特集:男女共同参画『広げよう参画の輪』 写真=河辺いきものの森(建部北町)で竹工作を楽しむ、園町の廣田さん家族(左から英綺(ひでき)さん・重和(しげかず)さん・和紗(かずさ)さん・みゆきさん・美樹(みき)さん) ★あなたはどう思う「男は仕事、女は家事・育児」  市民を対象にしたアンケート(グラフ1)では、「男は仕事、女は家事・育児」という考え方に女性では約4割、男性では約6割の賛成がみられ、性別による役割意識があることがわかります。家庭でも食事や掃除、洗濯などの家事のほとんどを女性が担っているのが現状です。しかし、共働きの増加などライフスタイル(生活習慣)は変化しています。そうした中で、意識が変わらないことは女性に大きな負担をかけるだけでなく、男性に仕事中心の生活を強いることにもなります。 (グラフ1)『男は仕事、女は家事・育児という考え方に賛成ですか、反対ですか』 女性:賛成37.9%  反対45.8%  そのほか16.3% 男性:賛成58.2%  反対30.4%  そのほか11.4% ★少子化と男女共同参画の深い関係    男女共同参画と深く関係するのが少子化です。本市でも年間の出生数が平成11年の1296人から平成17年には1140人と減少しています(数値は合併前の合計)。少子化の原因のひとつに、子育てと仕事の両立が難しいことがあげられます。そのため、「働きながら産み育てる」「子どもが大きくなったら働く」などの選択がしやすい環境を整えていくことが必要です。今後、経済や産業、地域の活力を維持していくためにも男女がともに社会の支え手となることが期待されます。こうした中、市では男女がともに支えあう社会の実現をめざし、男女共同参画推進計画を策定しました。この計画では「学ぶ・支える・育む」をキーワードにして、取り組みを進めます。 ■ともに学びあう 写真=男性の生活力アップを図る「男の寄り道講座」でサバの三枚おろしに挑戦 写真説明:1.男の寄り道講座での講演。テーマは「主夫からの提案! 男の家事が変える家庭」      2.能登川公民館の男性料理教室でイタリア料理に挑戦      3.男女共同参画について考える市民参加の「男女共生フォーラム」 ○男女で違うマラソンの歴史  「女性のマラソンランナーや大臣に就く女性、台所に立つ男性」。数十年前までは思いもよらなかったり、イメージしにくかったのではないでしょうか。当然と思われがちな男女の役割分担や慣習も、その時代の社会や文化により築かれたもので絶対ということではありません。  例えば、女性の体力では無理だと考えられてきた女子マラソンがオリンピックの正式種目となったのは、第一回のアテネ大会から約90年後のロサンゼルス大会(1984年)。今では、日本の選手も活躍し、人気種目のひとつです。  「男だから」「女だから」という決めつけは、お互いの活動の幅を狭め、個性や能力を発揮する機会をさまたげてしまいます。市では、そのことにみなさんが気づき、意識を高めてもらえるよう学習の場をつくります。 ○仕事帰りにちょっと寄り道  今年2月と3月、仕事中心になりがちな男性に生活力のアップを図ってもらおうと、「食」をテーマにした講演会や料理などで学ぶ「男の寄り道講座」を開催しました。20〜70歳代の男性40人が参加し、掃除や洗濯など家事のコツを学んだり、サバの三枚おろしなどに挑戦しました。  仕事帰りに参加したという蒲生岡本町の岡憲夫さんは、「料理を家での楽しみのひとつにしようと参加しました。これまで全く料理をしたことがありませんが、この講座をきっかけに家族にも作ってみようと思います」との感想。  いきいきとした表情で料理をする人や初めて出会う人たちとの会話を楽しむ人も多く、参画への意識づくりだけでなく、参加者同士の交流を深めることもできました。  今後も市ではみなさんの学習の機会をつくることで、男女が協力しあう意識づくりを進めます。 ★参加者募集『日本女性会議2007ひろしま』  男女共同参画社会の実現をめざし、1984年から毎年開催されています。市では参加者に費用の一部を助成します。詳しくはお問い合わせください。 ■期日=10月19日(金)・20日(土) ■場所=広島国際会議場ほか(広島市)  ※助成予定人数:8人(多数の場合は選考) ■申込期限=7月10日(火) ■お問い合わせ 男女共同参画課 電話0748-24-5624 ■ともに支えあう 写真=「じゃがいもの会(五個荘地区)」の介護の体験談や意見を参考に健康推進員が製作した紙芝居を見学する同会のみなさん (グラフ2)『だれに介護してもらいたいですか』 女性:配偶者(夫)36.7%  娘26.1%  息子2.9%  息子の妻10.2%  ヘルパー14.7%  そのほか9.4% 男性:配偶者(夫)79.7%  娘4.7%  息子1.4%  ヘルパー9.0%  そのほか5.2% ○まだまだ少ない女性の参画  市の組織や企業、団体、自治会などで意思決定の場に男女がともに参画する機会は増えていますが、女性の割合はまだまだ低いのが現状です。これからはともに意見を出しあって計画し、活動していく。その中で支えあうことが大切です。  例えば、これまで男性の役割とされることが多かった防災組織。