■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファックス 特集 味わうのは、郷土の食文化    明日の元気をつくる学校給食  クラスの友だちと、みんなで「いただきます」と自然の恵みに感謝し、おいしく食べる。時代とともに給食の献立は変わっても、今も昔も変わらない風景です。  たくさんの人に支えられ、たくさんの愛情が込められた本市の学校給食について紹介します。 地域で支える安全・安心な学校給食をめざして 本市では、市立の幼稚園、幼児園(3歳以上)、小学校、中学校の子どもたち約12,000人にセンター方式で給食を提供しています。  合併前は旧市町で給食の実施状況や献立も異なっていました。特に調理施設は、各学校で給食を調理する「自校方式」と、給食センターで調理し各学校へ配送する「センター方式」が混在していました。  合併後に学校給食基本計画を策定し、「地域で支える安全・安心な学校給食」の実現をめざして、3歳以上の園児から中学生までのすべての子どもたちにセンター方式で給食を提供する体制を整えました。センター方式では、効率的な運営と高度な衛生管理を行うことを目的としています。そのため、平成22年3月に能登川学校給食センターを増築して炊飯が可能な施設にし、平成24年4月からは蒲生、平成27年8月からは湖東の両学校給食センターがそれぞれ新築稼働しています。  学校給食は一般的なレストランよりも高度な衛生管理を行っています。例えば、泥や細菌が入り込まないように、食材は受け入れから下処理、洗浄、調理、配缶、配送に至るまで一方通行で後戻りをしないようにするとともに、調理員も調理前の食材を扱う人と調理後の食品を扱う人の服の色を変えて、ひと目でわかるようにしています。  毎日、子どもたちが食べるものであることを常に意識し、細心の注意を払い調理しています。 地元の食材を通して地域とのつながりを学ぶ  安全で安心な栄養バランスのとれたおいしい給食を提供することが学校給食のもっとも大きな目的です。  そのためには食材を提供していただく地元の生産者の協力が欠かせません。本市では、給食で使用する米は100%市内産を使用しています。野菜についても市内産を優先して購入しており、昨年度は使用する野菜のおよそ半分を市内産でまかなうことができました。また、地域や人とのつながりによって給食が成り立っていることを子どもたちに理解してもらうために、児童が生産者のところへ出かけて畑を見学し、生産者から話を聞いたり、生産者を学校に招くといった取組も行っています。  さらに、子どもたちに地元の食材に興味や関心を持ってもらうため、市内産の野菜を使用したメニューの開発にも取り組んでいます。これまで、「市内産大豆を使用した納豆」や「市内産キャベツのメンチカツ」が誕生しています。毎年7月1日の「びわ湖の日」は、アユ、ビワマス、ワカサギなどの湖魚を使った献立にしています。  毎月発行している給食だより「いただきます」では、食育に関することや給食レシピのほかに、その月に使用予定の地場野菜も掲載しています。給食だよりは、子どもたちへ学校や園から配布しているほか、市ホームページにも掲載しています。 子どもたちの生きる力を育て健康を増進する食育を推進  本市は各学校単位で食育に力を入れています。食育は幼稚園から中学校まで、学年ごとに子どもたちの発達段階に応じて行っています。例えば、幼稚園児は箸の正しい持ち方などの基本的なマナーについて、小学生は食べ物の働きや学校給食で出るごみを通して環境や資源への配慮について学びます。中学生は体の成長に必要なカルシウムの大切さを学びます。給食の献立にも旬の野菜を積極的に取り入れ、食べながら学べるよう工夫しています。  さらに、子どもたちだけでなく市民の皆さんにも食育について知ってもらうため、「東近江市食育展」として毎年12月から3月まで各図書館で巡回展示を行っています。各地域の主な農産物に関する展示や、給食のレシピ紹介、県内の特色ある野菜について展示しています。残すところ3月15日?までの五個荘図書館での展示のみとなりました。この機会にぜひご覧ください。 湖東学校給食センター 電話=0749‐45‐8044 IP=050‐5801‐0977 ファックス=0749‐45‐8054 感謝の気持ちを忘れないで! 物資選定委員会 PTA委員 大隈薫正さん(布引小学校PTA会長)  おいしく安全な給食を提供するために、物資選定委員会においてPTAを代表して食材の選定を行っています。