1の5 原子力災害について 原子力災害の基礎知識  平成23年3月に発生した福島第一原子力発電所事故による被害の深刻さを受け、現在国を挙げてその対策の見直しが進められているところです。原子力や放射線の災害については、自然災害と異なり、五感に感じることが困難であったり、使用する用語が専門的であったりすることから多くの人にとってわかりづらいものです。放射線や被ばくとは何かなど、基礎的なことを理解しましょう。 放射能と放射線  放射線を出す能力を放射能、放射線を出す物質を放射性物質と呼んでいます。懐中電灯に例えると、光が放射線、光を出す能力が放射能、懐中電灯が放射性物質となります。 放射能・放射線の単位 ベクレル 放射能の強さを示す単位 グレイ 放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを示す単位 シーベルト 人体への影響を示す単位 被ばくとは、人体が放射線を受けることです。その受け方によって外部被ばくと内部被ばくに分かれます。 外部被ばく 放射性物質から出る放射線を体の外から受ける。 内部被ばく 放射性物質を含んだ空気や飲食物を吸ったり食べたりすることにより、体の中から放射線を受ける。 日常生活と放射線  日本の平均では、1人当たり1年間に合計2.1ミリシーベルトの自然放射線を受けているといわれています。  また、日本では自然放射線のほかに放射線を利用した医療診断によって、国民1人当たり平均で2.25ミリシーベルトの線量を受けています。 自然放射線 ブラジル・ガラパリの放射線(年間、大地などから)10.0ミリシーベルト 1人あたりの自然放射線(年間)2.1ミリシーベルト(日本平均) 国内の自然放射線の差(年間)0.4ミリシーベルト(県別平均値の差の最大) 東京ニューヨーク航空機旅行(往復)0.2ミリシーベルト(高度による宇宙線の増加) 人工放射線 胸部X線コンピュータ断層撮影検査(CTスキャン)6.9ミリシーベルト(1回・日本) 一般公衆の線量限度(年間)1.0ミリシーベルト(医療被ばくは除く) 胃のX線集団検診(1回)0.6ミリシーベルト 原子力緊急事態となるケース(1時間あたり)0.5ミリシーベルト(事業所境界で検出した場合) 胸のX線集団検診(1回)軽水型原子力発電所周辺の線量目標値(年間)0.05ミリシーベルト(実績は0.001ミリシーベルト以下) 異常が発生し原子力事業者が通報しなければならないレベル(1時間あたり)0.005ミリシーベルト(事業所境界で検出した場合) 出典 国連科学委員会、放射線医学総合研究所ほか 万が一事故がおきたら  国の原子力規制委員会では、原子力発電所からの距離を目安に、その距離に応じた防災対策の考え方が検討されています。  市は、直線距離で最も近い大飯発電所から50km以上離れています。  万が一事故が起きたときは、県や市からの正しい情報を入手しましょう。 屋内退避の指示が出たときは、 すぐに自宅などの屋内に入り、注意事項を守り被ばくや放射性物質による汚染の防止に努めましょう。 1 できるだけ外気に触れないようにするため、エアコン、換気扇などを止めて、ドアや窓を全部閉めましょう。 2 外から帰ってきたら、着替えて顔や手を洗いましょう。着替えた衣服はビニール袋に保管し、他の衣服と区別しましょう。 3 食品にフタをしたり、ラップをしましょう。 4 テレビ、ラジオ、広報車、音声告知放送などの新しい情報を待ちましょう。 屋内退避 建物の中に入るだけでも放射性物質から防護されます。特にコンクリートの建物ではその効果が大きくなります。 もしも外出する場合は、体表面の露出をできる限り少なくし、上着にはレインコートや雨カッパなど、チリが入り込まないものを着用しましょう。 家を出る前には、電気(ブレーカー)・ガス・水道の元栓を閉めましょう。窓やドアの戸締りをしましょう。