■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 今、博物館が熱い!!「市民と つくる 博物館の かたち」  わたしたちの「見たい」「知りたい」「体験してみたい」という希望に応えてくれる博物館。市立博物館は、さまざまなテーマに基づいて運営されています。  各館の個性を生かした情報を発信する学芸員とともに、市民パートナーによる活動も活発に行われ、さらなる魅力が広がっています。  「石臼を反時計回りに回していくとそばの実がそば粉になるよ」と、目の前の石臼を回しながら親子連れに話しかける廣田博文さん。その声に誘われて、重たい石臼を力いっぱい回す男の子。能登川博物館にある「くらしの体験コーナー」でのひとコマです。  廣田さんは、能登川博物館が地域の子どもたちに昔の暮らしの中で培われた生きるための知恵を一緒に伝えてもらおうと募集した「昔のくらし体験サポーター養成講座」に参加された中のお一人です。この講座では、60代から70代までの男女8人が石臼や足踏みミシン、蓄音機などの使い方や昔の灯(あか)りやガリ版を体験されました。昨年12月からは、市内小学3年生を対象とした社会科の「昔のくらし体験」などでサポーターとして活躍されています。 ■地域の人が先生に  博物館学芸員の仕事は、各博物館の特色に沿った資料の収集や保管、調査、研究のほか展示、体験活動などを実施することです。学芸員ごとに得意とする専門分野は異なりますが、経験を積み重ねる中で、広く深く知識や技能を習得しています。  本市の博物館は市民のみなさんの一番身近に存在する博物館として、さまざまな分野の質問や調査依頼を受けてきました。それらの中で自分の専門分野と異なる専門知識を必要とした質問の場合、その分野の専門家に情報提供を求め、解決するよう努めてきました。  しかし、わざわざ遠くの専門家にお願いしなくても、その分野に精通している達人が、市内各地域におられます。そうした地域のみなさんが、学芸員と一緒に運営に携わる市民パートナーとなっていただくことで、現代の多様で高度なニーズに応えていく生涯学習社会の担い手として、豊かな地域社会をつくり、地域独自の課題を解決する重要な力になるのです。 ■発信する市民パートナー  すでに本市には、博物館の特色に着目し、資料や情報、施設を活用してくださっている市民パートナーがおられます。本市は合併後、規模は小さいが個性的な博物館を数多くもつ市となりました。それだけに、市民パートナーも個性豊かな人たちが集まってくださいました。市民パートナーのみなさんは、博物館の利用者として施設や資料を利用するだけでなく、活動を通じて人材を育成し、さらには得た成果や情報を発信されています。 ■地域で育てる博物館  博物館は、研究や学習のために資料を調べたり、人的ネットワークを活用したりして個々の生涯学習に役立てるだけではありません。利用者自らが、地域の観光、産業、文化的価値を探求し、発信していく場でもあります。したがって、どのような特色を生かした博物館にするのか、地域の発展のためにどのような地域資源を活用していくのかは、市民のみなさんと博物館の職員が二人三脚でともに作り上げていくことが必要です。  本年度、東近江市の博物館では、それぞれの館の個性・役割の違いはあれど、多彩で豊かな地域資源を活用することを目標に、上記の「3つの方針」を作りました。  今後、市民パートナーと博物館の協働を深め、さらに地域のみなさんにも積極的に関わっていただくように働きかけることで、自立、協働、創造の魅力があふれ、まちづくりに役立つ博物館をめざしていきます。 ●3つの方針 地域資源を活用した魅力ある博物館へ 1.パートナーシップで文化的創造の拠点となる博物館=・集う・創(つく)る・発信 2.過去を知り、今を感じ、未来へ向かう人々を育む博物館=・伝承者の育成・次代を担う人びとの育成 3.東近江市の価値を探求する博物館=・調査・収集・研究・保存・公開・活用 写真@=石臼の使い方を紹介する昔のくらし体験サポーターの廣田さん 写真AB=「足踏みミシン体験」や「蓄音機・レコード体験」で、先人の知恵や工夫を伝える 写真C=講師として折り紙の楽しさを伝える ■わたしたち地域の専門家です!博物館で活躍されている市民パートナーのみなさんを紹介!  市民パートナーのみなさんは、これまでの人生で培ってきた技能や知識、経験や知恵を生かし、さまざまな事業(講座・作品展・イベントなど)を開催されてきました。