■記号の説明・・・問=問合せ IP=IP電話 FAX=ファクス ■特集 新春対談 地域に根づく魅力の再発見 〜100年先の未来へ〜 東近江市長 小椋 正清 太郎坊宮 奥田 素之 宮司   昨年12月に2年間にわたり行われた聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見委員会の事業のフィナーレを迎えました。  今回は、聖徳太子の伝承が残る太郎坊宮(小脇町)を訪れ、小椋市長と奥田宮司に対談していただきました。 ●一年を振り返って 市長  5月に新型コロナウイルスが5類に移行し、意識的に普段の生活に戻そうということを市民の皆さんに呼びかけてきました。そういった意識で、中断や縮小していたジャズフェスやコトナリエ、聖徳まつりなどのさまざまなイベントが開催されてきましたが、まだ完全には戻っていません。これからそのおくれを取り返すべく、必死にならないといけない時期だと思っています。 奥田  令和2年に、聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見委員会を立ち上げ、市長には委員長にご就任をいただきました。お陰をもちまして、令和4年から5年にかけて、滞りなく諸事業を収めることができました。太郎坊宮では、11社寺に集まっていただき、神仏習合法要を行いました。世界が疫病や戦争で悩んでいる中、「和を以って貴しと為す」という聖徳太子の教えを守って、世界の平和と繁栄をお祈りできたことは、大きな成果であったと思っています。 ●太郎坊宮の魅力や見どころ 奥田  大正年間にまとめられた太郎坊宮の記念誌には、「聖徳太子しばしば当山を行啓し、天祖の遺跡を追想し、山上巨巖の奥に廟社を建立し給う」これが起源であると記されています。現在も東近江市の天然記念物として、夫婦岩を登録していただいていますが、その奥にある本殿ともに、一帯は近江高天原と呼ばれる神聖な場所とされています。ここにお祭りされている神様は、「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊」という長いお名前で天照大神様の第一番目のお子さんです。勝つことの喜びを表したお名前であることから、勝運の神様として信仰されています。  三角形の秀麗な山容は美しく、本殿からの眺望は絶景です。麓から続く石段に連なる木造鳥居の多くがずいぶん傷んでいたことから約150基の新しい鳥居を奉納していただき、昨年末に修復がかないました。 市長  私にとって太郎坊宮は、本市のランドマークの一つです。大変荘厳な神様が祭られており、聖徳太子とのゆかりもあり、歴史的な価値があります。また、登ってきたときの参集殿から見る見事な風景は、四季折々のバリエーションを見せてくれます。本殿前にある夫婦岩の伝説を感じながら岩と岩の間をすり抜けるときのスリルをぜひ皆さん体感していただきたいと思います。 ●聖徳太子1400年事業の手応え 奥田  この取組を通してこの地域に思いのほか多くの史跡や伝承があることを知り、そして太子様の理想が人々の心の中に根づいているということを感じました。この事実を皆さんとともに思い起こして、地域の価値ある観光資源としていいかしていくことがこの事業なのだと理解しました。  コロナ禍と重なってしまいましたが、盛りだくさんのイベントを執り行っていただき、今後その成果をしっかりと固め、みんなで次の1500年につなげていけたらという思いです。 私たちも、神仏習合法要を今後も続け、聖徳太子の和の心を未来につなげたいと思っています。 市長  委員長として関わらせていただいて、私自身大いに勉強になりました。「和を以って貴しと為す」という文化が、今こそ必要な考え方ではないかと感じました。  一昨年5月の太郎坊宮でのオープニングセレモニーを皮切りに、昨年は聖徳太子の伝承が全国一多い滋賀県の中でも特に集中している東近江地域で、11の社寺が一緒になって神仏習合法要を執り行いました。また、名古屋駅前の百貨店で「お砂踏み」を行い、東近江地域だけではなく、広く由緒ある社寺の存在を知っていただく機会となりました。これは本当になかなかできることではない貴重なことです。聖徳太子を中心にしているからこそできることで、この聖徳太子のつながりを聖徳太子薨去1500年に向けて引き継いでいきたいという思いです。 ●東近江市の観光資源 市長  令和7年2月で、東近江市は合併して20年目を迎えます。合併がもたらしたスケールメリットは、本市の観光振興にとって大きな原動力になっていると思います。  鈴鹿の山から琵琶湖まで、源流から河口までをひとつの市で見ることができるという豊かな自然が観光の土俵になっています。その豊かな自然の中に、1000年を超える歴史文化資産が数多くあります。  その他にも、世界に認められている五個荘近江商人の商売の理念である「三方よし」の理念や蒲生の堀井新治郎親子が発明したガリ版、さらに奥永源寺は木地師の発祥地で、ものづくりの原点とも言えます。  こういう地域は、日本中を探してもなかなかないと私は自負しています。 奥田  惣村文化の中で豊かな伝統を育み、やさしく守られてきた社寺仏閣もだんだんと社会の変化、産業構造の変化、少子高齢化、そして人口の減少が進み、護持が難しくなってきています。その中で、社寺の運営も、地域の観光資源として見直されるなど、だんだんと外向きに変化をしている状況です。  外向きとは、このたびの聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見委員会の事業のように、行政と協力して、盛り上げたり、神社とお寺が手を組んで事業をしたりすることです。これからのさまざまな展開が楽しみです。 ●本市の観光資源の今後の活用方法 市長  一つは、市内の博物館のネットワーク化を図りたいということです。大げさに言うと、東近江市全体を博物館にするようなイメージです。合併したスケールメリットのおかげで、市内には大変多くの博物館があります。昨年には、それぞれの博物館や資料館を評価して、どう位置付け、今後どういう活用をしていくのかという博物館構想を策定しました。  大切なことは、活用の第一歩として市民の皆さんに自分たちの市にはどういう文化資源があって、どういう形で展示されて、将来どういかされるんだろうということを知ってもらうことです。そして、私たちの東近江市にはすばらしい宝物があると再認識してもらうことが大切です。  そういう意味では、観光政策を推進するに当たって、聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見委員会の事業はたいへん意義の大きいイベントであったと思っています。  観光政策を推進することは、東近江市の知名度の向上につながります。具体的かつ積極的に攻めの姿勢で推進していきたいなと思っています。 ●市政に期待すること 奥田  今までのお話で、小椋市長にはまだまだやりたいことが数多くあるということがよくわかりました。これからもご活躍いただき、市民が何よりも安心して暮らせるまちづくりを続けていただきたいと思います。  新しい時代に対応しつつ、今までお話いただいたように歴史と文化を大切にしていただければ、これからの発展も約束されるのではないか、このようにご期待を申し上げます。 ●市民の皆さんへ 市長  コロナ禍で停滞していたさまざまな施策を、いよいよ今年は取り返すべく、焦り気味にしかも確実に推進し、この東近江市のさらなる発展、そして市民の福祉の向上の実現。こういったことを念頭に置いて、職員一同真剣に取り組んでまいりますので、皆様方の市政に対するご理解とご協力を心からお願い申し上げます。 ■新春対談の様子は、東近江スマイルネットで放送します。(15分番組) 1月1日(祝) 午前8時、正午、午後6時 1月2日(火) 午前8時、正午、午後6時 1月3日(水) 午前8時、正午、午後6時 ※詳しくは、東近江スマイルネットの番組表をご覧ください。