特集 新春インタビュー2007 〜この人に聞く〜   新しい年がスタートしました。二度の合併を経て市域も広がった東近江市には、いろいろな分野で活躍されている人たちがたくさんおられます。特集では、この人たちの活動を紹介するとともに、こうした活動がみなさんの新しい年に向けた『元気の素(もと)』になればと思います。 「でき映えだけでなく、製作の過程も見てほしい」   調理師  中寺吉宣(なかでらよしのぶ)さん(市原野町)  氷の彫刻と出会ったのは14年前。勤務していたホテルで、先輩の調理師が製作しているのを手伝っているうちに興味を持ち、料理人が参加する氷彫刻の講習会に参加したことがきっかけで本格的に始めました。始めたころの魚の作品を完成させたときの達成感が忘れられず、いろんな大会にも挑戦するようになりました。製作中は集中力を切らさないよう心がけているので、作品のでき映えだけでなく、製作の過程も見てもらいたいですね。これからもさらに腕を磨き、見てくれる人に喜んでもらえるような作品を作っていきたいです。 「『おいしかった』の声が励みに」   農業  国領幸栄(こくりょうゆきえ)さん(平柳町)  結婚してから農業一筋でがんばってきました。現在は野菜作りが中心で、市場や地元の直売所に出荷しています。出荷している野菜や加工品には、生産者名を記したラベルを貼っているので、お客さんの中にはその名前を見て買ってくれる人もいます。出会ったときには、「○○食べたよ。おいしかったわ」と言ってくれる人もいて、そういう言葉を聞くとつくづくやっていてよかったなと思い、もっとおいしい野菜を作ろうという励みになります。数年前からは野菜作りだけではなく、社交ダンスなどたくさんの趣味をもって楽しい生活を送っています。今後は、健康管理をしっかりとして、いつまでも野菜作りと趣味を続けていきたいです。 「夢は新体操のオリンピック選手」   聖徳中学校2年  西野杏香(にしのきょうか)さん(東沖野二丁目)  新体操を始めたのは、5歳のときに友だちが通う教室に参加したことがきっかけです。体を動かしたり、踊ったりするのが大好きで、次第に曲のリズムに乗って踊る楽しさを感じるようになりました。昨年は、中学校体育連盟の県大会と近畿大会で優勝し、全国大会に出場しました。全国大会では、会場からの大きな声援に勇気づけられ、これまでで最高の演技をすることができ、7位に入賞しました。12月には、韓国での合同合宿にも参加し、同世代の人たちの演技を見て基本の大切さを学んできました。新体操は、競技をするのはもちろん、演技を見るのも楽しいことをたくさんの人に知ってもらいたいです。今後は、新体操をいつまでも長く続けていきたいし、夢はオリンピック選手になることです。 「切り絵を遊びのひとつに」   切り絵作家  奥居 匡(おくいただし)さん(鯰江町)  学生時代に、友人との絵本の自費出版で2作目を検討中に切り絵と出会いました。切り絵には、ペンや鉛筆では表現できない線の勢いや力があり、自分の身近なことを題材にして作っています。もともと絵を描くことが好きだったので、その魅力にひかれ独学で始めました。画用紙1枚で人の表情や魚がいきいきと泳ぐ姿などさまざまなものが表現できて、カッター1本で手軽に始められるのも魅力のひとつです。作品は、スケッチや絵画にはない、ほのぼのとした雰囲気で楽しめるので、切り絵を遊びのひとつとしてたくさんの人に始めてもらえればうれしいですね。 「家族で力を合わせて牛づくり」   田井中牧場  田井中龍史(たいなかりゅうじ)さん(大中町)  数年前に、家族が役割と責任をもって意欲的に農業経営に取り組もうと「家族経営協定」を結び、両親とともに和牛の飼育をしています。作業は、父が繁殖を中心に、母と私と妻が肥育を中心に役割を分担してやっています。和牛は血統が重要ですが、その牛のもつ能力を最大限に引き出してあげるのは私たちの努力次第なので、牛にストレスを与えないような飼育環境に気をつけています。  今は購入して肥育している牛もいますが、将来は繁殖から肥育まで、すべて一貫した牛づくりをめざしています。肉質も霜降りのような見た目だけではなく、キメの細かさや脂の味にもこだわっていきたいです。 「角井(かくい)スイカの産地を復活させたい」   農業法人アクティブファーム百済寺代表  山本友彦(やまもとともひこ)さん(百済寺本町)  農業組合長をしていた4年前、昭和初期に撮られたスイカ栽培が盛んなころの角井村の写真を見つけ衝撃を受けました。「歴史ある“角井スイカ”の産地をもう一度復活させたい」と組合員に呼びかけ、地元生産者や手伝ってくださる仲間の協力を得て生産から直売の事業を行っています。過去の資料などを調べながら、少しでも当時のものに近づけようとスイカの大きさや販売する服装にもこだわっています。私たちは、スイカを売るだけではなく、スイカが伝える歴史を合わせて提供したいと考えています。スイカ作りはほとんどが手作業で、生産者の高齢化が進む中、これを途絶えさせないよう若い世代の後継者へ生産技術を伝承していきたいです。 「自分の好きなところに花を飾りたい」   フラワーデザイナー  市田椰良生(いちだやよい)さん(五個荘竜田町)  22歳の時、暮らしの中や身に付けて活かす花に魅せられてフラワーデザインの道を選びました。講師の資格を取るため東京を訪れた際、日本の美しい風景が紹介された中に五個荘金堂町の町並みがありました。「なんて美しい所だろう」と故郷の良さ、大切さを再発見しました。五個荘地区で開催の「ぶらりまちかど美術館・博物館」で展示を依頼されたときも、好きなところに花を飾りたいと思い、町並みに流れる川を選びました。催しでの展示は12年が経ちますが、みなさんにも地域の良さを見つけてもらいたいという思いを込めて続けています。教室で花のすばらしさを伝えるとともに、現在は自分の勉強と楽しみの場である展覧会の出品に向けて、がんばっています。 「貴重な町の財産を有効利用」   ガリ版芸術村設立準備室事務局  岡田文伸(おかだふみのぶ)さん(蒲生岡本町)  4年前、地域の課題を掘り起こし解決していく『わがまち夢プラン事業』に参加したのがきっかけで、自治会住民が総出で手作りの事業をしています。当町では、生活改善やごみの堆肥化など課題に合わせて4つの委員会をつくりました。そのひとつが『ガリ版芸術村構想』です。当町にはガリ版を発明した堀井新治郎父子の生家(現ガリ版伝承館)があり、長い年月で荒廃していたこの建物の修復や周辺の整備に取りかかりました。今後は、この貴重なまちの財産を有効活用することで、ガリ版だけでなく芸術全般を紹介したり、芸術家を迎えて創作活動をしてもらうことで情報発信できるような拠点になればと考えています。