創業200年を迎える老舗を継ぐ若き9代目蔵元 喜多麻優子さん 池田町
[2018年10月2日]
ID:9364
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます
喜多酒造株式会社 9代目蔵元 喜多麻優子(きた まゆこ)さん 池田町
創業200年を迎える老舗を継ぐ若き9代目蔵元
愛情を注いだ商品を手に取る喜多さん
鈴鹿山脈を水源とした愛知川の伏流水で育まれた名水と良質の酒米に恵まれた東近江市にはさまざまな個性をもった蔵元があります。喜多酒蔵は江戸末期の文政3(1820)年、初代・喜多儀左ェ門が酒造りを始めて以来、9代続く老舗蔵元です。
江戸時代から続く蔵元に生まれ、酒造りの現場を間近に見ながら暮らして、「代々続く伝統を、残していきたい」という気持ちが自然と芽生えた麻優子さん。酒造の経営にも役立つようにと大学では経済学を専攻し、醸造酢メーカーや酒卸問屋での修業を経て、実家に戻って家業を継いだのは、平成27年の秋です。
酒蔵にて
大きな会社だと、一年中酒造りをしているところもありますが、喜多酒造では10月から4月までの季節労働。昔ながらの工程で、6人ほどの蔵人で造っています。酵母という生き物が相手なので、仕込みが始まるとさまざまな作業が続きます。酒造期は全員が蔵に泊まり込み、寝食をともにする共同生活。日本酒造りに携わる全員が徹底した自己管理をしています。例えば、納豆菌は強力でお酒を腐造させてしまうから、酒造期に納豆は一切食べません。加えて、風邪をひかないよう万全の対策をとって酒造期を乗り切ります。
日本酒について語る
鈴鹿山脈を水源とした愛知川の伏流水で育まれた「水」、その水が育てた良質の「米」、ここにしかない「風土」。この地には、日本酒造りに必要なものがそろっています。
柔らかい飲み口を大切にしているので、飲むと心が優しくなるような酒をこれからも造りたい。すいすいと喉を通るけれど味わいがある、飲み口はキレがあるけどうまみがあるという、蔵独特の味わいは崩すことなく、この地で代々酒を造り続けてきた歴史を大事に守り続けたいと思っています。
また、麻優子さんの著書『蔵元の娘と楽しむ 日本酒入門』では、「立ち香」と「含み香」という香りを味わうために舌の上でお酒を滑らせるように飲んでみることや日本酒を割って飲むことも紹介するなど、日本酒の奥深さを味わうことができます。