■記号は、対=対象 問=問合せ IP=IP電話 時=日時 場=場所 申=申込み 特集 あなたはいくつ知っている? 東近江市の文化財 ■文化財とは  私たちの先祖は、地域の風土に合わせて便利で豊かな暮らしを目指し、さまざまな工夫を凝らしてきました。科学技術が発達していなかった時代は、水や食べ物を手に入れるのも大変で、病気になれば治療も十分ではなく、死が身近にありました。こうした不安を解消するために、人々は豊作や地域、家族の平穏や繁栄を願って、神社や寺院、仏像を作って神や仏に祈り、さまざまな祭礼行事を行ってきました。  こうした私たちの先祖の暮らしや祈りが形となって、現在まで継承されてきたものが「文化財」です。大量生産されたものではなく、地域の風土に合わせて形作ってきたもの。つまり、文化財とは、その地域にしかない「地域の個性」と言えます。 ■東近江市の文化財の特徴   本市は、鈴鹿山脈から琵琶湖に至るまで、多様な環境に恵まれています。こうした環境で私たちの先祖は、特色ある歴史を紡いできました。  山間部では、木の器を作る職人「木地師」が誕生し、良材を求めて全国へ旅立ちました。愛知川の河岸段丘では、地形をいかして戦国時代に城が築かれました。平野部には街道が通り、商人が他の地域と交易を行い、琵琶湖沿いの地域では、村の中に水路を作り、湖の恵みを取り入れた生活を営んでいました。  本市には、こうした千年を超える豊かで奥深い歴史文化があふれ、私たちが普段身近に感じているものが国の重要文化財に指定されるなど、日本の歴史文化を理解する上で重要な価値をもっているものが数多くあります。 ■文化財のこれから  これまでは、文化財の保存を中心に取り組みが進められてきましたが、近年、文化財は活用しながら保存するという考え方に変わりつつあります。  例えば、伊庭町では、地元住民が観光客に地域の魅力を伝える有償ガイドをされています。地元住民がガイドとして自らの言葉で伊庭の魅力を語る姿は、観光客にとっては新鮮で、非常に喜ばれています。ガイドで得られた資金は、地域の環境保全などに還元されています。  地域の文化財を知り、活用することでその価値はますます高まり、地域の大切な財産として守られていきます。また、コロナ禍で人々の価値観は大きく変化しつつあり、改めて足元の歴史文化や文化財を見つめ直すことは、人生をより豊かに感じることにつながります。 ■文化財 ◇有形文化財 建造物や美術工芸品など 【重要文化財建造物】石塔寺三重塔(石塔町/写真@)、【県指定建造物】五箇神社(宮荘町/写真Aは拝殿)、【市指定考古資料】特別史跡安土城跡出土金箔瓦(山路町/写真B)、【国登録建造物】ガリ版伝承館(旧堀井家住宅洋館)(蒲生岡本町/写真C) ◇無形文化財 音楽や演劇、工芸技術など 【市指定】小幡人形保持者 細居源悟さん(五個荘小幡町/写真D)、【市指定】江州音頭(棚音頭)三代目真鍮家文好さん(写真E) ◇民俗文化財 衣食住や信仰、年中行事などに関するもの 【県指定 有形】木地屋氏子狩帳(蛭谷町・君ヶ畑町/写真Fは蛭谷町)、【市指定 無形】押立神社古式祭(ドケ祭)(北菩提寺町/写真G)、【市指定 有形】長村鋳物師の製品およびその用具と資料(北菩提寺町) ◇記念物 遺跡や名勝地、動植物など 【史跡】雪野山古墳(石室内)(上羽田町・中羽田町/写真H)、【天然記念物】ニホンカモシカ(写真I・撮影地:箕川町)、【県指定史跡】相谷熊原遺跡(永源寺相谷町)、【市指定天然記念物】太郎坊阿賀神社の夫婦岩(小脇町)、【市指定名勝】松尾神社庭園(八日市松尾町) ◇文化的景観 地域の風土により形成された景観地 【重要文化的景観】伊庭内湖の農村景観(伊庭町/写真J) ◇伝統的建造物群 宿場町や城下町、農漁村など 【重要伝統的建造物群保存地区】五個荘金堂伝統的建造物群保存地区(写真K) ■データで見る文化財 ◇国宝・重要文化財の件数(全国トップ5)  ※カッコ内の数値は、国宝の件数 1東京 2834(288) 2京都 2200(237) 3奈良 1330(206) 4滋賀 828(56) ←全国4位 5大阪 683(62) ◇県内国宝・重要文化財の件数 1大津市 306(37%) 2長浜市 86(10%) 3近江八幡市 71(9%) 4甲賀市 59(7%) 5東近江市 56(7%)  その他 250(30%) ※重要文化財とは、有形文化財の中で国が特に重要と判断したものが指定されます。 ※重要文化財の中で特に重要なものは、さらに国宝に指定されます。 ■東近江市の歴史を知ろう! 各文化財の「特徴」を歴史文化担当職員が紹介します ◇有形文化財 最もイメージしやすい文化財です  建造物や美術工芸品など形のある文化財を有形文化財といいます。はっきりとした「形」として残されるため、地域性や時代性が見て取れます。  本市の指定文化財424点のうち、約8割が有形文化財で、寺院や神社、古民家などの建造物をはじめ、掛け軸や仏像、古文書や土器など、いろいろな種類があるのが特徴です。形あるものはいつか壊れると言いますが、次の世代にもその価値を伝えられるよう保護に努めていきたいと思います。(歴史文化振興課 飯田) ◇無形文化財 「人のわざ」を保存します  無形文化財は、人間の「わざ」として優れたものを指定するもので、歌舞伎や演劇、音楽、工芸技術などがあります。特に国に指定された人は「人間国宝」と呼ばれます。  本市の無形文化財保持者は、「江州音頭」継承者の真鍮屋文好さんと「小幡人形」製作者の細居源悟さんです。昔から守り伝えられてきた伝統の「わざ」。この貴重な文化財を次の世代に引き継いでいくためには、「わざ」を持つ人を育てるとともに、「わざ」を広く皆さんに知ってもらう必要があります。(歴史文化振興課 嶋田) ◇民俗文化財 私たちの生活に身近な文化財です  衣食住の道具、年末年始やお盆などの行事、祭りなどを民俗文化財といいます。ライフスタイルの変化など時代に合わせて少しずつ形を変えながら伝えられてきました。  本市では、各地で山の神行事や野神祭など地域の伝統行事が良好に残されています。また、春には複数の集落で郷祭りが行われています。こうした伝統行事を現代の生活の中で引き継ぐことは非常に大変なことですが、伝えられてきた意味を考えながら次世代へ繋ぐ地域の活動を私たちもお手伝いしていきたいと思います。(歴史文化振興課 野瀬) ◇記念物 遺跡から動物までいろいろなものが含まれます  昔の人々の生活した痕跡である史跡、庭園や山などの名勝地、学術上価値の高い動植物、鉱物や岩石などの天然記念物を総称して記念物といいます。市内には、国指定史跡の雪野山古墳や国の天然記念物のハナノキなどさまざまな記念物があります。  北花沢町と南花沢町にあるハナノキは、「聖徳太子が食事の際に使用した箸を地面に突き刺したところ、立派な木へと成長した」という伝承があり、3月末ごろには美しい深紅色の花を咲かせ人々を魅了しています。(埋蔵文化財センター 松田) ◇文化的景観 生活に根差した景観です  文化的景観は、地域の人々の生活や生業、風土によって形作られた景観です。本市では、伊庭町の「伊庭内湖の農村景観」が国の重要文化的景観に選定されており、集落内に張り巡らされた水路など、内湖と共にある暮らしによって形作られた景観が評価されました。  市内には鈴鹿山脈から琵琶湖まで多彩な自然環境の中で営まれてきたさまざまな暮らしぶりがあり、そこで形作られてきた景観は、その地域のあり方を表す文化財であるといえます。(歴史文化振興課 菅原) ◇伝統的建造物群 日本らしい景観が残されています  伝統的な建造物と周辺の環境を含めた町並みを保存する地区を伝統的建造物群保存地区といいます。本市では、五個荘金堂町が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。  同地区では、金堂まちなみ保存会を中心に、先人の築いてきた歴史的な町並みを後世に残そうと、さまざまな取組を進められています。私たちは、地元の人々の保存に対する思いを大切にし、伝統的な町並みを後世に伝えていけるよう、ともに考えていきたいと思います。(歴史文化振興課 林) ■今年度新たに指定された文化財 ◇重要文化財 ・外村家住宅  【五個荘金堂町】 ◇市指定有形文化財 ・木造千手観音立像 ・木造地蔵菩薩立像 ・木造毘沙門天立像  【石馬寺(五個荘石馬寺町)】 ・能面 ・能装束および関連裂  【八幡神社(政所町)】 ・能面  【筒井神社(蛭谷町)】 ・能面 ・淡茶地草花文様錦狩衣  【大皇器地祖神社(君ヶ畑町)】 問=歴史文化振興課 IP=050‐5801‐5677 FAX=0748‐24‐5571