■記号の説明・・・問=問合せ IP=IP電話 FAX=ファクス 特集 カーボンニュートラルへの取組 近年、全国各地で異常気象や想定外の災害が毎年のように発生しています。 こうした異常気象は、地球温暖化による気候変動が原因と考えられています。 温暖化防止に向けて、私たちの暮らしの中で何ができるでしょうか。 ■地球温暖化の原因  地球温暖化とは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスが大気中に増えることで地球が冷えにくくなり、地球の平均気温が上昇することです。  18世紀の産業革命以降、化石燃料の消費が増加する一方、森林資源が減少したことによって、大気中のCO2濃度は、産業革命前(1750年)に比べ40%も増加しました。(環境省「地球温暖化の実態」より引用)  温室効果ガスは、自動車での移動やごみの焼却、電気の使用など、私たちの日常生活からも排出されています。 ■カーボンニュートラル-脱炭素社会を目指して  地球温暖化防止のために、温室効果ガスの排出抑制が世界共通の課題となっています。令和3年10月、日本も温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。「全体としてゼロ」とは、温室効果ガスの「排出量」を森林などによる「吸収量」と差し引きして、実質的にゼロにすることを意味します。  カーボンニュートラルを実現するためには、日常生活の中で温室効果ガスの排出量を減らすことと、植林や森林管理によりCO2の吸収量を増やすことの両方を進めていく必要があります。 ■東近江市での取組  本市はカーボンニュートラルにつながる取組として、地域資源循環モデル「菜の花エコプロジェクト」を全国に先駆けて実施してきました。  令和元年度には、「100年の森づくりビジョン」を策定し、市域の56%を占める森林の適正管理と有効活用を図り、長期的な視点で健全な森林づくりを進めています。  また、本市では平成17年に東近江市さわやか環境づくり協議会を設け、ごみの減量やリサイクルの推進、地球温暖化防止に関する普及啓発活動を実施しています。その一つとして、小学校や幼児園などで紙芝居やクイズ、ごみの分別体験などの環境学習を実施し、子どもの頃から環境への興味や関心を高めています。  市役所内でも、事務事業で発生するCO2排出量の削減に取り組んでいます。省エネやエコドライブの推進など、令和2年度は平成25年度と比べて32・1%の削減ができました。 ●菜の花エコプロジェクト  全国に広がる「菜の花エコプロジェクト」は、平成10年に本市の愛東地区から始まった地域資源循環モデルです。  転作田に菜の花を植えて、なたね油を作ります。なたね油は家庭料理や学校給食に使い、搾油時に出た油かすは肥料として農地に還元します。廃食油は回収して、せっけんやBDF(バイオディーゼル燃料)としてリサイクルします。BDFを使用したとき、排出されるCO2は、菜の花が成長するときに吸収したものなので、大気中のCO2量は増えていません。  このように地球温暖化防止に貢献しつつ、地域内で資源が循環する取組、それが「菜の花エコプロジェクト」です。  本プロジェクトの情報発信拠点である「あいとうエコプラザ菜の花館」では、さまざまな環境体験ができます。 ●TOPICS 東近江の森と人をつなぐあかね基金  人口減少・少子高齢化への対応、温室効果ガス削減や生物多様性の保全など、持続可能な社会の構築は、今大きな命題です。  「あかね基金」は、地域が持っている自然の恵みや人々の力など地域資源を最大限にいかしながら、環境問題をはじめさまざまな課題の解決に向け取り組み、日々の暮らしに豊かさを感じられるような地域社会の実現につながる、社会的に意義のある事業を助成するものです。  助成金の原資は、個人や企業から寄せられた寄附とふるさと納税から拠出した資金です。豊かな森を次世代につなぐため、民間活動を応援しようとする活動を支援するため、多くの皆さんのご協力をお願いします。 問=公益財団法人東近江三方よし基金 電話=080-2541-9990 ■私たちができる取組  温室効果ガスを削減するためには、私たち一人一人が今のライフスタイルを見直し、脱炭素につながる行動をできるものから取り入れていくことが必要です。  例えば、家の中では、電化製品はこまめにスイッチを切り、冷暖房は適切な温度設定にする。また、夏は涼しい服装、冬は厚着をする。外出時には、マイバッグやマイボトルを持って自転車や公共交通機関を利用する。買い物では、食材の買いすぎに注意し、旬のものや地元のものを食べる。  