■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス 特集 市長新春対談  (写真=東近江市長 小椋正清、一般社団法人東近江市観光協会会長 喜多良道、東近江スマイルネット キャスター 岡崎みゆき)  (撮影地=てんびんの里文化学習センター 4階和室) 鈴鹿山脈から琵琶湖までの自然、歴史と文化に誇りを  平成29年が幕を開けました。  鈴鹿山脈から琵琶湖まで広がる市域を有する東近江市には、これまで育まれてきた豊かな自然環境や奥深い歴史と文化が存在します。  東近江市観光協会会長の喜多良道さんをお迎えし、いかに観光をまちの活性化につなげていくのかについて小椋正清市長とお話しいただきます。  市長 新年あけましておめでとうございます。昨年は市政に対しまして格別のご理解とご協力を賜わり心から感謝申し上げます。     全国を挙げて地方創生の名のもとにまちづくり競争の渦中にありますが、競争に負けないように精一杯市民の皆さんとともにがんばってまいります。  喜多 新年あけましておめでとうございます。本年が平和で皆さんにとって素晴らしい1年になるようお祈り申し上げます。 ・自然、歴史と文化、地理的優位性が本市の魅力  岡崎 まず、いかに観光をまちの活性化につなげていくかというところで、市の観光の魅力について教えていただけますか。  市長 市の観光の魅力として大きく3つの要素があります。1つ目は合併のスケールメリットです。鈴鹿山脈から琵琶湖までという広大で多様性のある自然が観光の魅力になりうると考えます。     2つ目は古くは縄文や万葉の時代から脈々と受け継がれる歴史と文化です。3つ目は日本列島の真ん中、そして名古屋圏と大阪圏の真ん中にあるという地理的優位性です。     この3つの点を観光政策に生かしていく必要があります。     そして一昨年、日本遺産の構成文化財として「伊庭の水辺景観」と「五個荘金堂重要伝統的建造物群保存地区」が認定されたことも観光振興のきっかけとしていきたいですね。  喜多 昨年6月に新しく観光協会の会長に選任いただき、市の魅力や素晴らしさを実感しています。     自然、歴史と文化、地理的優位性とともに、見るもの、聞くもの、地域の香りや匂いさえも素晴らしい素敵なまちに私たちは住んでいるんだなぁと改めて感じています。     素敵なところと感じていただける観光なら、住民も来訪者の皆さんも幸せだろうと思うので、そんな観光ができないか、市長ともたくさん議論をしていきたいと思っています。 ・素材を磨き、市内外への情報発信で知名度を向上  岡崎 全国に観光PRするにあたって市ではどのような展開をお考えですか。  市長 全国の皆さんに本市の魅力を感じていただくためには知名度をあげる必要があります。そのためには観光政策のなかで次の2つが重要と考えています。     1つ目は受入れ態勢を整えることです。宿泊施設、トイレ、観光案内、公共交通機関などの観光インフラがまだまだ充実していません。     2つ目は滞在時間をできるだけ長くしていただくことです。     本市は名古屋圏と大阪圏に近いので日帰りになってしまう、場合によっては通過されてしまいます。本市にどう滞在していただくか、どうすれば滞在時間を長くしていただけるかも考えていきたいと思います。  喜多 確かに本市には良いものがいっぱいあるのですが、素のままですね。少し磨くことによってもっと素敵なものになると思います。それと同時に情報の発信です。     市民の皆さんが、本市の良さを再発見し誇りに思っていただけるように、魅力を語っていただけるように、市民の皆さんに向けた情報発信が必要だと思います。     あわせて、多くの皆さんに魅力を知っていただく手段として会員制交流サイト(SNS)などを使った市外向けの情報発信を拡充できればいいと思っています。 ・近江米、地酒、近江牛と旬の食材を生かす技も魅力  岡崎 地域に根ざした食文化について、市として食への取組は何かお考えでしょうか。  市長 鈴鹿山脈を水源として流れ出る愛知川や日野川の伏流水で育まれた「水」というのが1つの鍵です。食文化のなかで誇れるものは、その水が育てた近江米と喜多さんの専門でもある地酒、そして近江牛です。     近江牛といえば、大中町の若手農家さんが一昨年の第62回近畿東海北陸連合肉牛共進会でチャンピオンになられました。神戸牛と松阪牛を抑えて近江牛がチャンピオンになったことはもっとPRすべきですね。     ほかにも、湖や川では琵琶湖の固有種として価値のあるホンモロコやニゴロブナで漬けた鮒寿司、山では山菜や永源寺こんにゃくなどが有名です。  喜多 食材は多種多様で、この地域の魅力だと思います。きれいな良い水がないと何もできないわけですから、本当にありがたい。     そして、多種多様な素材を加工して料理にする技術が素晴らしい。料理屋さんをはじめ家庭でも旬の素材を生かして美味しい料理にする技術は魅力です。     四季折々の旬の食材を生かした料理を来訪者や観光客の皆さんにぜひ味わっていただきたいと思います。     もう1点、この地域には素晴らしい素材がいっぱいあるということを子どもたちにも知ってもらい、伝統的な食材を味わってもらいたいと思います。この食育が将来の観光につながると思っています。 ・琵琶湖から鈴鹿山脈を越えて伊勢湾までの広域観光へ  岡崎 石榑トンネルが開通して交通量が増え、たくさんの人が道の駅奥永源寺渓流の里を訪れていると伺っています。県域を越えた観光振興について、市としての具体的な取組は何かお考えでしょうか。  市長 広域観光という切り口では、琵琶湖から鈴鹿山脈を越えて伊勢湾までという計画も持っており、隣接する三重県いなべ市から三重県全体まで交流を深めていきたいです。     