【特集】 環境に人にやさしいエコキャップ運動の輪 ハンディ&エコキャップ支援事業  写真:昇降口にキャップ回収箱を設置している永源寺中学校  写真:あゆみ作業所からの感謝状を受け取る玉緒小学校環境委員  写真:あゆみ作業所での回収されたキャップの分別作業や粉砕作業(2枚)  「ペットボトルキャップの回収に協力しているけど、これって一体どのように役立っているのかな?」と思ったことはありませんか? 今回は「ハンディ&エコキャップ支援事業」を取り上げ、みなさんの協力がどんな実を結んでいるのか紹介します。 ●1.ハンディ&エコキャップ運動とは  市では環境に人にやさしいエコ活動の一環として、平成20年6月から「エコキャップ運動」や「プルトップ回収運動」を開始し、2年近くがたちました。  「エコキャップ運動」とは、可燃ゴミとして処理されていたペットボトルのキャップを回収し、資源リサイクルをすることにより、二酸化炭素を削減するとともに、キャップを粉砕、売却した収益金で途上国の子どもたちの命を救うためにワクチンを贈る運動です。横浜の女子高校生の発案で全国に広がっています。  「プルトップ回収運動」とは、缶飲料のプルトップが以前は缶本体から外れるように作られていたため、プルトップの散乱が環境や野鳥などへ影響を与え、問題となっていたことから、回収運動が全国に広がり、回収した収益金で車イスを贈るシステムとして定着したものです。しかし、缶飲料のプルトップの改善(分離できないタイプへの変更)により環境への影響が少なくなり、運動は下火になりましたが、最近は、スチール缶のプルトップを回収する運動として再び盛り上がりを見せています。(※1)  市障害福祉課では、これらエコキャップ運動などの支援に、ハンディキャップ(障がい)のある人たちの就労支援を組み合わせて、「ハンディ&エコキャップ支援事業」と命名し、支援活動をしています。この事業は、全国でも珍しい取り組みとして新聞やテレビでも紹介されました。  多くの人にこの運動に協力いただき、平成22年3月31日までの回収で、総回収量が11トン(約580万個)を超えました。  ボトルキャップ1000個(約2キログラム)で一人分のポリオワクチンを提供できます。これまでで、2800人分ものワクチンを提供でき、ゴミとして処分されていたボトルキャップやスチール缶飲料のプルトップから、多くの子どもたちの命を救えたことに感謝しています。市では、東近江市の人口と同じ12万人の提供を目標としています。 ポリオ…患者や感染者の便、汚染された飲食物などを通して、ポリオウイルスが口から体内に侵入し、発熱や頭痛、時に急性麻痺症状を起こす感染症です。 ※1 アルミ缶・スチール缶にかかわらず、プルトップの部分はアルミでできています。アルミ缶の場合は缶ごと回収してリサイクできますが、スチール缶のほうは無駄になってしまいます。そこで、スチール缶から引きちぎったプルトップ部分を回収しています。 ●2.一人ひとりのエコキャップ運動  4月16日現在で、151のグループ・企業・店舗・団体がハンディ&エコキャップ支援事業に参加されています。ここでは、その取り組み事例を紹介します。 ◆玉緒小学校では、環境委員会が中心となり、ペットボトルのキャップ回収に取り組まれています。校内の各学年ごとの計6か所に回収箱を設置し、全校児童一丸となってエコキャップ運動に協力されています。  1月20日には、集められたキャップ38キログラムをあゆみ作業所に寄付し、そのお礼に感謝状を贈られました。 ◆永源寺中学校では、ボランティア委員会が中心となって、年間通してボトルキャップを収集するなど活発に活動されています。昇降口にキャップの収集箱を設置し、毎月の収集状況を壁に張り出して全校生徒に成果の報告をされています。  平成21年12月21日には、地元の障害者支援施設たけのこ福祉作業所(和南町)に98キログラムのキャップを寄付されました。 写真2枚:集めたキャップをあゆみ作業所に渡す玉緒小学校の環境委員 写真2枚:集めたキャップをたけのこ福祉作業所に渡す永源寺中学校のボランティア委員 ●3.エコキャップ運動と福祉貢献  市内の9か所の障害者支援施設に通所する人たちが、キャップ回収や分別を行い、そのうちあゆみ作業所(平田町)とあかね(小脇町)では、粉砕作業もされています。今回は、あゆみ作業所での作業を紹介します。  ここでは、障がいのある人たちの社会参加の一環として、キャップ回収のために地域を回ったり、施設内でキャップの分別や粉砕をされています。  また、市内で回収されたキャップだけでなく、リサイクル企業と粉砕業務の契約を結び、そこから送られてくるキャップも処理することで、毎月安定した量の粉砕作業をされています。 ◆あゆみ作業所の作業風景  <1> キャップ回収ボックスは、市内の20か所の障害者支援施設などに設置しています。(写真あり)   ↓  <2> キャップを白色と色つきにわけたり、貼られているシールをはがしたりします。