■記号は、時=日時 問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス 特集 地域おこし協力隊 若者 × 移住 × まちおこし ●地域おこし協力隊 若者 × 移住 × まちおこし 新しいMOVEMENTが今、動き出す  都市圏から移住し、新しい流れ、新しい風を地域に吹き込む地域おこし協力隊。隊員の想いは「豊かな自然環境を生かした事業をやりたい。」「都会を離れ、地方で暮らしたい。」「伝統文化、特産品の担い手になりたい。」などさまざまです。活動期間は3年間。その間に、地域の皆さんと協力しながら、地域の活性化につながるような生業づくりに取り組みます。  本市には現在8人の地域おこし協力隊が活動しています。市外から移住してきた彼らの目線だからこそ、発見できる地域の魅力がある。若者の熱意と行動力が、地域に刺激を与える。地域を愛し、日々奮闘している隊員たちを紹介します。 ・地域おこし協力隊の制度  地域おこし協力隊の制度は、地方自治体が都市圏から住民を受け入れ、地域おこし協力隊として委嘱する制度です。隊員は住民票を移し、生活の拠点を受け入れ地域に移します。3年の任期の間に、地域ブランドや地場産品の開発、販売といった地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの地域協力活動を行いながら、その地域への定住、定着をめざします。  この制度は全国各地で活用されていますが、隊員の約8割が20代と30代で年齢が若く、また任期後、約6割が同じ地域に定住しています。  本市でもこの制度を活用し、現在8人の地域おこし協力隊を受け入れています。  なお、本年度は新たに能登川駅前地域と八日市駅前地域に一人ずつ地域おこし協力隊を募集します。 ・新しい視点が地域を変える  地域おこし協力隊の受け入れの利点は、地域や集落に新しい視点が入ること、隊員の行動力が地域に大きな刺激を与えることが挙げられます。また、隊員にとっても、これまで培ってきた能力を生かした活動ができ、活動次第で、理想とする暮らしや生きがいの発見につなげることができます。  市としても、人口減少社会を迎える中で、定住をめざす若者が移住すること、さらに、隊員が持つ横のつながりで、同じように本市に興味を持って移住する人が増え、地域が活性化することを期待しています。 ・地域、隊員、行政が手を携えて  地域の中にある歴史や文化、自然などの地域資源を生かしていくことが、地域の活性化には重要です。隊員の受け入れをきっかけに、地域、隊員、行政が手を携え、まちづくりを進めていきます。 問=企画課 電話=0748‐24‐5610 IP電話=050‐5801‐5610 FAX=0748‐24‐1457 写真=地域おこし協力隊が地域の皆さんと活動する様子 ■この夏、定住移住の2つのイベント開催  【参加無料 申込不要 入退場自由】 ・定住移住相談会  東近江市出身で、市外在住、在勤者が本市にUターンできるよう、各種相談会を開催します。 @定住移住相談 A空家相談 B就業起業相談 C空き店舗活用相談 D新規就農相談 時=8月12日(金)10:00〜16:00 場=市役所 本庁舎本館1階ロビーなど 問=企画課 電話=0748-24-5610 IP電話=050-5801-5610  FAX=0748-24-1457 ■合同就職面接会  市内の魅力ある事業所が一同に集結。その場で面接を受けられます。 ※参加企業は7月中旬に市ホームページに掲載します。 ※福祉の職場合同就職面接会も同時開催! 時=8月5日(金)13:30〜16:00 場=能登川コミュニティセンター 隊=・平成29年3月に大学(院)、短期大学、高等専門学校    などを卒業予定の学生(卒業後3年以内含む。)   ・おおむね40代前半までの若年求職者 問=商工労政課 電話=0748-24-5565 IP電話=050-5802-9540  FAX=0748-23-8292 ■木地師とムラサキの文化伝える  前川真司  活動地域:奥永源寺地域   3年目 28歳  写真@=前川真司隊員  写真A=ムラサキの花  写真B=木地師ゆかりの神社  奥永源寺地域は、ロクロを使って木地椀などを作る木地師発祥の地で、深い歴史があります。地元の皆さんと団体を設立し、工房や木地師ゆかりの神社を巡るイベント・ツアーを開催しています。山から生まれるものづくりの豊かさを知ってもらえればと思っています。  加えて、市の花である絶滅危惧種の和種ムラサキの商品化とブランド化を地域、行政、学校、企業と連携し取り組んでいます。ムラサキの根は紫根と呼ばれ、染料となります。本市の蒲生野を舞台に万葉集の時代から高貴な紫色として重宝されてきた歴史とロマンがあるので、その尊厳を取り戻したいと思います。  川のせせらぎ、鳥のさえずりを聞き、自然に囲まれて暮らしていると、命が活かされていると感じます。この場所でできることは何か、日々の取組みを通じて、自分の命を活かしていきたいですね。 ■政所茶の付加価値を高めたい  山形蓮  活動地域:奥永源寺地域  3年目 30歳  写真@=山形蓮隊員  写真A=茶畑の葉刈りの様子  写真B=奥永源寺地域の風景  茶生産の繁忙期は収穫作業と茶工場での加工作業で大忙しでした。今は、ネット販売を展開したり、付加価値を高めるために粉末化に取り組むなど、販売に力を入れています。  地域のワザは文字では伝わりません。近所の茶畑の作業を手伝ったりして、目で盗み、体感して学んでいます。同時に、「茶やま話」といって、作業のときになにげなく交わす会話の中で、困っていることが聞けたりします。そこから私で解決できることを探すことが、活動の原点になっています。  政所茶は、味、栽培方法、茶畑の景観など、すべてが独自性の高いものです。重労働にもかかわらず、苦労や努力を重ね守られてきたことを考えると、地域の先輩の皆さんをとても尊敬すると同時に、重みを感じます。3年目を迎え、自分の無力さを感じるときもありますが、来年も「茶やま話」ができるように頑張っています。 ■アウトドアの魅力を発信できる場に  藤井悠矢  活動地域:奥永源寺地域  2年目 33歳  写真@=藤井悠矢隊員  写真A=奥永源寺地域の清流  写真B=竜ヶ岳山頂付近  奥永源寺地域の魅力は、大都市圏から比較的近いのに、自然が広がり、山や川などを楽しめるところです。生態系の東西南北の交差点でもあり、多様性に富んでいて、奥が深いですね。  そんな魅力を伝えられないかと、キャンプ場を拠点に、登山やマウンテンバイク、渓流釣りなど、多くのアウトドアを体験、発信できるようにしたいです。まずは、今夏にシャワークライミングのガイドを務める予定です。専用のスーツを着て渓流を泳いだり、登ったり。大自然を満喫できます。  また、ダンスが得意なので、地域のふれあいサロンで体操を教えています。住民の一人として交流を深めつつ、住民の皆さんの健康増進につながればと思っています。人と人の関わりがとても濃く、自分のおじいちゃん、おばあちゃんがたくさんできた感じがします。地域の期待に応えたいですね。 ■新しいものを生み出す場所へ  増田健多  活動地域:能登川駅前商店街  1年目 28歳  写真@=増田健多隊員  写真A=能登川駅前商店街の様子  写真B=二丁目植堂の店内  能登川駅前商店街の一角に、「植物」と「食」をテーマにした「二丁目植堂」をオープンしました。植物の特性を生かしたインテリアを作ったり、ワークショップを開催しています。  また、地域の人がこの場所で飲食店を出店できるよう、当店のキッチンを貸し出しています。複数の人でお店を運営する新しい店舗の形を取り入れることで、二丁目植堂が住民同士や地域の外から訪れた人とのつながりの場となり、新しいものを生み出せるよう、日々活動しています。  ほかにも、駅前のにぎわい創出を目的とした実行委員会を作り、誰もが仮装して参加できるチンドン夏まつりを7月9日(土)に開催します。これも商店街の皆さんに協力や後押しをしていただいたおかげです。この地域をもっと盛り上げていきたいですね。 ■ミツバチで森林の保全めざす  比嘉彩夏  活動地域:愛東地区  1年目 28歳  写真@=比嘉彩夏隊員  写真A=巣箱  写真B=愛東地区の豊かな森林  東近江市に来るまでは、大阪市のビルの屋上でセイヨウミツバチの養蜂を行っていました。ミツバチが木々や草花から蜜を集めるときに授粉が促進され、作物の実りがよくなり、緑化の促進につながります。これまでは都市部で行っていましたが、野生のニホンミツバチで養蜂に取り組み、森林資源を保全・回復することに貢献したいと思っています。今は自分で作った巣箱を愛東地区内に30個設置して、ミツバチを集めています。  移住した当初は、受け入れられないのではないかと緊張していましたが、「これ食べえな。」「困ってることないか。」など、とても気にかけていただいて、人の優しさに感謝しています。この地区の田畑が広がる風景が大好きで、四季の移ろいが身近に感じられます。こうした良さを都会の人にぜひ知ってもらい、将来は体験型の農家民宿を開きたいと考えています。 ■農業に関心を持つ人増やしたい  竹内鉄平  活動地域:愛東地区  1年目 38歳  写真@=竹内鉄平隊員  写真A=畑で作業する竹内隊員  写真B=自然農で育つなすびの花  農業に携りたいと思い、妻と2人の子どもを連れて大阪市から移住してきました。子どもたちも屋外で好きに遊べるので、新しい生活を楽しんでいます。  私は、環境に負荷をかけない自然農の考え方に興味をもち、現在は有機肥料を使って多品種を栽培しています。農業の経験がなく困ってばかりですが、将来のことを考えて厳しい言葉をかけていただいたり、肥料となる馬糞を搬入いただいたりして、地域の皆さんにかわいがってもらっていることに感謝しています。  6月に、自然農をテーマにした映画上映会やトークイベントを開催したところ、約100人に来ていただいて、とても嬉しかったです。将来的には、種まきや収穫までを体験できるコミュニティガーデンを設けて、農業に触れて関心を持ってくれる人を増やしたいと思います。 ■作家が集い、活気あるまちに  北浦耀司  活動地域:八日市本町商店街  1年目 23歳  写真@=北浦耀司隊員  写真A=八日市本町商店街  写真B=制作する革細工  八日市本町商店街に残るヴォーリズ建築の西洋風の建物で、財布やアクセサリーなどの革製品のアトリエを構えました。オーダーメイドにも対応しています。  今は、少しずつ地域の横のつながりを作れるよう頑張っています。商店街の若い店主さんと、面白い企画ができないか、気軽に話せるようになりました。本町パサージュなどの地元のイベントにはすべて出店し、貢献したいと考えています。  アトリエを構えた建物は歴史と趣きがあり、まだ空き部屋があるので、ほかの若手のものづくり作家にも声をかけて、使ってもらう予定です。たくさんの作家が集まり、商店街に足を運ぶお客さんが増えれば、空店舗への出店にもつながると考えています。  この地で人のつながりの輪を広げて、手工芸作家が集う活気ある場所にしたいですね。 ■政所茶で、全力で勝負したい  葛原穂高  活動地域:奥永源寺地域  1年目 30歳  写真@=葛原穂高隊員  写真A=茶畑で作業する葛原隊員  写真B=奥永源寺地域の風景  大阪市内の日本茶専門店で飲んだ政所茶の香りが素晴らしく、感動したのがきっかけです。担い手が少なくなっていると聞き、妻と移住してきました。  今は茶摘みを手伝ったり、茶工場で蒸し機や粗揉機を使い作業して、製茶の工程を学んでいます。また、茶畑を借り、栽培も行っています。  日中に作業をしていると、近所の人がふらっと来て手伝ってくれたり、茶の栽培方法などについて教えてくれます。皆さんとても優しくて、力強く、活気にあふれています。日々の支えに感謝しています。  奥永源寺地域は歴史が深く、自然が豊か。どんな気候でも素晴らしい表情を見せてくれます。この地で、政所茶で生計を立てることが、地域への貢献につながると思います。こつこつ地道に、全力で勝負したいと思っています。