東近江市立図書館中間答申
[2018年12月10日]
ID:9481
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平成17年12月1日
東近江市図書館協議会
はじめに
このたび、図書館長の諮問を受け「東近江市立図書館計画(中間答申)」を策定しました。中間答申は「図書館の目標」「蔵書計画」「サービス水準の設定」によって構成されています。私たち図書館協議会委員は市民の代表として、行政・議会と市民の皆さんをつなぐ役割を持ち、図書館のあり方について考え、図書館づくりを進めていくため両者をつなぐ文書としてこの計画を作成しました。さらに各館の位置づけ、全域サービスのあり方などについて深めていきたいと考えています。
平成17年2月に東近江市が誕生し、さらに平成18年1月には能登川、蒲生両町を含む市となります。東近江の図書館のユニークな運営は注目を集めているところです。しかし、合併し一つの市となったこれからの図書館サービスを考えるとき、まだ十分でないサービス内容もあります。私たちは、これまでの経験を生かして、新東近江市全体で豊かな図書館活動が展開され、広がることによって、合併が市民にとってより実のあるものとなるよう行政関係者・住民の皆さんのお力添えをお願いするものです。
東近江市は「うるおいとにぎわいのあるまちづくり」を目指し、市民と行政がパートナーシップを発揮し、協働でまちづくりを進めていくこととしています。市民がこの役割をはたしていくためには、必要な情報が豊かに届き、知恵や想像力をはぐくむ場として図書館の役割はますます重要になっていきます。自治体財政をとりまく状況の厳しさが続くなかではありますが、市民との対話を深め、市としても図書館の発展に力を尽くしていただきたいと思います。
私たちも、単にサービスを求め、満足するだけでなく、市民とともに支えとなるよう努力してゆきたいと考えています。
平成17年12月1日
東近江市立図書館協議会会長 廣幡 和子
近年の社会の変化や目まぐるしい技術革新の中にあって、生活をより豊かにするために新たな知識を身につけることが欠かせない時代となってきています。市民がその暮らしの場で、真に豊かな、生き生きとした暮らしを実現していくためには、世界のありよう、地球のありようまでを視野に入れた、市民一人ひとりの生涯にわたっての自己学習が欠かせません。世の中が生み出す大量の情報の中から必要な知識を選び生かしていく時に、図書館が果たす役割はきわめて大きいものがあります。東近江市立図書館は市民の資料要求に徹底して応えることですべての市民の豊かな暮らしの実現を目指します。
20世紀は、大量生産、大量消費と度重なる戦争の時代を経験し、その反省に立ち21世紀は循環型社会や共生型社会を目指した取組が進められています。このことから社会のあらゆる場面において生活の質や心の豊かさが大切にされるように変わってきています。図書館は、人と本、人と人との出会いの場を提供し、温かさややすらぎ、そしてやさしさを大切にした場づくりを目指します。
地方の時代と言われている今日、地方分権を支えていくのは自立した市民の存在なしには考えられません。住みよい、暮らしやすい街づくりは、自立した市民の知恵や想像力に支えられてこそ本物になります。図書館は考える力や想像力を育てる源である読書に親しめる環境を整え、すべての市民が市内のどこに住んでいても同じサービスが受けられるように努めます。中でも次代を担う子どもたちへの図書館サービスを重視します。
東近江市の現在を見つめ、市が将来像として描く豊かな自然や歴史文化を継承していく役割を果たすため、図書館は次の5つの目標をかかげ、その実現のための9つの指針を定めます。
先進的な図書館活動で知られている千葉県浦安市立図書館の「2002年度受入年別貸出冊数」調査によると、受入れ後3年後には半減し、7年が経過するとさらに落ち込み、ほとんど利用されないことが分かっています。図書館が市民に有効に活用されるためには、資料の新鮮度が生命線です。そこで、東近江市立図書館の年間増加冊数を以下のような考え方で設計しました。
現有開架冊数 | 望ましい開架冊数 | 購入冊数 | 図書費 | |
---|---|---|---|---|
一般書 | 121,500 | 85,050 | 12,150 | 24,300,000 |
