○東近江市こども条例
平成19年12月21日
条例第44号
こどもは、家族や地域の愛情に包まれて育ち、社会の一員として次代を担う大切な存在であり、東近江市に生まれ育つすべてのこどもが、いきいきと夢を持ち、幸福で健全に育つことは、私たち市民の願いである。
こどもを取り巻く環境は、少子高齢化や核家族化、共働きやひとり親家族の増加など大きく変化し、児童虐待をはじめ、いじめや引きこもり、不登校などこどもの権利をゆるがす深刻な状況が生じている。
私たち東近江市民は、こどもの人権が尊重され、安全で安心して育つことができる環境づくりに取り組み、未来にはばたく東近江市のすべてのこどもが個性を活かし心豊かに育ち、社会全体で守り育て支援される「地域に子育ての輪が広がるまち」を築くため、この条例を制定する。
(趣旨)
第1条 この条例は、こどもが健やかに育つ環境づくり及びこどもを社会全体で守り育て支援する基盤づくりの実現に向けた基本方針を定め、市、保護者、地域住民、学校等及び企業等の責務を明らかにし、これらが協働して子育てに関する施策を総合的かつ継続的に推進するための基本となる事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この条例において「こども」とは、18歳未満の者をいう。
2 この条例において「学校等」とは、学校、幼稚園、保育所その他これらに類する教育又は保育の場をいう。
3 この条例において「企業等」とは、法人及び事業を営む個人をいう。
(基本方針)
第3条 こどもの幸福が第一に考えられ、こどもの権利が最大限に守られるまちづくりを推進する。
2 子育ての意義について理解を深め、ゆとりある子育ての環境を整え、子育ての喜びが実感できるまちづくりを推進する。
3 地域の社会資源を有効に活用し、市、保護者、地域住民、学校等及び企業等が役割を担いつつ協働して子育てに取り組むまちづくりを推進する。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本方針にのっとり、こどもに関する基本的かつ総合的な施策を実施しなければならない。
2 市は、こどもが社会の一員であることを自覚できるよう、こどもの社会参加の機会の拡大に配慮しなければならない。
3 市は、こどもの意見及び立場を考慮しつつ、こどもの個性を伸ばし、人間性を豊かにする活動の機会の拡大に配慮しなければならない。
4 市は、広大で美しい自然並びに豊かな歴史及び文化を活かし、こどもが先人に学び、地域に誇りを感じる場を提供しなければならない。
5 市は、こどもが安全で安心して生活できる環境の整備に努めなければならない。
6 市は、保護者、地域住民、学校等及び企業等と連携し、推進体制を整備するとともに、その充実に努めなければならない。
(保護者の責務)
第5条 保護者は、愛情と責任を持ってこどもを養育する義務があることを認識し、社会の一員としての自覚を持ったこどもを育てるため、市、地域住民、学校等及び企業等と連携し、こどもに基本的な生活習慣及び社会のきまりを守る意識を身に付けさせるよう努めなければならない。
(地域住民の責務)
第6条 地域住民は、日常のふれあいを通じて、こどもが豊かな人間関係を身に付け、社会の一員としての自覚を形成できるよう、社会参加の経験を積む場を提供するとともに、安全で安心な環境づくりに努めなければならない。
(学校等の責務)
第7条 学校等は、市、保護者、地域住民及び企業等と連携し、こどもの心身の発達を助長し、こどもが自ら学び主体的に考える力等を身に付けられるよう努めるとともに、保護者に対する子育てに関する相談及び支援に努めなければならない。
(企業等の責務)
第8条 企業等は、こどもが健やかに育つ環境づくりにおいて大切な役割を担っていることを認識し、その雇用する者がこどもとのかかわりを深めることができるよう配慮するとともに、市、保護者、地域住民及び学校等と連携し、こどもの育成に関する活動を支援し、協力するよう努めなければならない。
(行動計画の策定)
第9条 市は、こどもに関する施策を推進するため、子育て支援施策を定める行動計画を策定するものとする。
2 市は、前項の行動計画の策定に当たって、市民の意見を十分に反映させるよう努めなければならない。
(虐待、いじめ等の防止)
第10条 市、保護者、地域住民、学校等及び企業等並びに関係機関は、互いに連携し、こどもに対する虐待、いじめ等の予防、早期発見及び保護に努めなければならない。
(教育・啓発活動の充実)
第11条 市、保護者、地域住民、学校等及び企業等は、互いに連携し、こどもの人権が尊重され、安全で安心して育つことができる環境づくりの大切さについて、教育・啓発活動の充実に努めなければならない。
(委任)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。