特集:『地球温暖化対策』  動き出そう「地球」のために ◇今、最大の環境問題といわれるのが地球温暖化。気温の上昇だけでなく、私たちの生活などあらゆるところに影響が出始めています。地球を守るため、市では、「地球温暖化対策」への取り組みを進めています。6月は環境月間。今回は、みなさんと地球温暖化について考えます。 ◇止まらない地球温暖化 <写真>『菜の花エコプロジェクトを広めようと催された「鯉のぼりと菜の花まつり」(柴原南町)』    地球は、二酸化炭素(CO2)などの「温室効果ガス」と呼ばれる気体を含む大気に包まれています。この温室効果ガスが、地球の表面から出る熱を吸収して大気を暖めているため、地球の平均気温は約15度に保たれてきました。温室効果ガスの中で約6割を占めるのが、CO2です。  CO2は私たちの呼吸をはじめ、自動車やテレビ、エアコンなど生活のあらゆるところで排出されます。産業が発達したり、生活が便利になるとともに、資源やエネルギーの消費が増え、温室効果ガスも急激に増えてきました。  それにより、大気に吸収される熱が増え、地球の気温が上昇しています。これが、『地球温暖化』(以下温暖化)です。 <図> 地球温暖化のイメージ 通常は平均気温が15℃であれば、地球に届く太陽光と宇宙に放出される熱のバランスが保たれ、適切な気温になる。    ↓ 温室効果ガスが増えると    ↓ 温暖化になると地球の熱が宇宙に放出されにくくなり、気温が上昇する。 ◇懸念される温暖化の影響  では、温暖化が進行すると、私たちにどのような影響があるのでしょうか。地球の平均気温は、ここ100年間で約0・6度上昇しました。しかし、このまま温暖化が進むと、100年後には最大で6・4度上昇するとの予測もあります。  気温が上昇すると氷が解け、海面上昇による洪水被害、大型台風、集中豪雨、干ばつなどの自然災害の発生をはじめ、自然環境の変化による動植物の絶滅や農作物への影響も懸念されます。 ◇世界で進む温暖化対策  このように私たちの生活に大きな影響をおよぼす温暖化。この温暖化への対策が進んでいます。世界レベルでは、1997年に京都で国際会議が開かれ、温暖化の大きな原因である「温室効果ガス」の排出量について各国の削減目標を定めた『京都議定書』が採択されました。日本は、2008年からの5年間に、1990年と比較して、6%の削減を目標にしています。  また、今年7月には北海道の洞爺湖(とうやこ)でサミット(主要国首脳会議)が開催され、地球温暖化対策を主要なテーマとして議論されます。 ◇進んできた市内の取り組み  本市でも、地球温暖化対策を今年度の重点テーマのひとつとして対策を進めています。大きな柱となるのが、以前からの市町や各地域、団体による取り組みです。  そのひとつが、本市が全国に先駆けて推進してきた「菜の花エコプロジェクト」。これは、栽培した菜の花から菜種油をとり、食用油として使用した廃食油からバイオディーゼル燃料(BDF)を精製します。それを軽油代替燃料として活用するもので、地域資源を有効利用する資源循環型の取り組みです。市内では、廃食油の回収を地域やガソリンスタンドで実施するとともに、子どもたちが回収を呼びかけるなど広がりをみせています。また、精製されたBDFの利用は、コミュニティバスや市の公用車、農機具をはじめ、市内の催しなどにも拡大しています。  また、本市は、昭和48年に全国で第1号の「自転車都市宣言」をしたまちでもあります。これは、日常生活の身近な交通機関として、自動車よりも自転車を優先する個性あるまちづくりを進めようと始まったものです。近年、温暖化が叫ばれ、自転車の利用が注目される中、ノーマイカーデーに取り組む企業もあるなど、自転車で温暖化対策という意識も高まってきています。  市では、平成18年から3年間、県と企業とで「木質バイオマスガス化発電システム」の実用化に向けた共同研究も進めています。これは、製材廃材などを利用して環境に優しい電気を起こす装置で、実用化されれば廃棄物として処分されていた資源の有効利用や新エネルギーへの転換など、エネルギー自給型地域社会の実現が期待されます。  そして、鈴鹿の山々や河川、伊庭内湖(いばないこ)など市内に広がる豊かな自然をいかした取り組みも本市の特徴です。