特集/地域調査プロジェクトチーム 鉄道と地域をつなぐ若者に聞く びわこ学院大学「地域調査プロジェクトチーム」は、平成29年5月に同大学教育福祉学部の逄軍(パン・ジュイン)ゼミを中心とした学生有志によって結成され、近江鉄道ED314保存活用プロジェクトなど、近江鉄道線の利用促進や地域活性化に取り組まれています。今年4月には、大学前駅の「つなぐ駅長」に就任し、活躍の場を広げています。今回は、そのプロジェクトチームの中心メンバーである4名および逄軍教授にお話しを伺いました。 学校まで徒歩1分。びわこ学院大学の前には近江鉄道大学前駅があります。そこに通う学生が、このたび近江鉄道を盛り上げようと「つなぐ駅長」に任命されました。 Q  つなぐ駅長って何? A  近江鉄道の社員と地域住民で沿線の活性化を目指す会議の中で、乗車券の販売など駅の業務ではなく、地域を盛り上げるリーダー役を担う「つなぐ駅長」を選定することになったそうで、日野駅に続いて2例目です。 Q  なぜ任命されたの? A  これまでの近江鉄道を対象にした地域活性化の調査研究活動を評価いただき、地域に関心を持った学生が駅長になってもいいのではないかということで任命されました。大学生としてのボランティア駅長は、全国初ということです。 Q  つなぐ駅長の具体的な活動は? A  新入生に向けて、近江鉄道の社員さんや大学の教職員さんと共に、大学前駅に「入学おめでとう」と書いたメッセージボードを張り出すという取り組みや、SNSを活用した沿線の魅力を伝える映像の製作をしました。また、7月には近江鉄道さんと地域住民の方と協力して大学前駅の清掃活動を実施しました。 Q  今後の活動予定は? A   近江鉄道の社員さんや地域住民の方との座談会、子どもを対象にした電車の乗り方教室のような取り組みなど、地域の方々と関わる機会を設けていきたいと考えています。 Q  活動をして見えた課題は? A  八日市駅での乗り継ぎの不便さもあり、近江鉄道を利用している学生が1割しかいません。マイカー通学や近江八幡駅からのスクールバスで通う学生が多いことですね。 Q  地域や人、大学前駅がどうなってほしい? A  うちの学生には近江鉄道線や東近江市に対してイメージがわかない人が多いです。僕たちは近江鉄道にふれてみて感じたことがたくさんあったので、実際にふれてもらい、魅力に気づいてもらえればいいなと思います。 Q  活動に関わるまでと関わってからの東近江市の印象は? A  大学に入ってからも大学周辺にあまりお店がなく、田舎というイメージがありました。しかし、プロジェクトチームに入って、自分の足で八日市駅周辺を歩いてみて、魅力のある店がすごく多いことに気づきましたし、その後、プライベートでも何回も行っています。 A  魅力はあるけれどそれを知られていないだけなので、ちゃんと発信できたらいいなと思っています。 A 僕は電車通学ですが、近江八幡駅からは大学の送迎バスを利用しているので、あまり東近江市を感じることがありません。フィールドワークを通して、大凧会館や市神神社などの歴史文化にふれ、聖徳太子など誰もが知っているような歴史人物とゆかりのある土地であることを知り、すごいなと感じました。 Q  若者が自分の住むまちに関心を持ってもらうにはどうすればいい? A   やっぱりSNSは強いと思います。僕らの世代は雑誌や新聞、ホームページで情報を得る人が少ないので、どこで情報を得ているかと言われたら、ツイッターやインスタグラム、ユーチューブ、ティックトックなどから勝手に流れてくるものがほとんどです。そう考えると、SNSから自分のまちの情報が流れてくると、見るんじゃないかなと思います。なので、SNSを通して東近江市の景色やおいしい店、観光地を発信していくべきじゃないでしょうか。 Q   今後の抱負、挑戦したいことは? A  人や鉄道、地域にふれる機会を設けるというのが目標です。卒業するまで、活動の中でもっとふれる機会をつくれるように頑張っていこうと思います。 A  まずは、八日市駅から近江鉄道最古級の電気機関車ED314の保存場所である近江酒造までの周遊マップをみんなで完成させたいと思っています。 A  SNSを活用して、自分たちの活動や地域の良さを発信し、市民のみなさんに認知してもらい、結果としてこのグループのメンバーが増えていったらいいなと思っています。地域とのつながりの輪を大切にして、地域の人々から信頼されたいです。