森の文化フィールドミュージアムとは
東近江市森の文化フィールドミュージアムは、東近江市森の文化推進条例第2条により定める区域で、愛知川上流域の約3,800ヘクタールを設定し、同条例に基づく取組を行っています。
鈴鹿の森の中にある森の文化フィールドミュージアム
森の文化フィールドミュージアムは、鈴鹿の森(鈴鹿山脈の東近江市域)の中に位置します。鈴鹿の森には次のような特徴があります。
1.複雑な気候
鈴鹿山脈は日本海側気候や太平洋側気候などの接点に当たり、複雑な気候の影響を受けています。その中に含まれる鈴鹿の森も例外ではありません。
2.多様な地質
南北50キロメートル以上に伸びる鈴鹿山脈は、多様な地質で構成されます。一般的に、北は石灰岩地帯で南は花崗岩地帯と言われるますが、鈴鹿の森はその中間にあることから、多様な地質が分布しています。
3.多様な地形
鈴鹿山脈の最高峰は本市に位置する御池岳(1,247メートル)であり、そこから平野部(永源寺ダム下流付近)までは1,000メートルを超える標高差があります。その中で、鈴鹿の森は多様な地質によってなだらかな山容から急峻な山容までバリエーションが多く、山中に自然の池や湿地が見られるとともに、数多くの河川や渓流が流れ、河川に沿って小規模な平地も各所に形成されるなど、多様な地形が見られます。
4.高い生物多様性
複雑な気候と多様な地質、地形は多様な植生をもたらし、それが多様な動物の生息をもたらすことから、鈴鹿の森は高い生物多様性を有しています。加えて、人が森林を利用することで、さらなる多様性がもたらされます。
5.山中に集落が分布
鈴鹿山脈の稜線から平野部までの水平距離は、三重県側で短く、滋賀県側で長くなっています。つまり、三重県側は傾斜がきつく山域も狭いが、滋賀県側は傾斜が緩く山域が広い地形にあります。これに多様な地形があいまって、鈴鹿の森の中には古くから各所に集落が形成され、永源寺地区の東部には現在も7つの集落が分布しています。
6.人と森林が共生する中で「森の文化」が形成
鈴鹿の森に暮らす人々が、森林をはじめとした周辺の自然資源を持続的に利用する中で形成されてきた文化を「森の文化」と呼びます。この象徴が、本市が発祥とされ千年を超えると言われる木地師文化です。「森の文化」には、人と森林が共生する知恵や知識が内在しています。
7.森里川湖のつながりの原点
本市は、愛知川に代表される大きな河川の源流域から河口の琵琶湖までをひとつの市域に含む稀有な地形を有するまちです。この源流域の森林から琵琶湖までのつながりを、森里川湖のつながりと呼び、そのつながりの原点にあるものが鈴鹿の森です。
時代の変化の中での鈴鹿の森の現状
長い間、森林の利用は薪や炭などの燃料と木材の採取が主なものであったと思われますが、戦後の木材需要の急増や化石燃料の普及などにより、森林は木材生産が重視されるようになりました。
この地域において、薪や炭の材料には主にナラ類やカシ類などの広葉樹が利用されていました。これらの樹木は、人が伐採しても切り株から新しい芽が伸びて再び樹林となる特徴があります。これらからなる森林を天然林と呼びます。
一方、人がスギやヒノキなどの木を植え、育てる樹林を人工林と呼びます。戦後の木材需要の増大に対応するため、全国で天然林を伐採して人工林にする拡大造林政策が行われましたが、輸入木材の利用拡大や木材需要ニーズの変化、農山村から都市部への人口流出などさまざまな要因により、十分に手入れされない人工林が増えました。
鈴鹿の森は、そこに暮らす人々が森林を利用してきたからこそ良好な状態に保たれ、結果として生物多様性が維持されてきましたが、こうした時代の変化の中で、人が森林を利用し、関わる機会が減り、人工林や天然林を問わず樹木が生長し、過密になったり枯れたりといった森林が増えています。
鈴鹿の森の多種多様な動植物
永源寺地区東部ではこの20年の間に人口(住民基本台帳による)がほぼ半減し、長く継承されてきた森の文化の継承が危惧されることに加え、人が森に入らなくなったことで野生動物の行動圏が拡大し、特にシカが下草を食べることで表土がむき出しとなった斜面が増えました。
そこに、近年の局地的な大雨が降ることで、森林土壌が流出しやすい環境となってしまっています。森林土壌が一旦失われてしまうと、そこに緑が回復することは非常に困難になるとともに、森林の保水力も低下すると考えられるため、降った雨が一気に下流に流れることで災害面への影響も憂慮されます。
また、上流域の森林で大規模な斜面崩壊などが起こり、その土砂が河川に流入することで、長期間にわたって河川水の濁りが収まらない事態も増えてきました。愛知川の濁りは、永源寺ダムを経てその下流にまで影響が及び、アユやビワマスといった琵琶湖を代表する魚類の生息や産卵環境に深刻な影響を与えています。
鈴鹿の森に降った雨が土中に浸透することで地下水を涵養していることを考えると、上流域の森林の状態は、地下水資源にも影響を及ぼすものと考えられます。本市は酒造業などの伝統産業だけでなく、精密機器製造業や飲料製造業など現代の産業にも地下水は欠かせない存在です。本市の水道水源や農業用水にも地下水が重要で、豊富な地下水は下流域で湧き水となり、それが日本遺産にもなっている伊庭の水郷景観を作り出しています。
このように、森里川湖のつながりの原点である上流域の森林で表面化しているさまざまな問題は、今後流域全体にまで影響が及ぶことが懸念されます。
これらの問題を解決するためには、森林や河川などの自然環境の保全に着目するのみならず、その自然環境に対する人の関わりから生まれる森の文化の在り方にも着目する必要があります。
その上で、流域全体を視野に入れた取組を推進する必要があることから、令和6年9月に「(仮称)森の文化博物館基本計画」を策定し、取組を進めてきたところです。
森の文化推進条例に基づく「森の文化フィールドミュージアム」
「(仮称)森の文化博物館基本計画」の取組をさらに推進するため、令和7年12月に森の文化推進条例を制定し、令和8年4月1日から施行しました。
同条例の目的を達成するため、第2条で取組を進める区域を定めることとし、これを「東近江市森の文化フィールドミュージアム」と位置付けました。
この区域は、永源寺ダムより上流の愛知川水系を中心とした区域の中で、集落が分布する愛知川上流の御池川および茶屋川水系周辺で、暮らしとの関わりが深いと考えられる森林地帯のうち、尾根や谷、河川、道路、登山道などで囲まれる範囲とし、永源寺地区東部の7つの集落や愛知川の上流を構成する御池川、茶屋川、神崎川の3つの河川流域の一部を含み、その広さは約3,800ヘクタールと本市域の約10分の1を占めます。
今後、この森の文化フィールドミュージアムでの取組を順次紹介していきます。
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このページに関するお問い合わせ
企画部森の文化推進課
〒527-8527 東近江市八日市緑町10番5号(本館3階)
電話:0748-24-5567 ファクス:0748-24-1457
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