市民による里山やヨシ原などの保全活動が盛んであり、身近な自然の保全や再生が進められるとともに、多種多様な生物の住みかとなる環境が守られています。 <写真> 1 市原小学校児童による廃食油回収箱の製作 2 夏の風物詩「コトナリエ サマーフェスタ」では25万個の電球すべてBDF発電で点灯 させます。 3 BDFで走る、ちょこっとバス 4 木質バイオマスの研究施設(なまずえ町) 5 間伐竹での落葉入れ作り(河辺いきものの森) 6 ボランティアによる伊庭内湖(いばないこ)でのヨシ原の保全活動 ***省エネで始めようCO2削減***  私たちに最も身近な温暖化対策が『省エネ』です。日常生活の少しの工夫でCO2削減につながります。みなさんも省エネから温暖化防止に取り組みましょう。 ※数値は、年間のCO2削減量の目安です ・冷房を1℃高く、暖房を1℃低く設定→約33kg ・週2日、往復8qの車の運転をやめる→約184kg ・1日5分のアイドリングストップ→約39kg ・暖房と照明の利用を2割減らす→約238kg ・シャワーを1日1分減らす(3人世帯)→約69kg ・1日1時間のテレビの使用を減らす→約14kg ◇全国へ発信、ストップ温暖化  市では、これらの取り組みの一層の推進を図りながら、市総合計画の柱のひとつ「人と環境にやさしいまちづくり」を基本に、市内全域に、そして全国へ「ストップ、地球温暖化」を発信していきます。  「地球温暖化を知る」だけでなく、「地球温暖化を防ぐために行動する」をテーマに、市民のみなさんや企業との協働により、今年度、新たに下記の事業を中心に進めていきます。 ***東近江市から全国へ ストップ地球温暖化*** ◎地球を冷ます「ふうふう宣言」  小学生を対象に、公募で「ひがしおうみ地球さまし隊」を結成し、地球温暖化について学んだり、自分たちに何ができるのかを考えるきっかけにしてもらいます。メンバーが、市民へのメッセージを発信し、CO2削減への活動も開始します。 ◎エコ交通によるCO2削減  コミュニティバス「ちょこっとバス」や自転車の利用を促進し、CO2削減を図ります。ほかにも、バスの燃料にBDFを利用したり、バス停ベンチに間伐材(かんばつざい)を使用するなどCO2削減を進めます。 ◎市民共同発電所の普及  公共施設の屋根や屋上に、市民の出資による太陽光発電パネルを取り付けるなど、クリーンなエネルギーをつくり出す仕組みについて、企業や団体、市民のみなさんと一緒に考え、推進します。<写真>市民出資の太陽光発電パネル(八日市やさい村) ◎まるごとバイオマスタウン  バイオマスとは、原料や燃料として利用できる生物由来の有機性資源で、木材や水草などが該当します。石油、石炭、天然ガスには使用限度がありますが、バイオマスは生物資源であることから、上手に活用すれば半永久的な資源となり、新しいエネルギーとして注目されています。「菜の花エコプロジェクト」、「木質バイオマス」などの連携や市全域への拡大を図り、市全体をバイオマスタウンとして考え、取り組みを進めます。 ◎環境共生の森づくり  本市の豊かな森林をいかし、CO2削減を図ります。森林は若い木が多いほど、多くのCO2を吸収することから、林業活動を継続することで、森林を育てます。永源寺地区の市営林を活用し、市民や事業者のみなさんと一緒に森林づくりを進めるとともに、木材の有効利用にも取り組みます。 ◎市役所環境マネジメントシステム  6月から地球温暖化対策のための市役所独自の環境マネジメントシステム「えこ・すまいる」を開始します。  平成24年までの今後5年間で市関係機関でのCO2排出量の15%削減を目標に、職員が率先して省エネルギー、CO2削減を推進します。 ◇地球のためにできること  待ったなしの、地球温暖化対策。とても大きなテーマで何から取り組んでよいのかわからない、という人もいるのではないでしょうか。しかし、私たち一人ひとりが行動しないと解決しない問題でもあります。美しい地球を将来に引き継いでいくためにも、この機会に、自分に何ができるのかを考えてみましょう。「今からできる」「私ができる」「身近でできる」、そんなみなさんの取り組みが、きっと地球を元気にするはずです。 問い合わせ=生活環境課 電話=0748−24−5633 IP電話=050−5801−5633