東近江市の新しい住民自治のかたち まちづくり協議会 東近江市が誕生して半年が経過しました。 合併により市の区域が広がりましたが、身近な生活圏ではこれまで以上に市民のみなさんの社会参加や地域活動が重要になってきます。 市民のみなさんと行政が協力して、自らが地域の抱える課題を解決していく仕組みが、市がめざす新しい住民自治のかたち「まちづくり協議会」です。 今、なぜ、「まちづくり」か 今日、住民参加によるまちづくりが重要になってきています。 今、大きな転換期を迎えている地域社会の現状と課題について考えてみましょう。 ■避けられない少子高齢社会 2006年をピークに日本は人口減少社会に入り、少子高齢化も急激に進展していきます。 年金、医療や介護の負担が増えるとともに、経済・財政の縮小は避けられません。 経済成長の時代に拡大してきた行政サービスを維持することはもはや困難になってきます。 このため、介護や子育て、防犯など、行政だけでは解決できない課題について、地域住民がともに支えあって解決していく社会システムへの見直しが求められています。 ■合併後の地域運営は 合併は行政区域を拡大して効率的な行財政運営を可能にしますが、これまで身近にあった行政との関係が疎遠になって、地域固有の伝統文化や独自のまちづくりが失われるのではないかと心配されます。 大きくなった市の中で、これまで地域が築いてきたそれぞれの個性豊かなまちづくりを、住民が主体になって継承し、大切に育てていくことが必要です。 ■地域のつながりの大切さ 以前に比べ、近年では、自治会や女性団体、青年会などへの加入者の減少とともに、その活動も停滞傾向にあります。 相互扶助の考え方や地域での人間関係が希薄化し、自治力が弱まっています。 また、自治会だけでは解決が困難な、広範で複雑な課題が増えています。 このため、身近な生活基盤を支えるには、より大きな視点にたった新しい住民自治の仕組みをつくることが課題となっています。 このような地域の現状を踏まえて、「市民と行政の協働」を基本的な考え方とした新しい住民自治のかたちが求められています。 中村市長からのメッセージ 市民と行政の協働によるまちづくりを 市民のみなさんのご理解とご協力をいただき、足腰の強い自立できる自治体をめざして合併を進めてきました。 今後は、合併の効果が得られるよう、より一層の行政改革に努めていきますが、限られた財源の中でこれまでの住民サービスを維持・充実していくには、市民のみなさんやNPO、企業など様々な人々と協力・連携して、まちづくりに取り組む必要があります。 本市がめざす住民参加のまちづくりのシステム「まちづくり協議会」にご理解をいただき、積極的なご参加をお願いします。  求められる新しい住民自治の姿とは 東近江市にふさわしい住民自治の姿はどんなものでしょう。 「まちづくり協議会」とはどんなものなのか。 また、「どこで、だれが、なにを、どのように」取り組むのかを具体的にみてみましょう。  ■12の個性【どこで】  まちづくり協議会は、旧八日市市では8地区の公民館、旧4町では支所の区域を単位に設置し、それぞれの区域を主な活動エリアにします。 この12の地区には、地域固有の伝統文化や独自のまちづくりの歴史があります。 各地域の住民が価値観を共有し、地域の一体感を保てる身近な生活圏で新しい住民自治組織の創造をめざします。 ■市民が主役【だれが】 まちづくりの主役は、もちろん市民のみなさんです。 まちづくり協議会は、自治会や女性団体、子ども会などこれまでの団体に加えて、ボランティア団体やNPO(市民や民間の支援により、非営利で社会的な活動を行う団体や組織)、企業といった地域のあらゆる市民が自主的に参加して設置、運営します。 従来の自治会だけではできないことを地域の多彩な人材を活用して取り組みます。 環境や福祉、文化振興、防犯活動など、課題や目的ごとに、有志のみなさんがそれぞれ得意な分野で活躍できる組織づくりをめざします。 ■地域課題の解決【なにを、どのように】 近所の川が汚れている、商店街に活気がない、独居高齢者の生活が心配、通学路が危険など、地域にはさまざまな問題があります。 これらを地域社会の問題として、自ら考え、自らの責任で行動し解決していくのがまちづくり協議会です。 また、行政だけで解決できない地域の課題について、住民と行政が役割分担しながら連携、協力して解決を図っていく協働のまちづくりをめざします。 より良いまちをつくるためには、住民のみなさんが地域の良い点や問題点について共通の認識をもち、地域の将来像を描くことが必要です。 