幼稚園から中学校までの幅広い年齢の子どもたちみんなに少しでも安全でおいしいものを食べてもらいたいという思いで、選定日には、一日中、味付け前のブロッコリー、ハム、サーモンなどの同じ食材を数種類ずつ、おいしさ、見た目、価格などを考慮しながら食べ比べます。また、アレルギーを持つ子どもの給食がみんなとできるだけ別のものにならないように気をつけています。  私たちが生きていくためにはたくさんの生き物の命をいただいています。また、日々の給食には、生産者さん、納品業者さん、栄養士さん、調理員さん、配送員さん、労務員さんなど、本当にたくさんの人たちが関わっています。子どもたちには感謝の気持ちを忘れず、給食を「おいしい!残したらあかん!」と思って好き嫌いをせずに食べてほしいです。  自分が小学生だったころと違って今は調理員さんと児童の交流が少ないのはさみしいですが、子どもたちには調理する現場や残食を処理する現場も実際に見て、給食について学んでほしいです。 給食は生きた教材です! 栄養教諭 今井笙子さん(能登川学校給食センター)  給食センターで献立作成などの給食管理をしたり、各学校で食に関する指導をしたりしています。  給食の献立を考える時は、栄養バランスがよくおいしいのはもちろん、旬の食材や行事食を取り入れること、いろいろな食材を使うことなどに気をつけています。郷土の食文化についての理解を深めるために、アユ・ビワマス・ワカサギなどの湖魚を使った郷土料理を提供しています。また、アレルギーを持つ子どもには食材の選定にも配慮しています。  食に関する指導としては、学校で箸の持ち方や朝ごはんの大切さについての授業をしたり、給食時間にその日の給食に関するクイズをしたりしています。給食センターを見学してもらうこともあります。  学年が上がるにつれて食べる量は増えますが、好き嫌いをして残すことも多くなるようです。必要な栄養をとるために、苦手なものも残さず食べてほしいです。また、調理員さんが心を込めて調理した給食を、ゆっくり味わって食べてほしいです。給食や食に関する指導を通して、栄養のことや望ましい食生活など、健康でいるための知識を子どもたちに身につけてもらいたいと思います。 給食センターに潜入 給食が学校に届くまで 献立 ・きな粉揚げパン ・ミートボールのスープ煮 ・ツナサラダ ・牛乳 @納品される食材を受け取ります。 A皮をむき、へたを取ります。 B野菜を洗浄します。3回以上洗います。 C野菜を機械で切ります。 D約1,000食分が作れる大きな釜で煮ます。 E大きなしゃもじを使い2人で混ぜます。 Fコッペパンを油で揚げて砂糖ときな粉で味付けします。今も昔も不動の一番人気! Gご飯の場合は大きな機械で炊きます。 Hトラックに積んで学校などへ配送します。 Iみんなで、いただきます! 郷土の味を給食で伝承  市内産の食材を使うことはもちろん、郷土料理の伝承にも取り組んでいます。  茄子の胡麻味噌汁で夏バテ予防に作られる「泥亀汁」、ビワマスの炊き込みご飯「あめのいおご飯」、鶏肉のすき焼き「かしわのじゅんじゅん」、大豆をつぶして作る「打ち豆汁」、湖魚であるホンモロコを使った「もろこのカレー揚げ」など、なじみの薄くなりがちな郷土の味を提供しています。 献立から学ぶ食育  給食を通じて食べ物のはたらきを学べるように、毎月、テーマに沿った献立を提供しています。カルシウムに着目した「カルちゃんの日」、鉄分の「鉄ちゃんの日」、食物繊維の「せんいちゃんの日」のほか、毎月19日は「食育の日」としています。「秋の味覚を味わおう」「バランスのよい食事を知ろう」などの内容で食育を推進しています。  子どもたちに興味や関心を持ってもらうため、「鉄ちゃん」「せんいちゃん」は市独自のキャラクターにもなっていて、毎日使う食器にも描いています。   また、節分、七夕、冬至など行事や季節に合わせた献立もあり、行事食や旬の食材を大切にしています。 食べ残しが肥料に変身 給食センターに返ってきた残食は重さを量ったあとで、機械で細かく砕き、処理機で堆肥化し、環境負荷の軽減に努めています。できあがった堆肥は、市内の園や学校で花壇などの肥料として使われています。 給食費は食材料費に使用  給食費の未納は、公平性を著しく欠くばかりでなく、食材選定の制約、給食の質の低下など学校給食の運営に支障をきたします。本市の給食費はすべて給食の食材購入にあてています。給食費の未納が全国的な問題となっていますが、学校給食は保護者の皆さんの負担で支えられています。