■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス ■特集 東近江ゆかりの芸術に触れる  東近江市には豊かな文化が息づいています。著名な芸術家を何人も輩出しており、その作品は博物館や地域の人々によって大切に受け継がれています。中でも今年は、ふるさと蒲生野の風景を詩情豊かに描いた洋画家・野口謙蔵の生誕120年と、東近江市名誉市民であり、日常に根差した湖国の自然を描き続けた日本画家・中路融人の作品を展示する中路融人記念館の開館5周年にあたります。  これを記念して、近江商人博物館・中路融人記念館では、特別企画展を開催します。  今月の特集では、同館のマスコットキャラクター「てんちゃん」と一緒に企画展に展示される作品の一部を紹介します。  芸術は人々に楽しさや感動、生きる喜びをもたらし、人生を豊かにしてくれます。また、他者の感性に共感する心を通じて、他人を尊重し、豊かな人間性を育むものです。  このような芸術は、芸術家や一部の愛好家だけのものではありません。誰もがゆとりと潤いを実感できる心豊かな生活を送っていく上で必要不可欠なものです。  今年の秋は、地域ゆかりの芸術家の作品に触れ、東近江の新たな魅力を発見し、豊かで質の高い暮らしを実現しませんか。 てんちゃんのコメント「近江商人博物館のてんちゃんです。今回はボクが野口先生と中路先生の作品を紹介します。」 問=近江商人博物館・中路融人記念館 IP=050-5802-3134 ファクス=0748-48-7105 (取材:広報課 西澤 誠) ■野口謙蔵の世界 野口謙蔵 洋画家。1901年、蒲生郡桜川村(現在の東近江市綺田町)生まれ。ふるさとの風景を好んで描き、洋画に日本画の様式をいかしながら、独自の作品を次々と発表。帝国美術院展覧会で入選3回、特選3回を受賞。滋賀県を代表する洋画家として活躍するも、1944年に43歳の若さで亡くなる。代表作の一つである「霜の朝」は、国が購入し、現在は東京国立近代美術館に所蔵されている。 ●「石塔風景」 制作年不詳 個人蔵 自宅の近くにある石塔の集落を描いています。ふるさとの風景や人々を愛した洋画家・野口謙蔵の温かなまなざしが感じられます。 てんちゃんのコメント「ふるさとの温かみが感じられます。」 ●「蓮」 1937年 源通寺蔵 帝展に入選した大作である本作は、蓮という画題から自宅近くにある源通寺に寄進されました。静かな画面の中にも、右下から真っすぐ伸びる蓮に迫力が感じられます。 てんちゃんのコメント「蓮の力強さが目を引きます。花にとまる小鳥もかわいいですね。」 ●「雪後風景」 制作年不詳 個人蔵 冬の青空の目が覚めるような色が半世紀たった今でも色褪せずに残っています。洋画家・野口謙蔵は、外国製の絵の具を使っていて、画材にはこだわりがあったようです。 てんちゃんのコメント「青空と雪に身が引き締まります。でもどこか温かいです。」 ■中路融人の世界 中路融人 日本画家。1933年、京都市生まれ。母のふるさとである湖国の原風景に心惹かれ、60余年もの間その風景を追い求める。写生を大切にし、その作品には、一期一会の自然の表情が豊かに表現されている。日展を中心に活動し、1962年、1975年に特選を受賞。2012年に文化功労者に選ばれる。2015年には東近江市名誉市民の称号を受ける。2017年、83歳で逝去。 ●「伊吹山」 1990年 東京オペラシティアートギャラリー蔵 「雪の伊吹の美しさは富士山にも負けない」と、好んで描いた伊吹山。毎年正月には伊吹山へ向かい、“描き初め”をしました。これは四曲一双の屏風で、山頂から麓までを捉えた大パノラマが湖北の自然の雄大さを伝えています。 てんちゃんのコメント「雄大な山容が目の前に広がります。」 ●「湖東」 1987年 中路融人記念館蔵 県内各地を取材し、写生をした日本画家・中路融人。その中には身近な場所を描いたものもあります。何気ない日常の中にある風景に美しさを見出しました。 てんちゃんのコメント「東近江市の近くで見える風景です。どこかわかりますか?」 ●「映象」 1996年 日本藝術院蔵 冷たい空気の中にも温かさを感じるのが日本画家・中路融人の作品の特徴です。雪解け水が流れ込み、水かさが増した琵琶湖に夕日が反射して水面から伸びる木々を幻想的に照らしています。 てんちゃんのコメント「すべてがオレンジ色に染まって美しいですね。」 てんちゃんのコメント「ほかにも魅力的な作品を多数展示します。ぜひ無料観覧券をご利用ください。近江商人博物館・中路融人記念館で皆さんのご来館をお待ちしています。」 ■東近江市のおすすめ文化芸術施設 ●西堀榮三郎記念探検の殿堂 【住所】横溝町419 【IP電話】050-5802-2291 【開館時間】10:00〜18:00(入館17:30まで) 【休館日】月・火曜日、祝日 西堀榮三郎の偉業をはじめ、近代日本人探検家を顕彰する施設。日本画や洋画、彫刻などさまざまな作品を展示する企画展を9月11日(土)から12月19日(日)まで開催します。 ●観峰館 【住所】五個荘竜田町136 【電話】0748-48-4141 【開館時間】9:30〜17:00(入館16:00まで) 【休館日】月曜日 「書の文化にふれる博物館」として、中国近現代書画や国内外の書画、和本類などを多数収蔵。9月18日(土)から秋季特別企画展を開催します。詳しくは、14ページをご覧ください。