特集:『子ども』『安全・安心』を重点テーマに 平成19年度予算  市の平成19年度予算が決まりました。一般会計は450億8000万円で、特別会計・企業会計を合わせた総額は862億1586万円。平成18年度の当初予算額と比べると、一般会計は4・4%の増、総額では2・2%の増となります。  今年度は、合併特例債を活用して将来のまちづくりに備える基金を新設し、30億円を積み立てます。基金の積立額を差し引くと一般会計が2・6%の減、総額では1・4%の減となる緊縮型。その中でも「子ども」「安全・安心」をテーマとした施策を中心に重点配分をしています。  今回は、その予算の概要と使い道をご紹介します。 ■一般会計予算450億8,000万円の内訳 ≪円グラフ=歳入≫ ○自主財源(47.4%) 市税 168億2,110万円(37.3%)  個人市民税(11.7%)、法人市民税(5.2%)、固定資産税(17.8%)、諸税(2.6%) 繰入金 17億636万円(3.8%) 繰越金・諸収入 16億3,294万円(3.6%) 使用料、手数料など 11億8,743万円(2.7%) ○依存財源(52.6%) 地方交付税=83億円(18.4%) 市債 78億1,080万円(17.3%) 国庫支出金 28億8,498万円(6.4%) 県支出金 26億6,649万円(5.9%) 地方譲与税など 20億6,990万円(4.6%) ≪円グラフ=歳出≫ 民生費 109億7,850万円(24.3%) 教育費 67億496万円(14.9%) 総務費 55億74万円(12.2%) 公債費 50億3,725万円(11.2%) 土木費 48億5,998万円(10.8%) 衛生費 33億7,681万円(7.5%) 農林水産業費 30億6,874万円(6.8%) 諸支出金 30億6,297万円(6.8%) 消防費 15億3,977万円(3.4%) 商工費 4億2,242万円(0.9%) 議会費 3億807万円(0.7%) 労働費 1億8,979万円(0.4%) 予備費 3,000万円(0.1%) ■平成18年度当初予算額との比較 平成19年度総額=862億1,586万円(+2.2%)、一般会計=450億8,000万円(+4.4%)(※基金30億円含む)、特別会計(9会計)=330億9,340万円(−1.5%)、企業会計(2会計)=80億4,246万円(+5.6%) 平成18年度総額=843億9,127万円、一般会計=431億9,500万円、特別会計(9会計)=335億8,280万円、企業会計(2会計)=76億1,347万円 ■一般会計予算を市民一人当たりにすると 380,261円 民生費(児童・高齢者・障害者福祉の充実に)92,606円 教育費(学校・社会教育や施設整備に)56,558円 総務費(市民活動や防犯・交通対策に)46,400円 公債費(借入金の返済に)42,491円 土木費(道路や河川、公園の整備に)40,995円 衛生費(健診やごみ処理に)28,484円 農林水産業費(農業や林業、水産業の振興に)25,886円 消防費(消防や救急活動に)12,988円 商工費(商工業や観光の振興に)3,563円 そのほか(議会費や労働費など)30,290円 ■一般会計 ○歳入  歳入の柱となる市税収入は、三位一体の改革(国からの補助金・交付金の削減、国から地方への税源移譲とあわせて地方交付税の見直しを進めるもの)による国から市への税源移譲や定率減税の廃止により10・5%増の168億2110万円となりました。  しかし、税源移譲による所得譲与税の廃止や地方交付税の削減などにより、厳しい財政状況が見込まれます。そのため、歳入不足を基金の取り崩し(積立金を使うこと)や合併特例債などの有利な市債(市の借入金)により確保しました。 ○歳出  「子ども(少子化対策)」と「安全・安心」の二つを重点テーマとして、各種事業に取り組みます。  幼稚園・保育園一体施設の整備や妊婦一般健康診査の助成拡大、就学前乳幼児の医療費無料化を実施します。ファミリーサポートセンターでの育児支援や不審者情報のメール配信の開始、障害者福祉サービスの利用者負担軽減にも取り組みます。  地域の歴史文化を生かした事業をはじめ、地域ぐるみで農村環境を守る活動への支援、蒲生・湖東三山の両スマートインターチェンジ開設をめざした取り組みや道路整備の促進、防災拠点機能を備えた布引運動公園の整備など、将来に向けてしっかりとしたまちづくりの基礎が築けるよう事業を進めます。  目的別の内訳はグラフのとおりですが、性質別にみると次のような特徴があります。人件費は職員数の減少により前年度比4・2%減の83億6558万円。市民生活にかかわりの深い扶助費は、制度改正による児童手当の増加や、「子ども」「安全・安心」の重点事業で1・9%増の39億9123万円となります。市の借入金を返済する公債費は、合併前後に借り入れた市債の支払いが始まることにより11・1%増の50億3725万円。公共施設の建設や用地取得などに必要な普通建設事業費は、ケーブルネットワーク事業が完了前であることから14・0%減の68億3261万円となります。 ■特別会計・企業会計  特別会計と企業会計の総額は前年度比0・1%減の411億3586万円。医療費給付や保健事業に取り組む国民健康保険(事業勘定)特別会計は、国保の健全運営や県内の保険料統一に向けた取り組みへの拠出金、医療費増加などにより10・8%の増となります。