3年前から鈴鹿山麓無限∞会議というものを開催しています。滋賀県側は東近江市、蒲生郡日野町、甲賀市、三重県側はいなべ市、菰野町、四日市市、鈴鹿市、亀山市と観光を基盤にした交流です。     まずは観光で広域的なことができないかということも模索しながら進めているところです。  喜多 観光というのは、県境も市域も越えて来訪者の皆さんがこの地域全体を見に来られるわけですから、まさに広域的な発想が必要だと思います。     われわれ観光協会もいなべ市や松阪市の観光協会の皆さんと提携しながら情報交換や共同イベントも行っています。1本のトンネルの開通でこれだけ変わるのだなと感じています。 ・世界に誇れるものが満載の東近江市は素晴らしい  岡崎 今後の市の観光政策に期待することなどお聞かせください。  喜多 観光協会は民間としてフットワークの軽さを生かしながら行政と二人三脚でやっていきたいですね。     一方で八日市商工会議所、東近江市商工会、JAをはじめ、まちづくりに頑張っておられる多くの団体の皆さんも観光に関わる事業をたくさん行っておられます。     多くの団体が連携しながら、ともに同じ方向性をもって東近江市の魅力を外向けにアピールできる機会があればと思います。     例えば「東近江市まるごとin東京」として、本市の良さを東京で市長がトップセールスを行うとか。波及効果で本市にいろんな形で還元されればいいですね。     夢やロマンを持ちながら、一方でそろばん勘定もしっかりしておかなければいけません。観光政策にはお金もかかりますし、われわれ自身も努力していかなければと思っています。  岡崎 最後に、市長から東近江市の魅力について市民の皆さんにメッセージをお願いします。  市長 市民の皆さんへのメッセージというよりお願いです。昨年10月に京都市左京区にある大原三千院に縁のある木地師の関係で惟喬親王1120年御遠忌に講師としてよばれました。     大原地区の住民の皆さんをみていますと、びっくりしたことに総動員です。もちろん商工会議所や経済団体が中心ですけれども、一住民までが何らかの役割を担って全国からみえるお客さんをもてなしていました。     本市に目を向けたとき、私たちがもっと市民の皆さんに呼びかけて参画をお願いしなければならなかったのではないか。観光政策を実現するためには、まだまだ努力が必要だなと思いました。     市民の皆さんには、本市には自然、歴史と文化、地理的優位性をはじめ、世界に誇れるものが足元にあることにまず気づいていただきたい。私たち自身が気づかないと自信を持って市外から人を呼べません。     一人ひとりに本市を宣伝してもらいたいですし、東近江市は素晴らしいところだという思いを持っていただけたらうれしいですね。そこが出発点だと思います。     そして、役割分担です。行政も人的資源が限られていますので、どうしても地域の皆さん、経済界、なによりも観光協会が動いていただくこともお願いしていかなければなりません。     これからも観光政策の実現に向けてがんばってまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。市民の皆さんも健康に留意され、素晴らしい1年となりますようにお祈り申し上げます。  (写真=品評会で最優秀賞に輝いた田井中さん)  近畿東海北陸連合肉牛共進会で、大中町の畜産農家である田井中龍亮さんが出品した和牛が最優秀賞に輝きました。写真は市長に報告するご子息の龍史さんと美香子さん夫妻。  (写真=惟喬親王1120年御遠忌で講演する市長)  京都市左京区の大原地区一円で120年ぶりに営まれ、地元住民らでつくる実行委員会が企画しました。市長は「惟喬親王と木地師」をテーマに講演しました。 (コラム)守り継がれてきた東近江市の宝物  本市は、鈴鹿山脈から琵琶湖まで豊かな自然環境に恵まれています。何気なく目にしている日々の風景を改めて見つめ直すと、今日まで大切に守り継がれてきた自然、歴史と文化などが輝きを帯びてきます。  当たり前にある日常には誇れるものがたくさん詰まっているのです。  (写真=太郎坊宮、五個荘金堂重要伝統的建造物群保存地区、奥永源寺の渓流、市原野の火祭り、伊庭内湖) (コラム)まちに愛着と誇り  食文化の中で、大切なことは地産地消だと思っています。本市では、すでに学校給食に使うお米は100%地元産の近江米を、野菜も可能な限り地元産を使わせていただいています。  自分たちの住むまちで自己完結できるようにしたい。市外に行かなくても東近江市で買物したり遊んだりできることが大切です。市民の皆さんが買物できるお店や遊べるところを作りたいですね。  やはり娯楽施設がないと、特に若い人たちが夢を持って生活できないと思います。  このまちに生まれて暮らし、生涯を終えるときに「本当に素晴らしいまちでいい人生を過ごしたね。」と実感してもらえるまちにしたいと考えています。  プロフィール=喜多 良道  大学卒業後、家業の酒造業を継ぎ、平成7年に喜多酒造株式会社の代表取締役に就任。  経済界活動は、現在、滋賀県酒造組合 副会長、八日市商工会議所 常議員、近江八幡納税協会 副会長を務めるほか、平成28年6月から一般社団法人 東近江市観光協会 会長に就任。  新春対談の様子は東近江スマイルネットで放送します。  1月1日(祝)8:00、13:00、20:30 1月2日(月)10:30、15:30、23:00 1月3日(火)8:00、13:00、18:00  4日(水)〜8日(日)も放送します。詳しくは東近江スマイルネットの番組表をご覧ください。