■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファクス 特集 農業の未来へ、地域の未来へ。挑戦。  東近江市の農業。近畿最大の耕地面積を誇り、長年、豊かな自然とともに営まれてきました。  しかしながら、米価の低下や後継者不足などにより、 本市の農業は、今まさに正念場を迎えています。  一方で、農業の未来を切り開くために、さまざまな挑戦が始まっています。農業を元気に、そしてまちを元気に。未来への挑戦を紹介します。  問=農業水産課   電話=0748‐24‐5660 IP=050‐5801‐5660 FAX=0748‐23‐8291 ■31歳、湯ノ口絢也さんの挑戦 つなぐ。父から子へ、未来へ。  農業高校、農業大学校を卒業し、栗見新田町で父、義兄とともに農業を営む。  農地利用最適化推進委員を務め、東近江青年農業者クラブに所属して、農業の魅力を伝える活動にも精力的に取り組む絢也さんの挑戦を紹介します。 つなぐ。― 父から子へ― 「農業を営む父の背を見て育ち、迷いなく私も農業の道へ進むことを決意しました。農業の魅力を多くの人に伝え、感動を与えたいです」琵琶湖のほとり、栗見新田町に広がるキャベツ畑で話す絢也さん。  父、孝生さんは、米中心の農業に取り組んでいましたが、絢也さんは、収益性の高い野菜生産の必要性を感じ、農業大学校で野菜の栽培を学びました。現在、米、麦、大豆に加え、キャベツや大根、黒枝豆、赤カブなども作付けしています。  孝生さんは、「一緒に農業ができることは当たり前のようで当たり前でない。幸せなことです。息子の存在は頼もしく感じます」と話します。  義兄の西川亮平さんを加えた三人を中心に、こだわりの農作物を多くの人に届けるため、毎日、心を込めて丁寧に作業をします。 つなぐ。― 未来へ―   絢也さんが農作業に加え、力を入れていることが、「未来世代に農業をつなぐ活動」です。母校である農業大学校での講師や農業高校のインターンシップ生の受入れ、地元小学校での特別授業などにより、農業の魅力を生徒・児童に伝えています。  「農業に対するイメージはさまざまです。農業の楽しさや大変さも含めて、魅力を若者に伝えていきたい。農業を身近に感じられる体験ができる取組にもチャレンジしてみたいです」と絢也さんは話します。  また、東近江青年農業者クラブでは、同年代の若手農業従事者が集まり、経営課題に対する勉強会や農業の魅力を発信できるようマルシェの開催にも取り組みます。  「今後は、天候不順にも対応できるような作付けをし、運営体制を整えて、どんな状況でも安定して収穫できるようにしたい。また、地域の人の雇用にもつなげ、地元の学生や若い人にも働いてもらえるようにして、仕事を通しても農業の魅力を感じてもらいたいです」と今後の展望を話す絢也さん。  父、孝生さんから受け継いだ農業。肥料をやり丁寧に育て、さらに大きく実らせ、未来世代へつなぎます。 ■データで見る 東近江市の農業 近畿エリア 耕地面積ランキング  東近江市は、8,470haと広大な耕地面積を有しており、近畿地方の市町村では最大です。  1位 東近江市 8,470ha  2位 長浜市(滋賀県) 8,010ha  3位 丹波市(兵庫県) 5,620ha  4位 甲賀市(滋賀県) 5,200ha  5位 高島市(滋賀県) 5,120ha  ※平成29年作物統計調査 近畿エリア 農業産出額ランキング  耕地面積は近畿最大にも関わらず、農業産出額の順位になると7位になります。  東近江市の主要作物は米ですが、上位の市町村は、野菜や果物などの高収益作物です。  1位 南あわじ市(兵庫県) 266億円  2位 紀の川市(和歌山県) 181億円  3位 神戸市(兵庫県) 161億円  7位 東近江市 107億円  ※平成28年市町村別農業産出額 東近江市の品目別農業産出額  米・麦・大豆が全体の約6割を占めています。  合計 107.1億円  米・麦・大豆 63.5億円  野菜 20.1億円  畜産(肉用牛など) 18.1億円  果実 2.3億円  花き 1.9億円  その他 1.2億円  ※平成28年市町村別農業産出額 ■(株)東近江あぐりステーションの挑戦 地域とともに、儲かる農業へ。   今年4月18日、県内初の地域商社である「株式会社東近江あぐりステーション」が設立されました。  市内で収穫された新鮮な農作物を市内で流通させる体制を確立させ、農業で 安定した収入を得られるようにするため、市と市内にある4つのJA(農業協同組合)が連携し立ち上げた鞄結゚江あぐりステーションの挑戦を紹介します。 ●(株)東近江あぐりステーションの流通の仕組み  生産者 安定的な野菜の仕入れ →株式会社東近江あぐりステーション 販路開拓 袋詰めなどの加工 →地域のスーパーなど 地域のスーパーや加工業者などに納品 ●JAグリーン近江 営農事業部 特産課 課長 成田義幸さん  JAグリーン近江も(株)東近江あぐりステーションに出資を行い、連携して取り組んでいます。  野菜の生産拡大と販路開拓に取り組んでいますが、(株)東近江あぐりステーションができたことで、より多様な販路が開拓できると期待しています。 流通革命新鮮な野菜を地域へ   「東近江市の持つ広大な農地に非常に可能性を感じています。また、頑張っている農家や若手の就農者も多い。そのような東近江市の良さを生かし、安定した流通の仕組みを確立させ、地域の皆さんとともに東近江市の農業の未来を作りたい」と力強く意気込みを話す鞄結゚江あぐりステーション代表取締役の松井茂光さん。  広大な耕地面積を生かし、米・麦・大豆中心から野菜などの高収益作物へ転換し、流通体制を確立させる。そんなミッションを掲げ、鞄結゚江あぐりステーションが設立されてから約5カ月が経過しました。大手飲食チェーン店との取引が始まるなど着実に成果が出ています。 流通の仕組み   農家が適正価格で農作物を卸すには、契約交渉、袋詰めや配送などといった生産以外の仕事も多く、大変な作業となっていました。  農家が生産に専念でき、生産拡大や品質向上に取り組めるよう、スーパーや加工業者との交渉、袋詰めなどの作業、配送などを鞄結゚江あぐりステーションが担います。  また、鞄結゚江あぐりステーションが農作物を安定して買い取るため、農家は確実な経営計画を立てることができます。 農業が変わる、地域が変わる   本市の農業は、地域農業を守るという思いから、集落で農場を経営する「集落営農」が多いのも特徴です。儲かる農業が実現すれば、後継者も育ち、地域の維持・発展にもつながります。  熱心に取り組む市内の農家の皆さんとともに、農業の未来、地域の未来を切り開くため、鞄結゚江あぐりステーションは挑戦し続けます。