その人たちと協働することで、博物館はより魅力的な事業を展開することができ、市民パートナーのみなさんにとっても生きがいのひとつとなり、新たな興味にふれることができる機会を市民のみなさんや地域に提供することができます。つまり、博物館&市民パートナー(売り手)によし、市民(買い手)によし、地域(世間)によしの「三方よし」となるわけです。ぜひ、一緒に「三方よし」の輪を広げていきましょう! ■地域のことは、地元の人が一番よく知っている! ●【地域学芸員】能登川博物館  能登川博物館は、「東近江市の身近な暮らしと自然」をテーマに、地域のことをよく知っている「地域学芸員」さん(地域住民のみなさん)と協働して、さまざまな展示やイベント、学校での出前授業などを実施しています。 ◇みんなに喜んでもらえて、いろんな人に出会えて、楽しんでやっています。=地域学芸員の吉原秀吉さん(写真) 写真@=七輪でサンマを焼く「秋の民具体験」 写真A=地元のトンボを観察「トンボ観察会」 ■地域の発展に尽くした近江商人の精神と文化を継承! ●【チーム三方よし】近江商人博物館  近江商人の理念やふるさとの魅力を発信するため、市民のみなさんの技能や知識、経験や知恵を生かして、近江商人につながる講座や作品展、イベントなどを開催しています。 ◆『論語素読講座』  素読とは繰り返し声に出して読むことで、体にしみこむように覚える伝統的な学習法です。年齢問わず、だれでも楽しむことができます。かつて近江商人が寺子屋で学んだ「論語」を毎月、みなさんと素読しています。 ◇「一隅を照らす」※という思いでスタートしました。今、とても楽しんでいます。 ※一人ひとりがそれぞれの持ち場で全力を尽くすことによって、社会全体が明るく照らされていくこと=『論語素読講座』講師の松田元信さん(写真) ◆『刀剣の美 鑑賞のツボ』  日本刀の美しさ、奥深さに触れてもらいたいと、毎年、日本刀を鑑賞するポイントや魅力を紹介しています。 写真=日本刀の見方を解説、講師の刀匠 北川正忠さん、滋賀県銃砲刀剣類登録審査委員の岡敏光さん ◆そのほか近江商人博物館で活躍中 ・日本折紙協会認定講師の寺島春三さん ・子ども茶道クラブ OH!茶チャチャさん ■新しい科学文化を地域に創生する! ●【無線倶楽部、キッズ無線倶楽部】西堀榮三郎記念探検の殿堂  無線を活用して市の防災訓練に協力したり、無線技術を活用した野外活動「フォックスハンティング」を開催したりするなど、子どもたちの科学技術に接する機会を提供しています。 ◇地域のみなさんに貢献できるよう、また、子どもたちの科学の芽をそだてるための活動をしています。=会長の戸島和夫さん(写真) 写真=河辺いきものの森で行われた「フォックスハンティング」 ●【科学探検隊「ココロボ Plus」】西堀榮三郎記念探検の殿堂  探検の殿堂主催のロボット事業「科学探検隊ココロボ」に参加していた子どもたちが青年になり、自分たちも現役で学びながら、さらにサポーターとして後輩の活動をサポートしています。 ◇地域内で指導者を育成し、ほかの地区とも交流して活動を進めています。=代表の西村典之さん 写真=後輩の活動をサポートする「ココロボPlus」のメンバー ■そのほかにも!地域の魅力を積極的に発信中 ●【東近江の芸術を愛する会】  姉妹都市との芸術的な交流や企画展覧会、教育普及など東近江の芸術文化活動の支援を目的に活動。現在、探検の殿堂と連携して、展覧会「追求の先に…美を拓くものたち展」(平成25年9月〜12月)、「燦(さん)sun未来へ続く生命の輝き」(平成26年1月〜3月)を開催しています。 写真=作家自ら作品の魅力を語る「美を拓くものたち展ギャラリートーク」(西堀榮三郎記念探検の殿堂にて) ●【新ガリ版ネットワーク】  鉄筆を使うことで出るガリガリという音から『ガリ版』という愛称で呼ばれ、長く利用されてきた謄写版。消滅しつつあるガリ版関係資料の収集と保存、そしてガリ版伝承館を活用して、ガリ版の体験学習やガリ版作品(孔版画)展などを定期的に開催し、ガリ版文化の伝承普及活動に尽くしています。 写真=ガリ版の魅力を伝えるメンバー「昔のくらし体験サポーター養成講座」(能登川博物館にて) ■ぜひ一度、博物館へお越しください 問=近江商人博物館 電話=0748-48-7101 IP=0505-802-3134 問=能登川博物館  電話=0748-42-6761 IP=0505-801-6761 問=西堀榮三郎記念探検の殿堂 電話=0749-45-0011 IP=0505-802-2291