■記号は、問=問い合わせ IP=IP電話 FAX=ファクス ■特集 スポーツを通じて障害を理解しよう ●毎年12月3日から9日までは、障害者週間です。これは、障害に対する理解や差別の解消などに関心を深め、障害のある人の自立と社会参加を促進することを目的に定められています。  今月は、スポーツを通じて仲間や地域とのつながりを大切に活動している人を紹介し、誰もが暮らしやすい社会にするため、一人一人ができることを考えます。 ◆笑顔広がる東近江FCレジリエンス ・折れない心を育む  おくのの運動公園のフットサルコートから元気な子どもたちの声が聞こえます。サッカーの練習をしているのは、発達障害などの特性がある小学生たちで構成するサッカーチーム「東近江FCレジリエンス」のメンバー。代表コーチを務めるのは、車いすで生活を送る高橋平さん(市ケ原町)です。高橋さんは、地域のスポーツ少年団などで活動に不安のある子どもが、ストレスなく体を動かし、仲間と話せる場を作ろうと、今春チームを立ち上げました。  チーム名の「レジリエンス」は、折れない心を意味し、サッカーを通じて、強い心を育むことを目指しています。 ・気持ちを伝えるカード  練習前には必ずコート中央に集まり、子どもたちにカードを選ばせています。  このカードには、喜怒哀楽を表した顔が描かれており、子どもたちが今の気持ちや練習後に、自分たちがどんな気持ちになれたらいいのかを考えさせるためのものです。また、このカードは、子どもたちが自分の気持ちを相手にうまく伝えられないときのコミュニケーションツールにもなり、高橋コーチは、いつも携帯しています。 ・鬼ごっこでウォーミングアップ     練習では、いきなりサッカーを始めるのではなく、まずは鬼ごっこでウォーミングアップ。練習に集中できない子どもも多く、自由に体を動かしてもらうことが目的です。体が温まると、いよいよ練習開始です。シュート練習では、自分たちのお気に入りのボールを順番に蹴り込み、シュートが決まるとコートの周りで見守る保護者からの大きな拍手が響きます。 ・もう一つの家族  高橋コーチのほか、看護師や税理士など、さまざまな職種のボランティアスタッフも子どもたちを支えています。高橋コーチは、「チームを卒業しても、何かあったら帰って来られる場所『もう一つの家族』と呼べるチームであり続けたい」と話します。  取材中、練習を終えた子どもたちが高橋コーチを囲みました。そして、翌日が誕生日の高橋コーチに首飾りや寄せ書きをプレゼント。子どもたちからのサプライズ企画に高橋コーチの本当に嬉しそうな表情が印象的でした。 ・スペシャルサポーター  滋賀県を拠点に活動するサッカーチーム「MIOびわこ滋賀」で選手として活躍している本市出身の國領一平選手がサポーターとして、練習に参加することもあります。國領選手のプレー一つ一つに子どもたちだけでなく、保護者からも歓声が上がっていました。 ・練習のラストは、みんなで一礼  練習後、子どもたちはコートに一列に並び、保護者に向かって一礼。保護者の送迎で練習に参加できることへの感謝を表します。子どもたちは、元気な笑顔で満ちあふれていました。 ・夢と希望を持った元気なプレーを!  MIOびわこ滋賀國領一平選手  生まれ育った東近江市で何かできないかと思い、チームのサポートをさせてもらっています。子どもたちに自分のプレーを見てもらい、夢や希望を持つきっかけにつながればと思います。僕自身も子どもたちからパワーをもらっています。 ・温かい雰囲気でみんなが伸び伸び! (保護者)今年の8月からチームに参加しています。子どもたちが、伸び伸びと体を動かせる場が限られる中、ここでは、周りに遠慮なく、思いっきりプレーできることが魅力です。 (子ども)毎週、みんなとサッカーの練習をすることを楽しみにしているよ。 ・東近江FCレジリエンス 練習日=毎週火曜日18時〜19時30分 練習場所=おくのの運動公園(雨天時は愛東北小学校体育館)連絡先=高橋平さん電話090-9056-4497 ◆目が見えなくてもできる社交ダンス ・社交ダンスで健康的な生活を  滋賀県立視覚障害者センター(彦根市)を中心に活動するサークル「社交ダンスウイング」。そのメンバーの一人に本市在住の田中嘉代さんがいます。  田中さんは、18年ほど前に全盲になり、生活訓練のため、社会福祉法人京都ライトハウス(京都市)に電車やバスを乗り継いで通っていました。社交ダンスと出合ったのは、その頃。外出機会が減り、運動不足にならないよう、「目が見えなくても社交ダンスならできるよ」と先輩から誘われ、ボランティアさんに教えてもらいながら練習を始めました。