■記号の説明・・・問=問合せ IP=IP電話 FAX=ファクス ●歴史的資源を活用した観光まちづくり 五箇荘駅を起点にした観光誘客を目指して ■先人から受け継いだ歴史的資源を活用 五個荘近江商人屋敷 外村宇兵衛邸  本市は、多様性のある自然の中に千年を超える歴史、文化、伝統が息づくまちです。こうした地域資源を磨き上げ、観光政策にいかすことで、「行ってみたい」「住んでみたい」と思ってもらえるまちになることを目指しています。  今回は、一棟貸しの宿泊施設に改修した五個荘近江商人屋敷外村宇兵衛邸と近江鉄道五箇荘駅を起点とした観光資源の活用について紹介します。 ■景観を未来へつなぐ  五個荘金堂地区は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしの精神の理念を生み出した近江商人発祥の地で、近江商人屋敷が並ぶ風情ある町並みを形成しています。また、国の重要伝統的建造物群保存地区や日本遺産「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」にも選定されており、これまで地域の皆さんの努力で景観が保存され、誘客推進を図ることができました。 ■新たな観光のまちづくり  この立地をいかし、本市での滞在時間の延伸や新たな観光誘客の取組として、古民家などの歴史的資源を活用した分散型ホテル事業(※)を全国展開する株式会社NOTE(兵庫県丹波篠山市)と連携協定を締結し、近江商人屋敷の一つである外村宇兵衛邸を宿泊施設として活用するため改修工事を行いました。 ※分散型ホテルとは、地域の歴史的建造物や空家をリノベーションし、フロントや客室、飲食などの機能をそれぞれの棟に分散させ、まちを丸ごと一つのホテルにすることで、宿泊した人たちが自ずとまちを回遊し、地域に活力をもたらす仕組みのこと。 ■新たな第一歩 「保護」から「活用と保存」へ  今回の改修は、江戸末期万延元年(1860年)建築で、築160年の時を経た市文化財史跡指定の建物を、近江商人の三方よしの精神を体感できるプログラムを取り入れた宿泊施設として整備しました。外観の趣は残しつつ、内装や設備、蔵、厨房をリノベーションし、新たに浴室棟を設けました。  これは、これまでの文化財の「保護」から一歩踏み出し、「活用と保存」の好循環で本市の大切な歴史的資源を未来にいかし、残していく新たな第一歩となるものです。 ■運営は民間のノウハウで  施設の運営は、本市と株式会社NOTEが共同出資して設立した「株式会社いろは」が担い、宿泊事業を展開。今後は、この外村宇兵衛邸を起点に分散型ホテルとして事業を展開していきます。 施設名 NIPPONIA五個荘 近江商人の町 外村宇兵衛邸 所在地 五個荘金堂町645番地 開業予定日 9月1日(木) 料金(税別)1泊朝食付き 80,000円+サービス料金(12,000円/人×人数 ) ※夕食は、施設近くの飲食施設を案内 定員 10人 ●華やかな歴史ロマンの世界へ出発 近江鉄道五箇荘駅 ■五箇荘駅を起点に観光誘客  五個荘地区は、中山道と御代参街道の結節点となっています。中山道は、江戸時代に古代の東山道から名を変えました。また、主要な街道が通る交通の要衝としての利点をいかし、中世以降は近江商人が活躍しました。  明治32年には、近江鉄道小幡駅が開業。明治43年に現在の場所へ移転して五箇荘駅に改称されました。現在は、年間約7万3千人の乗降客があります。新しく生まれ変わった外村宇兵衛邸は、五箇荘駅から約2キロメートル、徒歩約25分の位置にあります。  このような歴史的な背景から、中山道沿いには睨み燈篭や道標、五個荘金堂地区には近江商人屋敷と美しい日本庭園をはじめとする魅力的な観光資源があります。これらを磨き上げるとともに、近江鉄道五箇荘駅を起点として同地区を周遊して楽しんでいただけるよう地域団体と連携し、観光案内や案内看板の設置・改修をはじめ、来訪者の受入れ環境の整備を図っています。 問=観光物産課 IP=050‐5801‐5662 ファクス=0748‐23‐8292 ■中山道五個荘  中山道は、江戸時代に整備された五街道の一つで、江戸の日本橋と京都の三条大橋を結ぶ街道です。  五個荘地区を通る中山道には、当時の旅人の道案内となる常夜燈や道標など、さまざまな史跡が残っており、当時の街道のにぎわいが感じられます。 中山道五個荘にぎわい事業委員会 八田 英雄さん 「中山道が観光施策への起爆剤となる事を願い、街道筋の名所や旧跡を十分にいかすため、整備を進めています。「新しい中山道」という概念を加え、五個荘独自の特徴ある街並みの存在をつくり、観光客と住民との交流が生まれる、にぎわいある中山道になることを期待しています。」 ■五個荘金堂地区  五個荘金堂地区は、近江商人ゆかりの地として知られており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。町並みを歩くと舟板塀や白壁をめぐらした蔵屋敷があり、清らかな水が流れ錦鯉が優雅に泳ぐ水路が縦横に走っています。 特定非営利活動法人 金堂まちなみ保存会 理事 町並み景観委員長 磯部 實さん 「近江商人外村宗兵衛の屋敷であった「金堂まちなみ保存交流館」は、保存会の拠点として来訪者への情報の提供や地域との交流の場になっています。今、五個荘金堂町では、「伝統」を守りながらも「活力のある新たな金堂町のまちづくり」の実現に向けた取組が始まりました。」 ■東近江トレイル  東近江トレイルとは、繖山と箕作山を縦走し、自然豊かな植物群や聖徳太子ゆかりの社寺である石馬寺や観音正寺など、貴重な歴史遺産が点在している登山コースです。鈴鹿山系などが見渡せる絶景ポイントのほか、麓の五個荘近江商人屋敷など幅広い世代で楽しむことができます。 東近江トレイル実行委員会 事務局 田島 宏さん 「300〜400メートル級の低山の山々を登山経験のない方でも楽しめるよう、コース案内看板の設置や整備などの活動を行っています。年に数回トレイルツアーを実施し、健康づくりや観光など地域の魅力を発信し、地域の活性化を目指しています。」