■記号の説明・・・問=問合せ IP=IP電話 FAX=ファクス 特集 博物館の新しいカタチ 〜地域で総合博物館を目指して〜  市内にたくさんある個性あふれる博物館が連携し、東近江市の魅力や価値の発信を更に強化していきます。4・5ページでは、本市の魅力ある博物館を紹介します。 ●本市の歴史と文化  森里川湖がつながる豊かな自然の中に人々の多彩な暮らしと奥深い歴史文化があふれる東近江市。  地域の暮らしの中には、1000年を超える歴史が育んだ貴重な文化財が溶け込んでいます。これらは、市外や県外の人の目にはとても魅力的に映り、貴重な地域資源にほかなりません。しかし、毎日のように目にする地域の人々には特別なものではありません。  また、近年では暮らしや地域社会の変化やコロナ禍をはじめとする社会の大きな変革の中で、これらの貴重な歴史文化や伝統が意識されず暮らしの中から失われつつあります。  本市では、改めて地域資源である歴史・文化に光を当て、市内にある博物館を拠点として、地域の人々が地域の宝をほこりとして自分たちの手で自分たちのためにいかし、より豊かな東近江市を実現するための取組を進めます。 ●東近江市の博物館等に関するアンケート(2,128サンプル) 問 あなたは過去5年間に、何回くらい博物館・美術館に行ったことがありますか? 行ったことがない(45.3%) 行ったことがある1〜5回程度(47.1%) 6〜10回程度行ったことがある(4.8%) 11回以上行ったことがある(2.8%)  アンケートでは、博物館・美術館に「行ったことがない」の割合が半数近くを占めています。地域の宝物を展示・発信する博物館をいかに身近な施設として、魅力を感じてもらえるための課題解決に向けた取組が「東近江市博物館構想」です。 ●博物館の現状 本市には、6つの市立博物館があります。各館では、市町合併前から、それぞれの地域の特徴をいかした個性的な展示を企画し、その魅力を発信してきました。これまでは、これら個性のある博物館を有効的に連携させ、市の博物館としての一体性をもたせる機能がないことが課題でした。 ●博物館構想  この課題を踏まえ、近江商人や大凧などの歴史文化に、鈴鹿の森の文化を加え、魅力を発信する拠点施設として博物館をより活用していきます。さらに各館が統括部門でつながり、より強い発信力で市民の生活文化の向上を図るため、本年3月に「東近江市博物館構想」を策定しました。 ●統括部門 アーカイブ機能  博物館構想推進課に、総合的な博物館としての企画運営やコーディネート、施設管理などを行う統括部門を設置します。また、各々の博物館が有する文化財をデジタルデータとして保存する「アーカイブ機能」を整備します。 ●森の文化博物館  森里川湖でつながる本市の源である鈴鹿の森を舞台に、これまで充分調査研究されていなかった森の文化に関する資料の収集保存、調査研究、展示を行うとともに、その成果を活用し、森の重要性を広く発信することを目的に、設置に向けて検討を進めています。 ●POINT 博物館ネットワーク  特徴ある市立博物館を統括し、各館の連携強化、所蔵資料の効果的活用と効率的運営により、これまで以上に多彩な展示や普及啓発事業を行い、市内外から多くの人が訪れる博物館を実現します。市内にある個性豊かな民間博物館や地域の文化資源とも連携を強化し、全国に誇れる本市の魅力を積極的に発信していきます。 ●「気になる」「行きたくなる」博物館を目指して  森里川湖のつながりの中で、世界に誇れる豊かな自然とそこに育まれた歴史、文化、伝統、芸術、モノづくりの技術が、市内のあちこちに点在するにもかかわらず、市民の皆さんに伝えきれていません。  市民が、改めて本市の価値と魅力を知り、ふるさとへの誇りと愛着を持つことで「うるおいとにぎわいのまち東近江市」を文化芸術の面から実現するため、情報発信拠点として東近江市立博物館は、市民が「気になる」「行きたくなる」博物館を目指し、博物館構想を推進します。 博物館構想推進課長 嶋田 直人 ●発見&おどろき 市内の博物館※に行ってみよう! 各館の個性ある特徴を紹介します。 ※市立博物館 ●近江商人博物館・中路融人記念館  近江商人博物館は、近江商人を育んだ地域の歴史とともに、「三方よし」の精神など天秤棒一本から立身出世をめざした近江商人の軌跡を紹介しています。  中路融人記念館は、本市の名誉市民である日本画家・中路融人の作品を展示しています。また、企画展では本市ゆかりの芸術家の作品も紹介しています。 ●能登川博物館  本市とその周辺の自然・歴史・民俗を対象とした博物館です。地域に根差した「身近な自然と暮らし」をテーマとした企画展の開催やフィールドワークも実施しています。  地域のことに詳しい「地域学芸員」が講師やスタッフになって、民具体験や染色体験などさまざまなイベントを開催しています。 ●西堀榮三郎記念探検の殿堂  技術者、登山家、また、南極地域観測事業における第1次越冬隊長として活躍した西堀榮三郎をはじめ、新しい分野を切り拓いていくために挑んだ探検家49人を顕彰する施設です。青少年育成に特化し、西堀にちなんだ自律移動型ロボットを教材としたプログラミング教室や科学的な知識や技術を有する人などと連携した体験プログラムを企画・開催しています。 ●野口謙蔵記念館  綺田町出身の洋画家・野口謙蔵が昭和8年に建てたアトリエを再現した施設です。これまでは謙蔵の生涯を紹介してきましたが、現在は、謙蔵を輩出したこの地で豊かな芸術活動が育まれる拠点とするべく、この秋からレンタルアトリエ・レンタルギャラリーとして利用することができます。 ●ガリ版伝承館  明治時代末期に建てられた堀井新治郎家の本宅を一部改修した施設です。中でも洋館は、国の登録有形文化財に登録されています。館内には、日本の謄写版(ガリ版)の歴史とともに、昨年堀井家の資料から発見された発明王・エジソンからの手紙や謄写版で印刷した各種資料、謄写版画などのアート作品を展示しています。 ●世界凧博物館東近江大凧会館  八日市大凧は、今から300年以上前の江戸時代中期に男子出生を祝って揚げられたのが始まりです。館内には、大凧まつりで飛揚された100畳大凧(縦13メートル横12メートル、重量700キログラム)や大凧に関する多くの資料を常設展示しています。また、日本各地の凧や世界の凧も展示するなど、凧に特化した施設です。 ●地域の歴史文化のこれから   鈴鹿から琵琶湖まで続く多様な自然とそこで営む暮らしぶり、その積み重ねである歴史文化。これらは、市民の「ふるさと」の原風景となっています。  一方、少子高齢化による地域活動の担い手不足により、地域のコミュニティ、すなわち「ふるさと」の存続が困難になる地域が現れています。ふるさとを次代に引き継ぐためには、地域が元気にならなければなりません。  地域を元気にするカギのひとつとなるのが「歴史文化」です。歴史文化はその地で育まれ、二つとして同じものはなく、地域固有の「財産」です。これまで地域で大切に守り伝えるのが当然でしたが、いつしか地域にとって重荷になってきています。今こそ、地域の人々が歴史文化を「財産」としてほこりにし、いかすことが、地域活性化につながります。  博物館は、そんな皆さんが地域を知り、将来への取組を進める起点となる場です。ぜひ一度、博物館に足を運び、地域の価値を確認してみてはいかがでしょうか。 問=博物館構想推進課 IP=050‐5801‐0525 ファクス=0748‐24‐5571