練習でさわやかな汗を流し、ブルースやワルツ、タンゴにルンバなど、徐々にレパートリーも増えていきました。 ・全国大会で6位入賞  練習を重ねていくうちに、社交ダンスの大会に出場できるようになりました。田中さんの場合は、女性のみが視覚障害者のペア「女性の部門」で出場。10月9日、東京都で開催された「2021フリーダムズカップジャパンダンスチャンピオンシップス」ブラインド部門では、6位入賞という素晴らしい成績を収められました。 ・ダンスを楽しめる仲間を増やしたい  社交ダンスを続けていく上で田中さんは、「社交ダンスウイングは、目に障害がある人もない人も和気あいあいと楽しみながら踊れる場。これからも活動を続けていくためには、新しいメンバーの参加が必要です。皆さんの参加をぜひお待ちしています」と笑顔で話します。 ・社交ダンスウイング 練習日=毎月第3金曜日 練習場所=滋賀県立視覚障害者センター(彦根市松原1丁目12-17)ほか 連絡先=滋賀県立視覚障害者センター電話0749-22-7901 ファクス=0749-22-7890 ◆「であい!ふれあい!わきあいあい!」を合言葉に ・ボッチャで交流  東近江市身体障害者厚生会では現在、身体障害者手帳を持った500人以上の会員が仲間づくりなどを目的に活動しています。  10月21日、同会が行う交流事業として、ボッチャに挑戦しました。  ボッチャとは、目標とする白色の球に、赤色や青色のボールを投げたり転がしたりして、いかに近づけるかを競うスポーツで、パラリンピックの正式種目です。  この日は、滋賀県立障害者福祉センターの職員を講師に迎え、ルール説明や競技のポイントなど、詳しい説明を受けた後、プレーを開始。3人1組でのチーム戦を楽しみました。プレイヤーがボールを投げるたびに、会場からは一喜一憂の歓声が上がり、とても盛り上がりました。  同会の夏原稔会長は、「今後も、ボウリング・卓球・グラウンドゴルフなど、さまざまな事業を通じてメンバーとの交流を深め、笑顔あふれる厚生会でありたい」と思いを寄せます。  ・東近江市身体障害者厚生会 連絡先=五個荘小幡町463-2(近江鉄道五箇荘駅コミュニティハウス内)IPファクス=050-5802-9263(月・水・金曜日9時〜16時) ◆知っていますか?「ヘルプマーク」  「ヘルプマーク」は、義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人、聴覚に障害のある人など、援助や配慮を必要としていることが外見では分かりづらい人が、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせるためのものです。  「ヘルプマーク」を見かけたら、電車内で席をゆずったり、困っているようであれば声をかけたりするなど、思いやりのある行動や気遣いをお願いします。  「ヘルプマーク」は、市役所(障害福祉課)、各支所、保健子育て複合施設ハピネスまたは滋賀県東近江健康福祉事務所の窓口で配布しています。 ◆『マスクつけられないんです』マークを活用してください。  コロナ禍の今、マスクをつけたくても、感覚過敏などのさまざまな事情でつけられず、感染対策に困っている上に、周りの人から差別的な行動をされたり、心ない言葉を浴びせられたりして悲しい思いをしている人がいます。  東近江福祉圏域の「手をつなぐ育成会」では、共同で『マスクつけられないんです』マークを作成しました。このマークを入れたカードホルダーを市役所(障害福祉課)および各支所で配布していますので、必要な人は窓口までお越しください。 ◆誰もが笑顔で暮らせるように  視覚や聴覚に障害がある人、手足の機能に障害がある人、心臓や腎臓など体の内部に障害のある人、相手の話の内容が理解しづらく、周囲にうまく合わせられないといった障害のある人など、障害の種類はさまざまです。見た目には分からない障害で困っている人もいます。そして、それぞれの障害の特性により、支援や配慮の仕方も違います。コロナ禍だからこそ、お互いに思いやりの心を持つことが求められているのではないでしょうか。  社会全体でさまざまな障害に対して正しく理解することで、障害のある人が直面する社会的障壁を取り除き、「お互いにその人らしさを認め合いながら、誰もが健やかに笑顔で暮らせるまち」をみんなでつくっていきましょう。  問=障害福祉課 IP=050‐5801‐5640 ファクス=0748‐24‐5693(取材:広報課 片山晴紀)