介護保険特別会計は1・3%の減ですが、介護予防事業や介護予防活動をお手伝いいただく市民サポーターの養成に取り組みます。  東近江市として三年目の予算。合併も一段落し、既存事業を徹底的に見直し最小の経費で最大の効果が得られるよう努めています。引き続き厳しい財政状況ですが、総合計画に沿った「うるおいとにぎわいのまち東近江市」の実現をめざし、市民生活に直接かかわる事業を中心に予算を大切に使っていきます。 ■一般会計予算の使い道 ★重点テーマ@ 『子ども』将来を担う世代を育てよう ◇妊婦一般健康診査の助成拡大 1700万円  出産までの健診費用の負担を軽減します。助成回数をこれまでの2回から5回に、また第三子以降は2回から14回に拡大します。 ◇就学前乳幼児の医療費無料化 1940万円  出生から小学校入学前までの医療費(通院と入院)を、10月1日の診療分から無料にします。 ◇ファミリーサポートセンターの設置 500万円  幼稚園・保育園への送迎や自宅での一時的な保育などの支援が必要な人に、子育てのお手伝いができる人を紹介することで、育児支援に取り組みます。 ◇幼稚園・保育園一体施設の整備 5億1377万円  老朽化した聖徳保育園を既存の沖野幼稚園の隣に建設します。幼保一体施設を整備し、子育て支援の充実を図ります。 (写真)=老朽化した聖徳保育園(写真左)を整備し、沖野幼稚園(同上)に併設します。 ★重点テーマA 『安全・安心』住みよい地域をつくろう ◇障害者サービスの利用負担軽減 1408万円  通所施設利用料の自己負担額の全額免除をはじめ、補装具や外出支援などの自己負担額を軽減し、サービスを安心して利用できるよう取り組みます。 ◇布引運動公園の整備  12億円  災害用物資の備蓄や臨時へリポートなど、災害時に救助活動の拠点ともなる機能を備えた公園として整備し、平成22年の完成をめざします。 ◇登録手話通訳者の派遣 52万円  これまでの市の専任通訳者や県への委託による通訳者の派遣に加え、市の登録通訳者の派遣を始めます。資格がある市民に登録してもらうことで、身近な人による手話通訳が利用できるなどサービス充実を図ります。 ◇ハザードマップ作成、避難場所看板の設置   2000万円  地震や洪水で想定される震度や浸水区域、避難ルートや避難場所をまとめた地図を作成し、配布します。また、避難場所への看板設置を進めます。 ◇緊急情報通信システムの導入 161万円  学校や市の機関に連絡のあった不審者などの情報を、事前に登録された保護者の携帯電話にメール送信し、子どもたちの安全確保を図ります。 (完成予定図)=陸上競技場や野球、サッカーなどに利用できるグラウンドを整えた布引運動公園の完成予定図 ★市民の生活を支える事業 ケーブルテレビ広報番組の制作・放映 5500万円  市全域に行政や地域の情報を発信します。市からのお知らせや事業の紹介、市議会・イベント中継などを放映します。 (写真)=昨年12月に開局した「東近江スマイルネット」では毎日、新鮮な話題を放送中 教育環境の整備 9億3700万円  八日市南小学校の分離・新設、湖東第一小学校体育館の耐震補強、玉園中学校プールの整備、能登川第一幼稚園園舎の増築などに取り組みます。 蒲生図書館の設計 500万円  蒲生地域での図書館整備に向けて取り組みます。 温泉の活用事業  500万円  永源寺高野町でゆう出した源泉を利用し、温泉施設の整備を進めます。民間の経営手法を活用し、民設民営で平成20年度中の開業をめざします。 食育と地産地消の推進 463万円  直売所の利用促進や学校・地域での農業体験をはじめ、地元農産物を使った給食を各校に広げます。 発見!伊庭(いば)のうみ事業 50万円  県内の内湖で2番目に大きな伊庭内湖の魅力を探ります。子どもたちのエリ漁体験や湖上観察をはじめ、市民とともに水環境の保全や内湖の魅力をPRする方法を考えます。 (写真)=児童が漁船に乗り、伊庭内湖でのエリ漁を体験 蒲生・湖東三山両スマートインターチェンジ開設への取り組み 191万円  地域活性化や渋滞緩和、救急活動の迅速化を図るため、名神高速道路の彦根・竜王間に、蒲生および湖東三山スマートインターチェンジ(ETC専用)の開設に向けて取り組みます。 コミュニティバスの運行 1億5010万円  公共交通のない地域の解消や路線・運賃の見直し、予約制の乗り合いタクシーの導入により、便利で快適な「ちょこっとバス」を運行します。 獣害のない元気な里づくり事業 265万円  農地と山林の境界地で牛を放牧し、サルやイノシシ、シカなどによる農作物被害を防ぐなど地域の取り組みを支援します。 介護予防・生きがい活動支援 640万円  運動機能の低下を防ぐ「パタカラ元気教室」の開催など介護予防に取り組み、地域での生きがいづくりを支援します。 (写真)=住み慣れた地域で元気に過ごせるよう介護予防に取り組みます。 ★心豊かな文化都市をめざして 歴史の道事業 100万円  市原野町から三重県まで続く歴史の道「千草街道」に親しんでもらえるよう案内板の設置や危険箇所の補修をはじめ、千草街道を歩く催しや講演会を開催します。 (写真)=現在は鈴鹿の名峰・雨乞岳への登山道として親しまれる千草街道 東近江市百科の発刊 230万円  全国に誇れる神社仏閣や史跡、景観、伝統行事や伝統工芸などをまとめたガイドブックを作成します。 市民活動の支援 140万円  市民活動団体の自主的な取り組みを対象に補助金制度を創設し、団体の立ち上げや活動を支援します。 ■お問い合わせ先=財政課 電話0748−24−5602