肩ひじ張らず、身近な行動で脱炭素につながるゼロカーボンアクションを皆さんも始めましょう。 問=環境政策課 IP=050‐5801‐5633 ファクス=0748‐24‐5692 ■できることから始めよう!!暮らしを脱炭素化するアクション ・エネルギーを節約・転換しよう! ・太陽光パネル付き・省エネ住宅に住もう! ・CO2の少ない交通手段を選ぼう! ・フードロスをなくそう! ・サステナブルなファッションをしよう! ・3R(リデュース、リユース、リサイクル) ・CO2の少ない製品・サービスを選ぼう! ・環境保全活動に積極的に参加しよう! ●環境にやさしい暮らし普及促進奨励金  再生可能エネルギーの普及と地域経済の活性化を推進するため、住宅に太陽光発電システムや太陽熱温水器などを設置した人に奨励金を地域商品券で支給しています。  本市が抱える環境に関する諸課題は、いずれも経済・社会的な問題と絡み合っています。環境への配慮を重要な観点とする一方、環境の視点のみにとらわれず、地域内経済の活性化や人と地域のつながりなどを大切にする視点を持って取組を進めています。 ●東近江市あらゆる場面で木を使う推進協議会  市内の森林・林業関係者が集まり、「木のある暮らし」を提案するとともに、日常生活や事業活動のあらゆる場面で木が使われるような活動を展開。暮らしの中に木を多く取り入れることで、木の温かみを感じられるだけでなく、木材の循環が生まれ、ひいては間伐などの森林整備につながります。同協議会では、地域の資源や資金が地域で循環する仕組みを構築し、木育や木製品を通じて持続可能な社会の実現に取り組んでいます。 ●毎日の「移動」を「エコ」にスマートムーブ  学校や会社に行ったり買い物に行ったりと、私たちは暮らしの中でたくさんの移動をしています。日々の移動手段を工夫することで、誰でも簡単にCO2排出量を削減すること(スマートムーブ)ができます。  まずは、ちょっとした外出時にマイカーではなく、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用しましょう。駅まで歩いたり階段を上り下りしたりと、適度な運動が自身の健康づくりにもつながります。 ●株式会社東近江あぐりステーション  地域商社「株式会社東近江あぐりステーション」では、市内で収穫された新鮮な農産物を市民に安定供給する「野菜の地域内流通」の仕組みにより、野菜の流通を変革させ、米・麦・大豆中心の土地利用型農業から高収益作物への転換を促進し、もうかる農業の実現を目指しています。  地域の農産物が地域で消費されることで、流通に係るCO2排出の抑制と地域経済の活性化が期待できます。 ●受け継がれる伝統と歴史政所茶  室町時代から続く600年以上の歴史があり、全国に名を馳せてきた銘茶「政所茶」。その最大の特徴は、地域全体で在来種の無農薬栽培を続けていることです。肥料には、ススキや落ち葉、「菜の花エコプロジェクト」で搾油時に出たなたね油の搾りかすを使用しています。  化学肥料や農薬などを使用せず、環境負荷の少ない生産方式を取り入れることで、その価値を高め、環境保全や生物の多様性保全にもつながっています。 ●生ごみを堆肥にして有効活用ダンボールコンポスト  ダンボールコンポストとは、家庭から出た生ごみを腐葉土などと一緒に段ボールの中に入れ、微生物の力で生ごみを堆肥化するものです。1箱につき約60キログラム(4人家族の約3カ月分)の生ごみを減らし、良質な肥料として再利用することができます。  毎月第3木曜日には、市役所で講習会を開催しています。家庭でも手軽にできるので、生ごみの減量にぜひ協力をお願いします。 ●ペットボトルの資源循環ボトルtoボトル  ボトルtoボトルとは、使用済みペットボトルを化学的に原料レベルまで分解し、新たなペットボトルとして再利用することです。このシステムは、半永久的にペットボトルを資源循環できるだけでなく、石油由来の資源を使って一からペットボトルをつくるよりもCO2排出量を約60%削減できるとされています。  本市では、今年度からボトルtoボトルに取り組んでおり、市民の皆さんもリサイクルに協力をお願いします。 ●自然のつながりに気付くSEA TO SUMMIT   海(湖・川)、里、山を舞台に行われる「SEA TO SUMMIT」は、アウトドアスポーツを楽しむだけではなく、自然とふれあいながら自分たちを取り巻く自然環境について再認識する環境スポーツイベントです。  自然環境や地域振興について考える「環境シンポジウム」の開催とともに、鈴鹿山脈から琵琶湖まで森里川湖の多様な資源をいかしたコースを体感してもらい、自然との共存・共生について関心を高めます。