○東近江市議会基本条例

平成20年9月24日

条例第44号

地方分権一括法が施行され、地方自治体は自らの責任において、その事務を自ら決定することとなり、これに対し、議会の権限も強化されるなど議会の担う役割や責任も大きくなった。

このような中にあって、東近江市議会は、住民が自治体の長及び議員を直接選挙するという二元代表制のもと、市長と緊張ある関係を保ち、独立・対等の立場において自治体の事務執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案及び政策提言を積極的に行っていかなければならない。

ここに、議会は、日本国憲法及び地方自治法を遵守して、議会の基本理念及び活動原則等を定めるとともに、議会と市長等及び市民との関係を明らかにして、市民の負託に全力でこたえていくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、東近江市議会(以下「議会」という。)及び議員の活動原則等を定め、議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、市民の負託に的確にこたえ、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に在住し、在勤し、又は在学する個人及び市内で活動する法人その他の団体をいう。

(2) 市長等 市長及び執行機関をいう。

(基本理念)

第3条 議会は、地方分権時代を先導する議会を目指し、地方自治の本旨の観点から、自らの責任と権限による地方自治の実現に取り組むものとする。

(議会の活動原則)

第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。

(1) 適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。

(2) 公正性、透明性及び信頼性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(3) 市民の多様な意見を的確に把握して、政策提言、政策立案等の強化に努めること。

(4) 市民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。

(5) 市民の傍聴の意欲を高める議会運営を行うこと。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、市民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

(会派)

第6条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、政策提言、政策立案、政策決定等に関し、必要に応じ会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

(市民参加及び市民との連携)

第7条 議会は、市民に対し積極的に議会活動に関する情報を発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則として公開する。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条の2の規定による専門的知見を活用し、会議、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)にあっては、同法第109条及び第115条の2の規定による参考人制度及び公聴会制度を十分活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、市民との意見交換の場を設けるよう努め、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

(議会と市長等との関係)

第8条 議会審議における議員と市長等との関係は、常に透明性の確保及び緊張関係の保持に努めなければならない。

2 本会議における議員と市長等の質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。

(議会審査における情報の明示)

第9条 議会は、市長が提案する重要政策並びに予算及び決算について、議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、市長に対し、必要な情報を明らかにするよう求めるものとする。

(議会の合意形成)

第10条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、本会議及び委員会において議員、委員会及び市長提出議案並びに市民提案に関して審議し、結論を出す場合は、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。

(委員会の活動)

第11条 委員会は、議会における政策立案及び提案を積極的に行うものとする。

2 委員長は、委員会の秩序保持に努め、質疑に対しては責任をもって答弁しなければならない。

(政務活動費の執行及び公表)

第12条 会派又は議員は、政策立案及び提案を行うための調査研究その他の活動に資するために交付される政務活動費の執行に当たっては、東近江市議会政務活動費の交付に関する条例(平成17年東近江市条例第6号)を遵守しなければならない。

2 政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、東近江市議会政務活動費の交付に関する条例第8条に規定する収支報告書を市民に公表しなければならない。

(議員研修の充実強化)

第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。

(議会事務局の体制整備)

第14条 議長は、議員の政策形成及び立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ合理的に行うため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。

(議会図書室の充実)

第15条 議会は、議会及び議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書の充実に努め、その有効活用を図るものとする。

(議会広報の充実)

第16条 議会は、議会活動を市民に周知し、市民の理解及び協力を得るとともに、開かれた議会を目指すため、議会だよりを定例会閉会後、速やかに発行するものとする。

2 議会は、ケーブルテレビの行政情報番組等、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、市民の負託にこたえるため、高い倫理観が課せられていることを自覚し、市民の代表として良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(議員定数)

第18条 議員定数の改正に当たっては、市民の意思、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。

2 議員の定数は、市の人口、面積、財政力及び事業課題並びに類似市の議員定数を比較検討し、決定するものとする。

3 議員定数に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(議員報酬)

第19条 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、議長が別に定める方法等により、市民の客観的な意見を参考にして、決定するものとする。

(他の条例との関係)

第20条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 議会は、不断にこの条例の目的が達成されているかどうかを、議会運営委員会において検討するものとする。

3 議会は、前項の規定による検討結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。

(平成25年条例第3号)

(施行期日)

1 この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書きに規定する日から施行する。

東近江市議会基本条例

平成20年9月24日 条例第44号

(平成25年3月1日施行)