専門書 | 13,500 | 9,450 | 630 | 2,898,000 |
小計 | 135,000 | 94,500 | 12,780 | 27,198,000 |
現有開架冊数 | 望ましい開架冊数 | 購入冊数 | 図書費 | |
---|---|---|---|---|
一般書 | 105,300 | 73,710 | 10,530 | 21,060,000 |
専門書 | 11,700 | 8,190 | 546 | 2,511,600 |
小計 | 117,000 | 81,900 | 11,076 | 23,571,600 |
現有開架冊数 | 望ましい開架冊数 | 購入冊数 | 図書費 | |
---|---|---|---|---|
永源寺 一般書 | 56,700 | 39,690 | 5,670 | 11,340,000 |
五個荘 一般書 | 31,590 | 22,113 | 3,159 | 6,318,000 |
愛東 一般書 | 12,390 | 8,673 | 1,239 | 2,478,000 |
湖東 一般書 | 70,470 | 49,329 | 7,047 | 14,094,000 |
現有開架冊数 | 望ましい開架冊数 | 購入冊数 | 図書費 | |
---|---|---|---|---|
合計 | 423,150 | 296,205 | 40,971 | 84,999,600 |
[目標値A] 現在日本の極めて高い水準 | [目標値B] 現在日本の最高水準 | |
---|---|---|
貸出冊数目標値 | 12.0冊/人・冊 | 15.0冊/人・年 |
奉仕人口(想定) | 115,000人 | 115,000人 |
貸出冊数 | 1,380,000冊 | 1,725,000冊 |
登録者 率 | 40% | 50% |
登録者 人数 | 46,000人 | 57,500人 |
開架 蔵書新鮮度 | 一般書1/7日・専門書 1/15 | |
開架 図書冊数 | 374,180冊 *1 | 467,730冊 *1 |
年間購入冊数 | 51,760冊 *2 | 64,700冊 *2 |
住民1人当り図書費 | 934円 | 1,167円 |
職員数を想定して算定 貸出3.0万冊当り | 46.0人 | 57.3人 |
職員数を想定して算定 貸出2.5万冊当り | 55.2人 | 58.8人 |
※1 平成16年度 開架図書回転数(貸出冊数÷開架図書冊数)により算定
※2 開架図書冊数をもとにし、一般書、専門書が同じ割合で増加すること
平成の大合併が進められる中で、常に問われてきたのは「大きいことはいいことか」である。効率を求めることは、きめ細かなサービスが失われることではないのか。
また、平等とはみんな同じという事なのか。悪平等という言葉もある。どうサービスを共有するのがいいのか。
図書館協議会に参加して、まず思ったのがこの2点である。
なぜなら、東近江の図書館はそれぞれ地域に根差し、地域のニーズに応じた個性あふれる良い図書館作りがなされているからだ。
それぞれの個性を生かしながら、従来より良いサービスを共有することができる東近江の図書館づくりを願った。それを可能にするのは市民との協働ではないだろうか。
一方、あと2年で団塊の世代が退職をする年を迎える。まだまだ体力があり、経験も豊かなこの世代の退職後の自分の居場所、自分探しは、図書館から始まるのではないだろうか。カウンターでの会話から、人と本、人と人を結ぶ役割を図書館が果たし、ここから何かが生まれて街づくりにつながって来ることを期待する。
ところで近頃の若者はすぐキレルと言われる。それを裏付ける事件も多発している。活字を読むことは考える力を養うと言う。子どもと本、いや親と本を結ぶのも図書館。図書館の役割は大きい。
私達は有望な観光資源があり、多勢の人々が訪れる街を活気があってうらやましいという。いい街とは、一過性の観光客が満足する街だろうか。そうではなく、住民が豊かな文化に触れ、豊かな文化を生み出して行くその一翼を担うのも図書館。私の図書館に期待するものは大きい。
多くの市民が図書館を訪れ、語り、かかわり、私の夢が実現するのを願っている。
廣幡和子(図書館協議会会長)
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