大きくなった市の中で市民が主体となって、いくつもの個性ある地域を大切に育てましょう。 その中心的な役割を果たすまちづくり協議会へのご理解と積極的なご参加をよろしくお願いします。 住民が動けば、まちは変わる 愛東地区まちづくり協議会「愛のまちネット」会長 おぐらきはちろうさん(百済寺本町) 豊かな自然に恵まれた愛東地区では、農業と環境をテーマに、まちづくりを進めてきました。 合併後も、愛東の良いところを残すため、みんなと一緒にまちづくりに汗を流そうと思っています。 地区内の様々な活動がお互いに結びつき、地区全体の取り組みになるよう、愛のまちネットが潤滑油の役割を果たせればと思います。 私たち住民が動けばまちは変わります。 ひとりでも多くの人の参加をお願いします。 心が通い、温かみあふれる地域を 南部地区まちづくり協議会準備委員 さえきふさこさん(沖野一丁目) 南部地区は、新興住宅が多く、隣同士のつきあいや、地域内での交流が希薄だと感じています。 地域の中には何かしたいと思っていても初めの一歩が踏み出せない人もたくさんいます。 多くの人が楽しく活動できるきっかけづくりを大切にし、困った時に助け合えるような、心が通い、温かみにあふれた地域を創っていきたいと思っています。 毎回みんなで活動するのが待ち焦がれるような楽しい協議会にしたいですね。 まちづくり協議会では こんな活動ができます 郷土文化の振興 伝統芸能の保存・伝承/歴史的建造物の保存/夏祭り・秋祭り/文化財活用イベント/ボランティアガイド/歴史案内板設置/地区史のへんさん/新規イベント開催/都市農村交流事業/広報紙発行/ホームページ開設 地域産業の振興 商店街再生/街角博物館/コミュニティビジネス/地域通貨導入/空店舗利用/有機農業研究/特産品開発/地産地消推進/地元木材の利用/ 地域教育・生涯学習の確立 フリースクール/昔遊び教室/学童保育/青少年育成研修会/通学合宿/市民合唱団/映画会、コンサート/文化祭/短歌・俳句集発行/外国語教室・日本語教室/人権啓発/男女共同参画 地域福祉の推進・健康の増進 介護サービス/給食サービス/介護(予防)教室/移送サービス/子育て支援/自主保育(託児所)/ふれあいサロン/点字・手話サークル/健康相談/運動会/園芸セラピー/健康ウォーク 地域防災・防犯の確立 自主防災組織の育成/地域安全パトロール/防災訓練・防災研修/防災マップ作成/危険箇所の整備・啓発/交通安全街頭啓発/交通安全施設の管理/防犯灯の設置・管理/違法駐車・駐輪の防止 地域環境の保全 ゴミの分別収集/不法投棄・散乱ゴミの回収/廃食油回収/粗大資源の回収/不用品バンク/フリーマーケット/植樹・花壇整備/河川の清掃/公園整備・管理/道路清掃、街路樹管理/里山保全/自然観察会/間伐材利用/自然エネルギー導入 先進の取り組み事例から 宝塚市(兵庫県)のまちづくり協議会 宝塚市では、おおむね小学校区を単位として、20の区域でまちづくり協議会が設置され、交通安全対策・公園整備・高齢者福祉など地域の課題解決に取り組まれています。 その一つ中山台コミュニティでは、市から運営委託されたコミュニティセンターを拠点にして、高齢者の給食サービス、児童館の管理運営、緑化整備などの活動が進められています。 さらに地域通貨を発行して注目されています。 安芸高田市(広島県)の振興協議会 安芸高田市の川根振興協議会では、過疎で廃校となった中学校跡地を利用して、自然体験のできる宿泊研修施設を運営しています。 また、農協マーケットやガソリンスタンドが閉鎖となった際には、自分たちで経営を引き継ぐ取り組みをされました。 その他、道路用地買収、河川整備、独居高齢者の給食サービスや若者の定住対策にも積極的に取り組まれています。 行政からの支援は ■市民活動アドバイザー派遣 地域で開催される、まちづくり研修・ワークショップなどの講師を派遣します。 ■地域担当職員の配置 地域ごとに担当職員を配置し、検討会議・計画書づくりなどを職員がお手伝いします。 ■まちづくり協議会交付金 まちづくり計画に基づく活動の経費を支援します。 ■問い合わせ まちづくり推進課  0748−24−5623 まちづくりに関する熱い思いをお待ちしています。 どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。 また、地区別に説明会・勉強会を随時開催しますので、ぜひご参加願います。 詳しくは、各地区の公民館だより、まちづくり協議会の広報をご覧ください。