことです。ぜひ、お店にもお越しいただきたいです」と感謝の思いを口にします。  各店舗からの弁当を食堂入口のテーブルに並べ、社員の皆さんは、自分好みの弁当を選んで購入。通常、社員食堂の定食は、一食400円。この日も差額分を会社側が負担することで、皆さんは400円でボリューム満点の弁当を食べることができ、満足げな様子でした。  今年4月に入社した女性社員は、「盛りだくさんの弁当で美味しくいただきました。来月のデザートフェアも楽しみです」と笑顔で話しました。 ■応援事業の第2弾デザートフェア   2月から始まったこの取り組みは、5月から8月までの夏場は、デザートフェアに内容を変更。  5月20日の初日には、弁当同様、和菓子や洋菓子を扱う能登川地域の6店舗から総数400個のデザートが搬入されました。  テーブルに並ぶカラフルなデザートの中から社員の皆さんはお好みのデザートを選択。社員食堂の定食に地元デザートが付いて、400円で味わうことができ、デザートフェアも大好評となっています。  この日、同社能登川事業場からの注文を受け、早朝から従業員4人と手際よくショートケーキ70個を作った洋菓子店のコ田篤シェフは、「『お菓子でみんなを笑顔に』をモットーに、従業員と一緒に日本電気硝子株式会社で働く皆さんの笑顔を思い浮かべながら頑張っています」と心境を語ります。 ■弁当やデザートが結ぶつながりを大切に  日本電気硝子株式会社 能登川事業場長 谷波正巳さん  今回の取り組みは、従業員の地元の飲食店を何とか応援したいという思いがかたちになったものです。  手探り状態でのスタートでしたが、東近江市商工会の皆さんにサポートをいただき、食堂内で従業員の明るい笑顔を見ることができました。  そのお店の一押し料理を弁当やデザートで提供してもらうことで、従業員がそのお店のファンになり、アフターコロナでの常連客になってもらえることも期待しています。  従業員一人一人の支援が積み重なったこの取り組みは、コロナ禍が続く間は継続していきたいと考えています。 ■コロナ禍での地域活動を考えよう  まちのわ会議(協働ラウンドテーブル)  一歩踏み出す勇気とヒントを得る  4月23日、東近江市協働ラウンドテーブル運営委員会の主催で、参加者が同じ目線で意見を交わす「まちのわ会議」が湖東コミュニティセンターで開催され、約40人が参加しました。  今回は、コロナ禍での新しい地域活動のあり方についての光が見えるよう、地域の取り組み事例から学び、考え、次に一歩を踏み出す勇気とヒントを得る場になればと開催されました。  まず、事例発表として、辰巳はる枝さん(北坂町)から、地域の見守りサロンでの取り組みについて、続いて藤澤彰祐さん(甲津畑町)は、ラチーノ学院と地域を結ぶ活動について発表されました。  また、3人目の中嶋達也さん(勝堂町)から、コロナ禍でのコトナリエへの取り組みについて、最後に、田島宏さん(五個荘石馬寺町)は、地域と防災の観点からまちづくり協議会での取り組みについて、それぞれにコロナ禍での工夫を凝らした活動を紹介されました。  事例発表を終え、参加者は、もう少し聞きたい、話したいと思った発表者の周りに集まり、4つのグループに分かれて意見交換を行いました。意見交換では、自分たちの地域活動と比較したり、アドバイスをもらったりと、活発なグループワークが展開されました。  参加した青西保則さん(中一色町)は、「皆さんの熱い思いが感じられ、コロナ禍でも自分も何かやってみようという気持ちにもなりました」と力強く話しました。 ■課題解決に向けた話し合いの場を  東近江市協働ラウンドテーブル運営委員会 委員長 小倉昌和さん   地域には、さまざまな課題があります。また、こんなことをしてみたいという思いもあります。   しかし、一人では難しいことばかりです。そんな時は、誰かと思いを語り合い共有することで、課題の解決や、やりたいことにつながると思います。    そのためには、話し合いの場がとても大切です。ぜひ、地域の話し合いの場を私たちにコーディネートさせてください。これまでの経験をいかして、これからも皆さんの思いを多くの人に共感してもらえる場をつくっていきます。 ■まちのわ会議から地域課題の解決へ  現在、めまぐるしい社会情勢の変化に伴い、自分一人の力では解決できない市民生活に関する新たな課題が増加しています。  このような中、こうした課題についてみんなで話し合う「対話の場」が求められています。本市では、地域の課題を把握し、その課題解決に向けて市民と協働で取り組む仕組みとして、まちのわ会議(協働ラウンドテーブル)による「対話の場」から始まる協働のまちづくりを推進しています。  具体的には、  ・行政に協力を得られれば解決できそうな課題を提案  ・新たな公共サービスを提案  ・多岐に及ぶ新たな地域課題に関する相談 など  このような取り組みによって、課題解決に向けた意見を出し合い、市民協働のまちづくりのきっかけとなることが期待されます。 ■まちのわ会議から誕生したプロジェクト  まちのわ会議を通じて、実際にプロジェクトが始動したものもあります。その一つが「コミセンで音楽を聴こうプロジェクト」です。  これは、コミュニティセンターにみんなが集い、リラックスして楽しいひとときを過ごせる場所を作りたいというアイデアが形となったプロジェクトで、昨年10月、湖東コミュニティセンターで開催されました。  この日は、ジャズを通じて、音楽談義をしたい人、今までコミュニティセンターに足を運ぶことがなかった人など、さまざまな人が参加し、盛り上がりました。 ■お気軽にお越しください。  認定特定非営利活動法人 まちづくりネット東近江  住所=東近江市八日市金屋2-6-25  IP=050-8036-0784  ファクス=0748-56-1277  メール=info@e-ohminet.com ■コロナ禍の今だからこそ  コロナ禍により地域の活動が制限される暮らしの中で、さまざまな地域課題が浮き彫りになったのではないでしょうか。今回紹介した「まちのわ会議」は、そんな地域課題を解決するための手法の一つです。  コロナ禍で課題が見えてきた今こそ、皆さんも地域の発展や課題解決のために語り合い、思いを共有していただき、さらに市民と行政がタッグを組み、課題解決の糸口を見い出していければと考えています。  本市とともに、まちのわ会議事務局を担う「まちづくりネット東近江」が地域の皆さんの取り組みをサポートします。まちづくりへの提案や課題をお気軽にお寄せください。 問=まちづくり協働課 IP=050‐5801‐5623 ファクス=0748‐24‐5560 (取材:広報課 片山晴紀)