○東近江市懲戒処分等に関する指針
平成18年8月29日
訓令第33号
第1 基本事項
本指針は、東近江市における標準的な処分量定を掲げたものである。
具体的な裁量の決定にあたっては、
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意、過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているかどうか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の態度等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得るところである。
なお、標準例に掲げられていない非行行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについてはこの指針に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
第2 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条の規定により、職員の非違行為に対して懲罰として行う次に掲げる処分をいう。
(1) 免職 職員としての身分を失わせる処分
(2) 停職 1日以上1年以下の間職務に従事させない処分
(3) 減給 1日以上1年以下の間給料の月額(法第22条の2第1項第1号に掲げる職員にあっては、東近江市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例(令和元年東近江市条例第5号)第16条に規定する報酬(地域手当に相当する額を除く。)の減給処分の日の属する月前6箇月以内の1箇月当たりの平均額)の5分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分
(4) 戒告 非違行為に係る責任を確認させ、その将来を戒める処分
2 指導上の措置
懲戒処分に至らないもので、監督の地位にある者が職員の非違行為に対してその責任を確認させ、将来を戒めるために行う次に掲げる措置をいう。
(1) 訓告 任命権者が文書により行う注意
(2) 厳重注意 任命権者が口頭により行う注意
(3) 口頭注意 任命権者の指示に基づき、所属部長等が口頭により行う注意
第3 標準例
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
療養休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序びん乱
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体活動
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は公務の正常な運営を阻害する怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、停職、減給又は戒告とする。
(8) 秘密漏えい
職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(9) 個人情報の目的外利用
職務上知り得た個人情報を当該業務以外の目的で使用し、又は職権を濫用して個人情報を当該業務以外の目的で収集した職員は、減給又は戒告とする。
(10) 政治的目的を有する文書の配布
政治的目的を有する文書等を配布した職員は、戒告とする。
(11) 兼業の承認を得る手続のけ怠
営利企業等の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(12) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(13) 入札談合等に関与する行為
市が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。
(14) 公文書の不適正な取扱い
ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。
イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(15) パワー・ハラスメント
ア パワー・ハラスメント(職務に関する優越的な関係を背景として行われる業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。
(注) (12)及び(15)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
2 公金公物取扱関係
(1) 横領
公金又は公物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃取
公金又は公物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は公物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は公物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は公物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 公物損壊
故意に職場において公物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 出火・爆発
過失により職場において出火、爆発を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して給与等を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金・公物処理不適正
自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
3 公務外非行
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
自己の占有する他人の物(公金及び公物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬・覚醒剤等の所持又は使用
麻薬・覚醒剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を代償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
4 交通事故・交通法規違反
(1) 飲酒運転での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 酒酔い運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒酔い運転で人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職とする。この場合において事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職とする。
ウ 酒気帯び運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。
エ 酒気帯び運転で人に傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 交通法規違反
ア 酒酔い運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こしてその後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 酒気帯び運転、著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注) 処分を行うに際しては、別紙「交通事故等処分基準表」を基に、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。
5 ネットワーク利用
(1) 不正アクセス
ア 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスし、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い、又は情報を漏洩させた職員は、免職又は停職とする。
イ 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした職員は、停職又は減給とする。
(2) 不正アクセス等の幇助
ネットワーク管理者又はパスワードを付与されている利用権者のパスワードを第三者に提供した職員は、停職又は減給とする。
(3) ウイルス・不正プログラム等の利用
ア 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用してシステム又は情報資産等を損壊させた職員は、免職又は停職とする。
イ 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用してネットワークの適正な運用を妨げた職員は、停職又は減給とする。
6 管理監督者・関係職員
(1) 管理監督責任
ア 所属職員の非違行為を了知していたにもかかわらず、その事実を隠蔽し、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
イ 所属職員が懲戒処分を受けることに関し、指揮監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 関係職員の懲戒処分
ア 非違行為をした職員に対し、当該非違行為に係る事項を教唆し、又は当該非違行為を幇助したと認められる職員は、停職、減給又は戒告とする。
イ 職員の非違行為を了知していたにも関わらず、これを黙認し、又は当該職員と共に非違行為の全部又は一部を行った職員は、減給又は戒告とする。
第4 懲戒処分の公表
地方公務員法の規定に基づく懲戒処分又は刑事処分に関し起訴された場合の休職処分を行ったときは、原則として速やかにその内容(所属部局、職階、年齢、処分内容、処分年月日、処分理由)を公表する。ただし、次のような事案については、公表を控えることがある。
(1) 被害者が公表しないように求めた事案
(2) 公表することにより被害者が特定され被害者の人権に配慮すべき必要がある場合
なお、職務と関連のある事案であって免職を行ったもの、収賄、横領等の社会的影響が大きい事案で、起訴等により氏名等が公にされている場合は、職名及び氏名等の個人情報についても公表することがある。
附則
この訓令は、平成18年9月1日から施行する。
附則(平成20年訓令第13号)
この訓令は、平成20年4月1日から施行する。
附則(平成31年訓令第7号)
この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和2年訓令第5号)
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和2年訓令第12号)
この訓令は、令和2年6月1日から施行する。