(写真あり)   ↓  <3> シールをはがし、白と色つきにわけられたキャップ。(写真あり)   ↓  <4> キャップのつまった袋を高速処理粉砕機まで運びます。(写真あり)   ↓  <5> 今年の1月にあゆみ作業所に設置された高速処理粉砕機。(写真あり)   ↓  <6> 流れやすいようにならしたり、キャップ以外のものを取り除いたりします。(写真あり)   ↓  <7> 粉砕されたキャップは粉砕機の下部に溜まっていきます。(写真あり)   ↓  <8> いっぱいになったら、粉砕されたキャップを取り出します。(写真あり)   ↓  <9> 別の入れ物に移します。(写真あり)   ↓  <10> 粉砕されたキャップはこのようになります。(写真あり) ◆谷道世副施設長(顔写真あり)  障がいのある仲間の仕事になることから、このような取り組みをさせてもらっています。障害者施設といえども、みなさんのお役に立ち、一緒になって住みよい社会を作っていきたいという思いは同じですので、エコを通じてそれが実現できればと思っています。エコキャップに賛同し、協力いただける人がどんどん増えることにより、私たちの思いも達成できると思っていますので、市民のみなさんおよび企業さんのご協力をよろしくお願いします。 ◆リサイクルできないキャップ、ビンのキャップ、プルトップ、ビー玉などが入っていることがあります。取り除く手間だけでなく、粉砕機の故障に繋がる可能性もありますので、ご協力いただく際はペットボトルキャップ以外のものは回収箱に入れないようにお願いします。(写真あり) ●4.資源リサイクル、福祉貢献、国際貢献の三方よし支援事業  ペットボトルのキャップの材質は、ポリプロピレンでできており、回収すれば再生プラスチックとして再処理が可能です。粉砕されたボトルキャップは、市外のリサイクル企業に1キログラムあたり35円(※2)で売却され、そのうち25円を障がいのある人たちの給料とし、10円を途上国へポリオワクチンを提供するため、NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)への寄付や、(財)日本ユニセフ協会の支援ギフト(※3)購入にあてられています。  また、スチール缶飲料のプルトップはアルミでできており、回収することで再利用ができるため、市内のアルミ企業に1キログラムあたり70円(※2)で売却され、ペットボトルキャップと同様に、そのうち35円を給料とし、35円を途上国へのポリオワクチンの提供にあてられています。  なお、売却された粉砕キャップは、過熱処理によりリサイクルペレットに加工されて、再生プラスチックとして販売され、資源リサイクルされています。主に、公園のベンチ、OAフロア、車のプラスチック製品などに使われています。  キャップおよびプルトップの回収による資源リサイクル、障がいのある人たちの社会参加や就労支援の福祉貢献、途上国の子どもたちの命を守る国際貢献の三方よし支援事業に市民のみなさんのご協力をよろしくお願いします。 ※2 樹脂およびアルミの取引価格により変動します。 ※3 現金での支援ではなく、ユニセフの支援物資を子どもたちに贈る支援方法です。3,800円で200人分のポリオワクチンを購入できます。 写真:ワクチンの接種をうける発展途上国の子ども(提供:JCV) あなたの協力がワクチンとなって、子どもたちを救うことに繋がります ◆ハンディ&エコキャップ支援フロー図 市内回収ボックス(*1)    ↓ キャップを回収 → CO2(二酸化炭素)の削減(*6)    ↓ 障 害 者 支 援 施 設(*2) ↓   ↑      ↓ 粉砕  ↑      ↓ ↓  収益還元(*3)収益寄付 売却  ↑      ↓ ↓   ↑      ↓ リサイク企業(*4) NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)、(財)日本ユニセフ協会(*5) *1 市内障害者支援施設、市役所、各支所に設置された回収ボックスでペットボトルキャップとリング(キャップを外した後に残るリング)を市民のみなさんから集めます *2 市内の回収ボックスで集められたキャップを障害者支援施設が回収し、粉砕します *3 収益は障害者支援施設に還元し、さらにJCVなどへも還元されます  *4 粉砕されたキャップは、再生プラスチックに生まれ変わり、工業製品向けの原材料として供給されます *5 ポリオワクチンの購入資金として使われます *6 キャップ1個を回収することにより0.0079gのCO2が削減となります 写真:回収ボックス、キャップ、粉砕されたキャップ、ペレット化された再生プラスチック、再生プラスチックを使用したOAフロア、ワクチン 問=障害福祉課  電話=0748−24−5640  IP電話=050−5801−5640