本市では市消防団の女性分団結成をはじめ、地域で女性の消防組織ができるなど、女性も協力しながら自分たちの地域を守っていこうという取り組みが進んでいます。また、これまで介護や子育ては女性が中心となってきました。介護についての市民アンケート(グラフ2)でも、介護者に女性を望む声が多いことがわかります。  一方で、市内では介護者が交流する場に男性も参加し、協力して家庭や地域全体で支えあう取り組みも進んでいます。 ○「じゃがいもの会」で仲間づくり  五個荘地区には介護をしている人や経験した人が集まり、介護の学習や情報交換などをする「じゃがいもの会」があります。いろいろな形や大きさがある「じゃがいも」のように男女や世代に関係なく、介護をきっかけに支えあえる仲間づくりをしようと名前がつきました。  妻の介護がきっかけで参加された五個荘竜田町の猪田雄三さんは「妻の介護はできるだけ自分がやりたいと思いましたが、最初はどうしてよいのかわからずとまどいました。そんなとき、メンバーから聞く介護の話やアドバイスがとても役に立ちました。ほかにも、施設見学をしたり、メンバーに教えてもらいながら絵手紙を作ることもあり気分転換を図ることもできました。介護をしたくても、何から始めてよいのかわからない男性もいるはずです。そんな人たちには、このような場をきっかけにして介護を始めてほしいです」と話します。  市では今年度、「ファミリー・サポート・センター」(※)を開設し地域で子育てを支えあう事業に取り組みます。サービスを利用する時間を仕事や地域活動などに活用し、個々の活動の幅を広げてもらうこともできます。 写真・コメント=『人形劇や訓練で地域を守る』 東近江市消防団女性分団    メンバーは14人。子どもたちへの人形劇や住宅を回る防火診断で、防火への意識を高めてもらえるよう活動しています。防火診断では、台所での火災の特徴や消火方法など、自分たちが普段の生活で気づいたことをいかしながら説明しています。初期消火の訓練やポンプの使い方を学ぶなど技術も身につけています。 これからは応急手当に力を入れたり、将来は現場活動もできるよう訓練をしていきたいです。現在メンバーを募集しています。みなさんも私たちと一緒に大切な地域を守りませんか。 ★ともに育む 写真=カーネーションの生産に励む、百済寺本町の山本さん家族(左から妙子さん・清さん・善洋さん・志保さん・優子さん) ○バランスのとれた生活を  家庭では役割の多くを女性が担い(グラフ3)、その理由のひとつに「男性の仕事が忙しすぎる」ということがあります。 一方で、仕事から早く帰宅し勉強やボランティア活動をしたり、家族との時間を過ごすことで結果的に企業の生産性も上げる『ワーク・ライフ・バランス』という考え方があります。バランスのとれた生活を送ることで、男女が参画できる機会が増えるはずです。そのためには、家庭や地域、企業などが一体となり、男性が家事や育児をしやすい職場づくりや、地域活動の場に女性が参加しやすいきっかけづくりなど、ともに参画できる取り組みを広げることが大切です。 (グラフ3)『家庭で「主として女性」「どちらかといえば女性」が担う役割は何ですか』 食事の準備・後始末   92.2% 掃除・洗濯       89.0% 子どものしつけや教育  49.3% 近所や親せきの付き合い 27.1% 自治会や町内会の活動  15.1% 写真・コメント=『子育てから参画への第一歩を』 つつじ保育園・前保護者会役員 木下克利(きのしたかつとし)さん(妙法寺町)  子育てをしたくても女性が多い場に参加しにくかったり、どうしてよいのかわからない男性も多いはず。そんな人に子育てへのきっかけにしてもらえればと、園では父親や祖父がウォークラリーやドングリ拾いなどを子どもと楽しむ催しに10年以上前から取り組んできました。人はそれぞれ仕事や家庭の役割、生活習慣が違います。その中で、男性も女性もできるところから協力することが大切です。催しには今後、男性だけでなく女性も参加していただきます。子育てが男女の参画への第一歩になればいいですね。 ○農業も家事も家族で協力  市内では、農業で男女ともに生産や経営に参画し、技術や能力の向上を図る人がいます。百済寺本町の山本さん家族です。 その家族の妙子さんは「1月に家族で仕事や家事について協定を結び各自の役割を決めました。仕事では、水稲や野菜は夫と息子が、花や加工業は私と息子の妻(優子さん)が担当です。報酬や就業時間も決まっています。家事では夫や息子が風呂掃除や子育てなどに協力してくれるようになりました。各自の役割はありますが、得意なことやできることは協力しあっています。もちろん、責任を持つことも大切。性別で分けるのではなく、できる範囲のことをすることで家族が協力的になりました」と話します。完成したばかりの加工場では、優子さんと米を使ったロールケーキやういろなどを生産し、あいとうマーガレットステーションに出荷されています。 ★「女性も」「男性も」新しい第一歩を踏み出そう    本市では、「学ぶ・支える・育む」の3つをキーワードに、男女共同参画社会の実現をめざします。だれもがいきいきと輝けるように「女性も」「男性も」と、新しい第一歩を踏み出しましょう。あなたもできることから始めてみませんか。 ■お問い合わせ先 男女共同参画課 電話0748−24−5624